人のいる風景が好きです。いくら美しい景色でも、無人の風景は寂しくありませんか?ニューヨークが好きなのは、常に人のエネルギーを感じるからかもしれません。
ニューヨークの顔といえるグランドセントラル・ターミナル。昨年2013年で100周年を迎えました。ボザール様式の建築の美しさ、旅情をかきたてる雰囲気は、誰をも惹き付けてやまない魅力があります。
これまでにも何度となく映画の舞台として使用されてきましたが、特にメリル・ストリープとロバート・デニーロの「恋に落ちて」は有名です。グランドセントラル?NY郊外住宅地(北方のウエストチェスター、閑静な高級住宅地)間の通勤列車が舞台になる大人の恋物語でした。
【動画 恋に落ちて】
FALLING IN LOVE (MOVIE,1984) – THE FIRST KISS
ニューヨークのハードな生活が辛くなると、心をなだめにくる人もいます。構内の大理石の階段に座り、人々の雑踏を眺めていると、気持ちが落ち着いてくるのでしょうね。
ふるさとの 訛なつかし 停車場の 人ごみの中に そを聴きに行くという石川啄木の一節をふと思い出します。誰かを待っている人、旅立つ人、帰宅を急ぐ人、近隣で働く人が、現れてはまた人ごみに消えていきます。ひとりひとりが人生のドラマを背負っています。
星座が描かれた天井のエメラルドグリーンと内装の大理石のコンビネーションは、洗練されていて、シック。星座の描かれた天井は、首が痛くなるまで眺めても飽きません。
人ごみの中で癒されるのは、何故なのでしょう。
人生は、人との出逢い、そして別れ。
慌ただしい群衆の中に身を委ねていると、なんだかデジャヴを見ているようです。
クラシックな切符売り場では、現在とは違う人生に乗り換える切符が買えそうな気さえします。
駅構内にある”Oyster Bar”が人気なのは、味もさることながら、人々の旅情をかきたてる雰囲気があるからです。東京店よりカジュアルですが、本店の方が雰囲気はありますね。
あなたは旅に何を求めますか?
「旅情」「非日常」「孤独」「他者との出逢い」。
ここには、すべてが揃っている気がします。
[All Photo by Hideyuki Tatebayashi]
sara-aoyama ライター
はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。
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