観光客にとって、日本は摩訶不思議ランド。どの観光地も驚きに満ちているそうです。具体的に何がどう不思議なのか? 筆者が海外の友人知人を神社仏閣に案内した際、実際につっこまれた事柄を5つご紹介します。
本物じゃない
「世界最古の木造建築」と名高い法隆寺も、「日本最古のお寺」として知られる飛鳥寺も、後世に修復されています。大阪城などまるっと再建されていますし、姫路城も最近ピカピカの真っ白に大工事されました。そんな新品のような歴史的建造物を見て、「建て直しているのに世界最古とは、これいかに?」と観光客たちは首をかしげるようです。
燃え過ぎ
城や寺社が再建される理由は、たいていが「焼失」です。戦で襲撃されたり火事に見舞われたりと事情は様々ですが、とにかく日本の建造物はよく燃えています。ヨーロッパにも木造建築はありますが、多くはハーフティンバー(半分が木造建築、残り半分はレンガや土、石)という様式で作られていました。そんな文化圏から来た彼らは「燃えるとわかっていてどうして木造にこだわるのだ?」と疑問に思うようです。
特別感のない〇〇名物
観光地に行くと、「〇〇名物」と謳ったお団子、まんじゅう、蕎麦、うどんなどがずらりと並んでいますよね。「ここでしか食べられない」と思って食指が動くのですが、よく考えるとどこでも作れるような食べ物が大半です。
「その昔、将軍に献上した名産品」という本当に由緒ある食べ物もありますが、外国人観光客はあまりありがたみを感じないそうですし、無理やり「名物」と冠した新しいお土産品もたくさんあります。もちろんどの国・地域にも名物はありますが、日本はそれが過剰すぎるようです。
ミスマッチなゆるキャラ
某城の猫キャラが今年で誕生10周年というから驚いてしまいます。以来、日本各地の観光地でゆるキャラが大繁殖しました。最近はアニメやゲームに出てくるようなキャラクターの姿も見かけます。キャラクターが観光地の知名度アップに貢献している側面もありますが、風情ある景観を台無しにしていると感じる観光客も多いようです。
具体的すぎる神頼み
神社仏閣へお参りに行くと、つい「今年こそ宝くじで100万円当たりますように」なんて真剣に祈ってしまいませんか。クリスチャンやムスリムの方もお祈りはしますが、日本人のお祈りはあまりにも世俗的すぎてびっくりしてしまうそうです。悪趣味だとは思いつつ神社仏閣で人々の奉納した絵馬を眺めると、その違いがよくわかります。
日本人は「〇〇さんと×月までに結婚できますように △△」「今年こそ●●大学の□□学部合格! ◇◇」などとフルネーム付きで具体的なお願い事をしたためていることが多く、プライバシーの流出にハラハラしてしまうくらいです。一方、他言語では「家族が健康でありますように」「ずっと幸せでいられるといいな」など、ふわっとしたお願い事が多い印象です。そもそも願い事を言語化して書きつける、という行為が非常に日本的な気もします。
以上、外国人観光客がつっこみたくなる日本の観光地事情でした。外国人目線で観光地を巡ると、他にも面白い不思議がたくさん見つかるかもしれません。
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Misako Treutel ライター/翻訳業
1986年生まれ。大学では英米文学・英語学を専攻していたが、授業そっちのけで留学、国際インターンシップ、旅に明け暮れる。大学卒業後は出版社に入社し、約80点書籍を制作。2015年に退社し、現在は米国シアトル在住。
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