旅立ち前、行先の土地について書かれた本を読んでおくと旅の魅力は何倍にも増すものです。荷造りや家の掃除に追われ、結局手を付けないままドタバタ出国することが常ですが。ここでご紹介する本は、いずれも肩の力を抜いて読めるものばかり。道中のお供にいかがでしょう。
1. 『世界しあわせ紀行』、エリック・ワイナー
【この国へ行く人に】オランダ、スイス、ブータン、カタール、アイスランド、モルドバ、タイ、イギリス、インド、アメリカ
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『ニューヨーク・タイムズ』元記者で世界30か国以上を取材したジャーナリストが、「幸せ」を探し歩いた旅の記録です。
「経済的に成功しているスイス」「暗そうな極寒の地アイスランド」などの私たちが持っている先入観は、幸せという視点で切り取ると大きく覆されます。「現地へ行くと、報道やガイドブックの印象と違って驚いた」という経験は旅人なら誰しも持っていると思いますが、本書ではそれを追体験できます。
2. 『遊牧夫婦』、近藤雄生
【この国へ行く人に】オーストラリア
(C) 紀伊國屋書店
3部作の長編エッセイですが、まず読むなら1作目のこちら。東大大学院を修了した後、「文章を書いて生きていこう!」と、無職のまま奥さんと旅に出かけた著者の5年半が綴られています。一見無謀な人生設計に見えますが、文章修行を重ねてライターとして独り立ちできるようになっていく行程は一種のドキュメンタリーのよう。「旅を暮らしにする」というスタイルも一つの選択肢かも、と思えてきます。
続編の『中国でお尻を手術。』『終わりなき旅の終わり』では旅が夫婦生活そのものになっていく様が時にユーモラスに、時に悩み深く描かれており、こちらも読みごたえがあります。
3. 『東南アジア四次元日記』、宮田珠己
【この国へ行く人に】香港、ベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ミャンマー
(C) 紀伊國屋書店
捧腹絶倒の本を評すのに「電車の中で読むと危険!」という文句がありますが、本書はまさにそれ。1ページに1回の高頻度で笑いどころが登場する面白エッセイです。「エリートサラリーマンだった彼が、会社を辞めて、アジアをさまよう旅に出た」と説明されていますが、はたして。冒頭はこんな調子です。
旅に出るため、先日、会社を辞めた。
その会社には大学を出てから十年近く勤めていた。十年である。気の遠くなるような年月だ。事実、私は仕事中によく気が遠くなって、会議室で休んだり、近くの喫茶店でコーヒーを飲んだりしたものだ。
全然エリートサラリーマンじゃない!!
ともかく、この5文で笑った方は間違いなく本書を楽しめます。
4. 『おしゃれのベーシック』、光野桃
【この国へ行く人に】イタリア、バーレーン
(C) 紀伊國屋書店
いわゆる紀行文ではないのですが、異国の空気をまとったエッセイです。著者が暮らしたイタリア、バーレーンのファッション事情を主軸に、「おしゃれとは何か」が語られています。「ストッキングは第二の皮膚である」「紺色は、日本人の肌を生かすもっとも美しい色」など、メモしておきたいフレーズがたくさん。旅先で服を買おうとするとあれもこれもと目移りしてしまいますが、本書を読んでおけば自分にぴったりの一品を見つけられそうです。
5. 『くちぶえサンドイッチ』、松浦弥太郎
【この国へ行く人に】アメリカ(サンフランシスコ)
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すっかり「ていねいな暮らし」の人になってしまった松浦弥太郎さんですが、十年ほど前はヒッピースタイルの紀行文をよく書かれていました。タイトルの由来は「くちぶえを吹くような軽い気持ちでこつこつと書き続けた」からだそうで、その言葉通りいい意味で脱力した随筆集です。マーラーしかかけない喫茶店、いつも「ガハハ!」と豪快に笑うファーマーズ・マーケットのおじさん、真夏の日差しを浴びて食べたアメリカン・ブレックファスト・・・。著者が出合った物や人をなぞって旅したい、と思わせるエッセイです。
Misako Treutel ライター/翻訳業
1986年生まれ。大学では英米文学・英語学を専攻していたが、授業そっちのけで留学、国際インターンシップ、旅に明け暮れる。大学卒業後は出版社に入社し、約80点書籍を制作。2015年に退社し、現在は米国シアトル在住。
