日本では普通のことでも、日本を訪れた外国人には新鮮な発見として受け止められることがあります。
それと同様、日本人であっても外国の環境に慣れた海外在住者は、祖国・日本に対して客観的な視点を持つようになっています。そんな海外在住者が日本を訪れると、日本に住んでいたころには見過ごしていた感動や驚き、そして戸惑いを感じる光景や出来事に遭遇するのです。
今回は、ドイツ在住の筆者が日本に一時帰国した際に「エッ!?」と違和感を覚えたこと5つをご紹介します。
1.何度も「いらっしゃいませ」
他にお客さんがいなかったにもかかわらず、お店のスタッフが「いらっしゃいませ」を連呼していたとき、「一度でいいのになぜ?」と疑問に思いました。
一定間隔で「いらっしゃいませ」と声出しするマニュアルは日本ではよくありますが、海外でそのような光景に出くわしたことはなく、奇妙に感じられました。
2.お客さんがあいさつしない
日本ではお店やレストランで「いらっしゃいませ」と迎えられても、お客さん側はあいさつを返さないことが珍しくありません。
一方、海外、特に欧米ではサービスをされる側もあいさつをするのが普通。筆者が暮らしているドイツでは、サービスを受ける側もあいさつやお礼の言葉を言わないとマナー違反になります。
ところが、日本に帰ってくると「いらっしゃいませ」と言われたときにどのようなリアクションを返すべきか迷います。ドイツのように「こんにちは」と返すのはあまり一般的ではありませんし、少し微笑んで会釈する程度が自然でしょうか。
デパートの開店時に、スタッフが一斉に通路に立ちお辞儀をしながら「いらっしゃいませ」とあいさつする習慣も日本独特のもので、恥ずかしいような気まずいような気分にさせられます。
3.せかせかしすぎる
特に東京で感じたのが、急いでいる人の多いこと。駅のホームに電車が到着していると、駆け込んででも乗ろうとする人も少なくありません。ドイツでも電車に間に合うように走る光景は目にしますが、それは一本逃すと次の電車まで一時間ほど空いてしまうこともあるドイツの地方都市ゆえ。
東京の地下鉄を一本逃したところで、5分も待てば次の電車が到着します。今では気長に次の電車を待てるようになった筆者ですが、東京で暮らしていた頃は慌ただしい空気につられるようにせかせかしていたように思います。人の心や行動は街の空気に大きく影響されるものなのですね。
4.電車内でのスマホ・歩きスマホ
電車内で乗客が一斉にスマホをいじっている光景は端からみると不気味なもの。ドイツの様子を振り返ってみると、スマホを使用するわけでもなく、本を読むわけでもなく、何もしていない人が意外と多いのです。ぼうっと窓の外の風景を眺めるなど、ゆったりとした時間を過ごす人が目立ちます。
日本で問題になっている「歩きスマホ」もドイツではほとんど見かけません。電車に乗っているときも、歩いているときも、一刻を争うかのようにスマホを操作している人々を見ていると、「そこまでしてスマホで何をしているのだろう」と思ってしまいます。
移動時間を有効に使うこと自体はいいのですが、時にはドイツ人のようにゆったりとした時間に身をまかせる心のゆとりを持ってみてもいいのではないでしょうか。
5.街並みに統一感がない
景観を重視するヨーロッパでは、街全体で統一感が出るような街づくりがされています。ところが、日本では京都など伝統的建造物群保存地区に指定されているような土地でない限り、街並みにまとまりがありません。
瓦屋根の民家のすぐ近くに派手なスーパーの看板があったり、カラフルなアパートがあったりと、それぞれの建物がばらばらのデザインや色遣いで主張しています。
アジアらしい雑多さも魅力のひとつという考え方もありますが、日本は独自の伝統文化と長い歴史を持つ国。日本独自の美しい風景をもっと大切にしてもいいのではないかと感じます。
海外在住者による日本再発見、いかがでしたか。外国人だけでなく、海外在住者にとっても日本という国は「ワンダーランド」なのです。
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Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。
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