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【インタビュー】半年仕事・半年旅人という生き方/村上アシシ

Posted by: 米田ロコ
掲載日: Oct 1st, 2013. 更新日: Jul 27th, 2015
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【インタビュー】半年仕事・半年旅人とは?/村上アシシ

一年の半分で仕事をして、もう半分は旅へでる――。「半年仕事・半年旅人」というライフスタイルを確立させている村上アシシ氏。彼がそんな奇抜な生き方を選んだきっかけは、サッカーW杯の日本代表戦だ。あまり聞き慣れない「半年仕事・半年旅人」のなかみはどんなものなのか、旅を通して彼が感じているものはなにか?村上氏にクローズアップ!


運命をかえた、「半年仕事・半年旅人」へのきっかけ

ー半年間仕事をして、半年は旅をするというライフスタイルを何年も続けていますが、そのきっかけは?

「2005年の、サッカー日本代表のコンフェデ杯がきっかけです。そのときの衝撃がすごかった。テレビで日本代表戦を観た感覚と、現地で観た感覚が全然違うんです。僕自身も、それまであんまりスタジアムでサッカーを観たことがない人間だったから、その当時はそれこそ興奮では済まされないような衝撃をうけました。」

【インタビュー】半年仕事・半年旅人とは?/村上アシシ
海外でサッカーを初観戦、ブラジルサポーターとの一枚。

サッカー好きでなくても、2005年にドイツで行われたコンフェデ杯は記憶にあるのではないだろうか。日本代表が、2004年ユーロ王者のギリシャを相手に1−0で勝利、迎えた2002年W杯王者のブラジル戦では、2−2で互角に戦うも、得失点差で惜しくも決勝トーナメント進出を果たせなかった大会だ。

「たまたま、その時の日本代表戦の試合内容が素晴らしかったというのもあると思います。国際大会ならではのフェスティバルのような高揚感とか、日本とはまるで違うヨーロッパ特有の気候や環境とか、何もかもが初体験で。異国の地で初めて体感したインパクトはとにかくすごくて、僕にとっては今のライフスタイルの原点。」

そして、ぼくはこうして「半年旅人」になった

ー2005年のコンフェデ杯で、サッカー日本代表にどんどんのめり込むこととなったと思いますが、半年旅人になった経緯は?どう決心したのでしょうか?

「“よし、半年旅人やろう”とかではないですね。ぼくの業界(企業のシステムコンサルティングという仕事)は、他とはかなり違っていて、だれでも独立できて、そもそも同じ会社で20年務めているひとは数%しかいない。いわば自分の頭が商品なので、独立してもやっていける業界というか。だから大きな決心とかなく。先のビジョンを見据えてというよりは、“ま、次いこう”みたいな軽い感じで会社を辞めましたね。」

独立することに微塵の不安も感じなかったという村上氏。そして、会社を辞め独立後にある気づきがあったという。

「最初のプロジェクト期間が3ヶ月だったんです。そして、プロジェクトが終わった次の瞬間には、オーストラリアにいっていて。ちゃんと考えて、契約期間を区切っていけば、半年旅人ってこともできるなと・・・」

そして、その「半年旅人」を、村上氏自身が図にしたものこれだ。

【インタビュー】半年仕事・半年旅人とは?/村上アシシ
基本的にサラリーマンは一年間ずっと仕事で安定しているが、独立すれば会社に中抜きされないので、給与は2倍。今迄と同じ収入で自由な時間を確保できるということ。期間を半分にしても面積(収入)はいっしょ。

北朝鮮で実感。メディアを通してではなく、リアルな旅が必要

ーサッカー日本代表戦に夢中になってしまい、ついには世界一周ならぬ「世界一蹴」の旅を思いつき、2009年6月から2010年7月までの400日間・32ヶ国にもおよぶ、サッカー観戦の旅を実現したとのことですが、村上さんがここまでして現地に足を運ぶ理由は何でしょうか?

「文章や写真は視覚だけであって、五感で感じることができないんですよね。(伝聞にくらべて)五感で感じるというのは天と地の差。百聞は一見に如かずとありますが、世の中にあることわざそのままで、やっぱり現場にいかないと体験できないものってあると思います。結局、メディアって物事を狭めて伝えるじゃないですか。メディアが伝えるものっていうのは常に彼らの意志が入るし、婉曲もする。それが現地にいってみるとまるで違う。景色もそうですけど、人とのふれあいも全然違うんです。」

「僕は北朝鮮に行ったことがあるんですけど、日本で報道されているような北朝鮮のイメージをもっていたんです。でも、彼らが街中で携帯電話を使っていたり、普通に地下鉄にのっていたり、向こうの生活感のあるものをじかにみてみると、メディアを通じて得た先入観が簡単に破壊される。それが面白いんです。もちろん、僕がみたのは北朝鮮のほんの一部にしか過ぎませんが、それでも現地に行って体感することっていうのは、価値観を変えますよね。」

「自分でストレートに見て、聞いて、肌で触って感じて、ひとの話しを直接聞いてっていうところの体験を通じないと、見えてくるものも見えてこないし、そういう意味では、行ったことのない国に行くのは人生において何ごとにも変えることができない経験。現場に行くことっていうのは、価値観を拡げることなんですよね。体験をして、初めてみえてくることがあると思います。」

【インタビュー】半年仕事・半年旅人とは?/村上アシシ
2010年南アフリカW杯で、ヨハネスブルグの小学校にサッカーボールを寄付

【インタビュー】半年仕事・半年旅人とは?/村上アシシ
ロンドン五輪の際の写真。4ヶ国サポーターが揃い踏み

【インタビュー】半年仕事・半年旅人とは?/村上アシシ
2011年ドイツ女子W杯でなでしこジャパン優勝後の一枚。

マチュピチュ、エアーズロック、カナディアンロッキーの魅力

ー世界一蹴の旅をして、感動した場所はどこですか?でも、サッカーは詳しくないので、観光限定でお願いします(笑)!