【旅の時短術】外国人でも香港国際空港の自動化ゲートを通過して入国できる
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海外旅行で避けて通れないのが入国審査です。時には長蛇の列に並ばざるを得ず、30分や1時間以上待たされることもありますよね。香港では、旅行者が加入しているマイレージクラブや訪れる頻度によって、手続きをすれば外国人でも自動化ゲートを通って入国できるんです。この記事では、筆者の失敗談を交えながら、手続きや必要な条件、気をつけるべきポイントを解説します。
【世界の奇祭】まんじゅうのタワーをよじ登って順位を競う香港の離島の祭り
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世界にはさまざまな祭りがあります。宗教や季節に関係するものなど、その発祥もいろいろ。有名なものから知る人ぞ知るものまで、地域らしさを感じられるイベントであり、旅行の目的ともなりますよね。そんな世界の祭りの中からユニークな祭り、まちおこしのために奇抜な企画を立ち上げられた新興の祭りではなく、100年以上の歴史がある「変わった祭り」を紹介します。今回は、先月5月に3年ぶりに開催されたばかりの香港の祭りを紹介します。
スーパーマーケットはお土産の宝庫!「香港の魅力」を政府観光局の日本人スタ
Jun 25th, 2021 | 坂本正敬
新型コロナ感染症の影響でなかなか海外へ行けない日々が続いています。少しでも海外を感じてもらえればと、TABIZINEでは各国の政府観光局に勤める日本人スタッフに話を聞いてきました。第2回目の今回は香港政府観光局に勤務する林麻里衣(はやし・まりい)さんに、日本に居ながら香港を感じられる言葉やエピソードを聞かせてもらいます。新型コロナウイルス感染症が終息し、再び旅へ出られる時代になった時の参考にしてくださいね。
今さら聞けないけど。旅人なら知っておきたい香港デモの正体
Nov 19th, 2019 | 坂本正敬
いよいよ出口が見えなくなってきた香港のデモ。日本の「近所」の香港では、若者がレンガを路面店のショーウィンドウに投げ入れたり、警察と抗議活動をする人たちがぶつかり、警察官が撃った銃弾でデモ隊の若者が負傷したり。「五大訴求、缺一不可!(五大要求は1つも譲らない)」というデモ隊のトーンは、とどまるところを知りません。このデモ、対岸の火事という感じで日本人には人ごとですが、一体何に対してあれほど市民は怒り、デモを繰り返しているのでしょうか。そこで今回は今さらで聞けないけれど、海外旅行好きなら知っておいて損はない、香港のデモについておさらいしてみましょう。
マカオ国際空港での搭乗手続き手順や、チェックイン時間が変更に
Oct 10th, 2019 | minacono
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香港のスーパーパワースポット「黄大仙」で本格的な占いを!
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香港にある香港随一のパワースポット、黄大仙祠。
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Oct 16th, 2018 | 金子 愛
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着陸〜ホテルチェックインまで約30分!?「マカオ国際空港」驚異の利便性〜
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日本からマカオに行く際、”香港経由でマカオ”というルートを真っ先に思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?しかしせっかくの旅、少しでも早く & 楽に観光を始めたい ... more
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Aug 20th, 2018 | 金子 愛
2017年10月、ユネスコ「食文化創造都市(シティ・オブ・ガストロノミー)」に登録されたマカオ。東西文化が融合した、文字通り”美食の街”です。中でも大航海時代の味と呼ばれる「アフリカンチキン」は、この地を訪れたら絶対食したい名物。