「あなたは自分に自信がありますか?」そうきかれて、迷いなく「はい」と答えられる方は少ないのではないでしょうか。特に、謙虚な日本人は。
そんな方に朗報が。実は「自信はなければないほど良い」という学説があります。その理由は一体なんでしょう。
自信と実力はイコールではないから
一見惑わされがちですが、「自信がある」ことと「実力がある」ことは全くの別物です。実力がある人は自信満々に見えますが、それは実力を手にしたから自信がついてきただけ。「自信を持とう」と声高に語るのは、みな社会で成功を収めた人たちです。彼らの言葉は結果論でしかありません。
自分のことは自分ではわからないから
数百人を対象にした心理実験によると、「Aさん自身より、他人の方がAさんの未来を的確に予想していた」という結果が出ています。自分の能力や将来については、どうしてもバイアスをかけてしまうものです。
自信過剰になるほど、人の意見を否定するようになるから
さらに自信が高まると、他者の忠告に耳を傾けない頑固者になってしまいます。否定的な意見を、「あの人は見る目がない」などとシャットアウトしてしまうのです。現代は、facebookという狭いコミュニティで友人が「いいね!」とだけ言ってくれるような時代になっています。自分の投稿にも「いいね!」が押せるような空間では、自分を見失ってしまいます。
常にチェックを怠らず、大きな失敗をしないから
「この書類、誤字があったらどうしよう」と不安でたまらない人は、事前にチェックを重ねて誤字を発見することができます。「私がミスなどする訳ない」という人は誤字を連発します。さらにいえば、病気にかかりやすい人や浮気で失敗する人は、「自分だけは大丈夫」と根拠なく思い込み、大胆に振る舞ったからそのような結果を招いたのです。
常に誰かを追いかけられるから
「人と自分を比べていつも落ち込んでしまう」という人こそ、自分を磨いて高みにいける人です。今のポジションに満足せず、憧れの人を目指して自己鍛錬を続けられます。ただ、「自分はダメだ」と落ち込んでいるだけでは進歩がないので気を付けましょう。
アメリカで実証され、支持された自信論
この「自信はない方が良い」という説を提唱しているのは、ロンドン大学教授のトマス・チャモロ・プリミュージク博士。「同世代で最も稼ぐ社会心理学者」といわれており、著書の『CONFIDENCE』はアメリカでベストセラーとなりました。先日翻訳書も発刊されたところなので、さらに本論を詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
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Misako Treutel ライター/翻訳業
1986年生まれ。大学では英米文学・英語学を専攻していたが、授業そっちのけで留学、国際インターンシップ、旅に明け暮れる。大学卒業後は出版社に入社し、約80点書籍を制作。2015年に退社し、現在は米国シアトル在住。
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