■マチュピチュ

「マチュピチュは一位ですね。ベタですけど(笑)。インカトレッキングに3泊4日で参加したんですよ。標高4200メートルを超えて、マチュピチュに辿り着くというリアルドラクエをやって、それがすごく辛くて、でもそのあとに、世界最強の遺跡に到達するっていう落差が半端なくて、これがやっぱり一位ですね。」

【インタビュー】半年仕事・半年旅人とは?/村上アシシ
マチュピチュでの記念撮影。達成感に溢れる一枚。

■エアーズロック

「エアーズロックも自分で登ったんですが、一時間もせずに登れちゃうんですけど、すごい達成感というか。遠目からみた外観はいわずもがなですが、登って360度全部荒野という景色は、格別でした。エアーズロックもオーストラリアの中で辺地な場所にあるので、自分でプランして苦労していくのも醍醐味かと。」

【インタビュー】半年仕事・半年旅人とは?/村上アシシ
見渡す限り大地だけが広がる、エアーズロックからの景色。

■カナディアンロッキー

「カナディアンロッキーとかがすごい好きで、“なにかここがすごい!”というよりは、見どころが転々としているんですよ、変な形をしたロブソンマウンテンとか、湖面が緑色に輝くペイトレイクとか。大自然の中ドライブして、3〜4日転々といくっていうのが好きですね。」

【インタビュー】半年仕事・半年旅人とは?/村上アシシ
自然の美しさに言葉を失う、ペイトレイクの写真。

旅の5W1H、人生のすべてが反映される

ー村上さんにとって旅とはなんなのでしょうか?

【インタビュー】半年仕事・半年旅人とは?/村上アシシ

「サッカーの中田ヒデが言うように、“人生とは旅であり、旅とは人生である”って結構格言で、僕も旅そのものが人生を形作ると思います。」

「人生に迷ったら旅に出ろ、っていうのは僕は薦めていて、それはパッケージツアーじゃダメなんですよ。飛行機くらいは旅行代理店さんにとってもらってもいいと思いますが、その先は自分でプランしてみてやってみるっていうのが大事で、それって自分の性格がでると思うんですよ。旅の目的にしてもリズムにしても、方法にしても、その5W1Hに、自分の価値観とか人生のすべてが反映されるので、自分のことが鏡のようにわかるんですよ。旅で色々なものを知って、自分に自分を跳ね返すというか自分がどういう人間か知るということは人生勉強ですよね。」

村上アシシ流、自分を知る旅の条件

ー旅は自分を知ることだとおっしゃっていましたが、自分を知る旅の条件ってありますか?

「ミッションをもって旅にでることですね。達成型の旅っていうんですけど、そこには必ず問題がでてくるんです。 “でも、達成したい、ではどうする?” ということは人生と一緒なんですよ。これを旅で実体験として学んでいくことで、問題解決能力が磨かれるということになるんです。僕はコンサルの仕事をしているから、なんでもコンサル的に考えちゃうんですよ。」

コンサル的な考えを旅にとりいれるって面白いですね!

「旅には、旅プラス何かのテーマをもっていくことをおすすめしますね。何か一つ軸を設けていくと面白いと思いますよ。例えば、ファッションが好きな人は民族衣装の買付けをテーマにしたり、グルメが好きな人はワイナリー巡りを目的にしたり、とかね。テーマを設けることによって、旅にフックをかけられるんです。旅にいく動機づけってすごく大切だと思っています。それが、僕の場合はサッカー観戦なんですけどね」

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村上アシシ/本名:村上敦伺(むらかみあつし)
1977年生まれ、北海道札幌市出身。職業はフリーランスの経営コンサルタント。2009年から2010年にかけて、南アフリカワールドカップ出場32ヶ国を訪問し、『世界一蹴の旅』(双葉社)という書籍を上梓。「半年仕事・半年旅人」のライフスタイルを2006年から継続中。サッカー日本代表が出場する国際大会は毎年参戦するコアサポーター。

著書:『日本代表サポーターを100倍楽しむ方法』(From One)、『世界一蹴の旅 サッカーワールドカップ出場32カ国周遊記』(双葉社)
ブログ:http://atsushi2010.com/
フェイスブック:http://www.facebook.com/atsushi.murakami
ツイッター:http://twitter.com/4jpn

[Interview photo by Yuka Jonishi]

米田ロコ

LOCO Yoneda ライター・編集者。
自由と自然を愛し、Vanlifeにて日本を旅する。

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