サンマルタン運河は建設以来、度々映画の舞台地として描かれてきました。先日ご紹介した映画「北ホテル」の舞台地であったり、その後映画「アメリ」でアメリが水切り遊びをしていた場所のロケ地として使用されました。サンマルタン運河は芸術家たちのインスピレーションの源。その魅力をご紹介したいと思います。
サンマルタン運河とは
パリの10区と11区の間に位置する全長4,5メートルのサンマルタン運河は、川船が行き交いする為に作られた9つの閘門や、アーチ型の歩道橋、緑溢れる歩道があり、パリの中でも独特な景観を楽しめる場所です。
サンマルタン運河の歴史
19世紀初頭、パリは深刻な水不足と不衛生な水による公共衛生問題に悩まされていました。これらの問題を解決するため、サンマルタン運河は1825年に建設されました。 穀物や建設材料などをパリ市内に運ぶ運搬船が行き交うようになり、活気あふれるエリアとなりました。現在は運行船も廃止されましたが、サンマルタン運河は建設当時の形が保たれています。
緑溢れるパリジャンの憩いの場所
パリにこんな緑溢れる場所があったのかと、サンマルタン運河を初めて訪れる人は思います。運河沿いに植えられた木々は、晴れた日には運河に青々しく映り、より一層美しく感じられます。夏場は涼みに来るパリジャンも多く、友達と話に華を咲かせる人や一人で本なんかを運河沿いで読む人など、パリの人々の憩いの場となっています。
アーチ型の歩道橋
サンマルタン運河の魅力はアーチ型の歩道橋です。この形の歩道橋はフランスではクラシックなスタイルで、まるで古典映画を見ているようです。建設当時から変わらないアーチ型の歩道橋はサンマルタン運河の景観を形作っています。
若者に人気のエリア
サンマルタン運河沿いはここ10年ほどで、急速に変化しました。以前は下町だったこのエリアは若者の集まる場所となり、新しいタイプのレストランや洋服、雑貨店がオープンしました。現在は新しいエネルギーが吹き込まれたように活気に満ちあふれています。
運河の水辺には昔も今も変わらない景色が映ります。運河沿いには新しい風が吹いています。古さと新しさが融合したサンマルタン運河、それが芸術家を惹き付ける魅力なのです。
編集部注)
こちらの記事は2015年11月14日以前に執筆されたものです。このたびのパリ同時多発テロにおいて犠牲になられた方々と、ご遺族のみなさまに、深くお悔やみを申し上げます。
[PALIS]
[All photos by Nanako Kitagawa]
Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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