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届くかどうかは運次第。旅人が手紙を運ぶガラパゴス諸島の無人郵便局

Posted by: 倉田直子
掲載日: Aug 23rd, 2016. 更新日: Aug 23rd, 2016
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届くかどうかは運次第。旅人が手紙を運ぶガラパゴス諸島の無人郵便局

遠い外国から手紙が突然届いたら、驚きますよね。しかもそれが、「ガラパゴス諸島」からだったりしたら尚更ではないでしょうか。ガラパゴス諸島のとある島には、かつての旅人たちが作り上げたアナログな、しかしとてもロマンのある郵便ポストがあるのでご紹介したいと思います。


動物たちの楽園、ガラパゴス諸島

届くかどうかは運次第。旅人が手紙を運ぶガラパゴス諸島の無人郵便局

ガラパゴス諸島(スペイン語: Islas Galápagos、英語: Galápagos Islands)は、南米エクアドルに属する島々。赤道直下に位置し、名前のある島だけでも大小123の島々があるのだとか。 周囲から孤立していたために生物が独特の進化をとげ、ガラパゴスに行かなければ見られない多くの固有の動物たちが生息していることでも知られています。

届くかどうかは運次第。旅人が手紙を運ぶガラパゴス諸島の無人郵便局

そんな島々の中に、フロレアーナ島(Floreana Island、別名サンタマリア島)という100人程度の人々が住む島があります。

届くかどうかは運次第。旅人が手紙を運ぶガラパゴス諸島の無人郵便局

面積173平方キロメートルのこの小さな島の名物は、島北部にあるフラミンゴの繁殖地と、なんと無人郵便局だというのです。いったいどうして郵便局が名物になるのでしょうか。

樽がポスト替わり、無人の青空郵便局

届くかどうかは運次第。旅人が手紙を運ぶガラパゴス諸島の無人郵便局
(C) tripadvisor/cabearcat

人々がこの郵便局を訪れるのは、独特のシステムが人々を引きつけているからです。ちなみに、これがその郵便局「Post Office Bay」の全景。オフィスと言いつつ、更地にポストに見立てた樽が立っているだけ。局員はいない無人ポストで、切手の販売すらありません。

届くかどうかは運次第。旅人が手紙を運ぶガラパゴス諸島の無人郵便局
(C) tripadvisor/cabearcat

無人の状態でもポストが存在できているのは、旅人の善意で成り立っているからです。上の画像に書かれているのは「メッセージを残してください。メッセージを配ってください」というお願い。この島を訪れた旅人は、切手も貼られていない状態で手紙を投函しても良い代わりに、既に投函された手紙の中から自国宛の手紙を見つけた場合は、それを持ち帰らなくてはいけないのです。もちろん切手が貼られていませんから、切手代は自腹になります。ひどくアナログですが、助け合いの精神に基づいた素敵なシステムですね。この方法は、数世紀前の旅人たちの郷愁が生み出したと言われています。

船乗りたちの郷愁がつくりあげた郵便局

届くかどうかは運次第。旅人が手紙を運ぶガラパゴス諸島の無人郵便局

かつてガラパゴス諸島は、大型捕鯨船にとって重要な物資補給場所でした。現代と違って当時は世界の海を巡るには長い年月がかかりましたから、定期的に食料や水の補給が必要になるのです。そういう理由で訪れた捕鯨船乗務員たちが、故郷の恋しい家族や恋人へしたためた手紙をこの島に残していったことがこの「Post Office Bay」の始まりだったと言われています。そしてもちろん、自分がこれから向かっていく国に宛てた手紙を見つけた乗務員は、それを持ち帰って投函したそうです。本当に差出人に届くか、どれだけ時間がかかるかも運次第の不安定な方法ですが、かつての船乗りたちにはこれしか方法が無かったのでしょうね。故郷を長く離れざるを得なかった、かつての旅人たちの寂しさが伝わってきます。

届くかどうかは運次第。旅人が手紙を運ぶガラパゴス諸島の無人郵便局
(C) tripadvisor/cabearcat

それに対して我々現代人は、メールやSNSで遠く離れた人々とも繋がることができます。そんな時代だからこそ、いくつもの偶然を経て届けられる手紙を受取れたら、感動もひとしおでしょうね。

そしてかつての船乗りたちの想いを忘れないためにも、ぜひこの「Post Office Bay」は残していって欲しいと思います。

[Photos by Shutterstock.com]
[Post Office Bay]
[cabearcat]
※画像は、著作権者より画像使用の許諾をいただいております。

倉田直子

Naoko Kurata ライター
オランダ在住ライター。元バックパッカーの旅行愛好家。2004年に映画ライターとしてデビュー。2008年、北アフリカのリビアへ移住後に海外在住ライターとして活動スタート。2011年から4年間のUKスコットランド生活を経て、2015年夏にオランダへ再移住。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間」
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