> > 【かめカメラ】ウミガメ写真家が綴る、ウミガメの旅コラム ー第1回

,,, | 現地レポート,豆知識

【かめカメラ】ウミガメ写真家が綴る、ウミガメの旅コラム ー第1回

Nov 3rd, 2013

【かめカメラ】ウミガメ写真家が綴る、感動のウミガメの旅 ー第1回

第1回 「泣いてなんかいない」


「このウミガメさん、泣いてるの?」
「泣いてなんかいない、涙は心の汗なんだ」
「じゃあ、汗をかいてるの?」

古い青春ドラマの名台詞が、娘に伝わる訳もない。
実際のところ、このウミガメは泣いてなんかいない。でも涙を演出するには最高の場面であったことに間違いはない。

星明かりを頼りに夜中の砂浜を歩いていると、白波に押され100キロほどの巨体が海から上がってきたのだろう、重い甲羅を引きずりながら砂浜の奥へ奥へと進むキャタピラの跡のような足跡を見つけた。やがて「サッサッ」と砂を掘る音がかすかに聞こえ、その音が鳴り止む頃、そ〜っと近づいていく。

カシャリ、シャッターを押す。20分ほどかけて100個余りの卵を産み続けているのだ。

【かめカメラ】ウミガメ写真家が綴る、感動のウミガメの旅 ー第1回

母から子への愛、産卵の苦しみ、静かな暗い海辺というシチュエーションも加わって、感動的な場面であり、人は涙を流す目には弱いものだ。涙って、嬉し涙、悲しい涙、感動的な涙、どれも大きく心を揺さぶられた時に出きてしまうもの。それはまるで心からほとばしる汗、そうか、だから「涙は心の汗」なんだ。
しかし、このウミガメは「泣いてなんかいないわ」と思っている。心の汗は流していないのだ。ではその正体は何か?

それは「海の水」。

実は海水の塩分が目の横の塩涙腺というのを通って流れ出ているだけ、という、なんだか聞かない方が良かった、という理由なのである。
でもどうだろう?今、ウミガメは数が減ってきている。卵を産む砂浜が狭くなって、卵が波に流されてしまうからだという。
確かに99%は塩水かもしれない、けれども1%はそれを悲しむ本当の「心の汗」なのかもしれない。

この産み落とされた卵から生まれるウミガメがこれからどんな旅をしていくのか?これから写真と共にお伝えしていきます。



注)産卵が始まるとウミガメは人目も気にせず卵を産み続けることが知られている。この写真は薄いライトを付け、あまり迷惑にならないように撮った一枚である。

久米 満晴

,,, | 現地レポート,豆知識


気になる国の記事を検索!