気象庁によれば今年の夏は暑くなると予想されています。軽井沢や蓼科など、長野の避暑地に逃げ出す人も増えるかもしれませんね。
そこで今回は信州・長野県のお土産についてまとめます。先日筆者が滞在した異なる2つのホテルのフロントの方や、旅行業の関係者に意見を聞いて、「これぞ長野の定番中の定番」というお土産を教えてもらいました。
今の長野はおしゃれでおいしいお土産品ばかり。あれもこれもと迷ってしまいますが、まずは定番中の定番、流行に左右されない長野らしいお土産をまとめましたので、参考にしてみてくださいね。
八幡屋磯五郎の『七味唐からし』
長野を代表する観光地の1つ、善光寺の門前の表参道に古くからある八幡屋磯五郎の『七味唐からし』。まさに満場一致の長野県民御用達のアイテムですね。
1736年に創業して以来、古来不変の製法と秘伝の調合によって作り出される唐辛子で、辛いだけでは終わらない、味わいに深みのある一品です。なんと本店では1人1人の好みで“マイ七味唐辛子”を作ってくれるサービスもあるのだとか。
県内のそば屋に入れば、使い込まれた八幡屋磯五郎の七味唐辛子の缶を机の上に目にします。赤を基調としたレトロなデザインがオシャレですよね。
14gの小さい缶であれば、本店などで370円で売っています。本店は先にも書いたように善光寺の門前ですが、長野駅の駅ビルMIDORI長野に入っているお店などでも買えますよ。
いろは堂の『炉ばたのおやき』
次はいろは堂の『炉ばたのおやき』。おやきを『広辞苑』(岩波書店)で調べてみると、
≪焼豆腐・今川焼・焼餅など。≫(広辞苑より引用)
とあります。本来焼いた食べ物全般を意味するようですが、いろは堂のおやきは、山菜やキノコ、野沢菜、切り干し大根などをそば粉と小麦粉の皮で包み込んで焼いた食べ物になります。こちらも長野の鉄板のお土産なのだとか。
「おすすめはどの具材ですか?」とお店の方に聞くと、「やっぱり野沢菜が売れています」とのこと。長野県と言えば野沢菜も欠かせませんね。
店頭の陳列の様子を眺めてみると、商品の減り方からしてキノコやカボチャのおやきも人気のようです。
実際に食べてみると、まず具だけでご飯を何杯か食べられてしまいそうなおいしさ。そば粉と小麦粉の皮もこんがりと焼けていて香ばしく、具材との絶妙な味わいを楽しませてくれます。
赤ちゃんの握りこぶしくらいの大きさですから、ちょっと小腹が空いたときなどに重宝します。何個か買って鞄に忍ばせておくといった楽しみ方も、旅人っぽいかもしれませんね。
冷めても十分においしいですが、お土産として持ち帰った際には、電子レンジで温めた後にオーブントースターで1~2分焼いて食べると、焼きたての味が再現できるみたいですよ。
県内各地の野沢菜
先ほども少し触れましたが、長野県民のソウルフードの1つと言えば野沢菜だと、地元の方が胸を張って教えてくれました。漬物が嫌いな人でも、不思議と野沢菜だけは食べられてしまうといいます。
ただ、各地域によって味が微妙に異なり、同じ地域でも各家庭で好みが変わるそう。どこか1つのお店の野沢菜を紹介しようと思っても、ちょっと簡単ではないみたいですね。
長野県漬物協同組合によると、野沢菜とは長野県の東北部、新潟県との県境近くにある野沢温泉村・薬王山健命寺の住職が考え出した食べ物なのだとか。
歴史は1756年までさかのぼります。当時の住職が京都から帰ってくるときにカブを持ち帰り、土地に植えました。
しかし野沢温泉村ではカブの根の部分が十分に育たず、茎と葉っぱだけが大きく育ってしまったといいます。そこで茎や葉っぱを有効活用しようと考えられた食べ物が野沢菜。
ちなみに買って帰った後は、できるだけ小分けにして冷蔵庫に入れ、凍る寸前までキンキンに冷やすといいのだとか。冷蔵庫の最も冷える部分に入れておきたいですね。
いくつか異なるお店で野沢菜を購入してみましたが、あるお店の方によれば熱々のご飯はもちろん、冷ややっこの上に乗せて食べてもおいしいと教えてくれました。その通りにして食べてみると、まさに「やめられない止まらない」状態に・・・。お酒のおつまみとしてもマッチしますよ。
以上が長野県の定番中の定番お土産でした。長野県内にある土産店に行けば、あれもこれも欲しくなりますが、とりあえず上記の3つは押さえておきたいですね。
ただ、各人にとって最高の野沢菜探しは、ちょっと時間がかかりそうです・・・。
[All photos by Masayoshi Sakamoto]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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