芸術の秋と言えば、映画。夏が終わると、新しい映画が続々と公開され、映画を堪能したくなる季節です。映画といえばやはりハリウッドが本場のように思いますが、映画の誕生の国であるフランスもまた変わらずコンスタントに映画が制作されています。
「このままでいいの?日本人〜フランスと日本、読書量の圧倒的な違い〜」に続く日本とフランスの文化ギャップ、今回は日本ではなかなか聞こえてこないフランスの映画事情について、日仏の比較をもとに見ていくことにしましょう。
映画の入場者数
2015年度の日本の映画人口は1億6600万人でした。フランスは2億600万人です。数字上ではフランスの方が入場者数が多いなぁという風に感じる程度ですが、フランスの人口は6632万人(2014年度)と日本の約2分の1。日本に比べて、フランスの映画人口はかなり高いといえます。
安価なフランスの映画入場料
2014年の日本の映画入場料の平均が1285円に対し、フランスの映画入場料の平均は6,38€(730円/2016年11月現在 1€=1.14円)。値段が随分と違いますね。フランスのシネコンUGCの一般の値段が、11€50(1300円)。日本のTohoシネマズの一般の入場料は1800円です。フランスは一般料金の値段も安いことに加えて、映画好きのために毎月21,90€(2500円)で、映画が見放題になるフリーパスなんかもあります。フランスは誰もが映画を見れるように手の届きやすい料金に設定されているように思います。
自国の映画?それとも外国映画?
2015年度の統計では日本では邦画が55,4%、洋画が44,6% 。フランスではフランス映画が44,7%、外国映画が55,3%という結果になりました。日本の方が自国の映画を見る割合は高いですが、それでも両国共に、ハリウッド映画だけでなく、自分の国の映画を見る人の割合は高いといえます。
シネコンVSミニシアター
(C)Nanako Kitagawa
日本でシネコンが発展した同時期にフランスでもシネコンの数が随分と増えました。その波に押され、日本ではミニシアターが閉館に追い込まれていると聞きます。フランスではどうなのでしょうか。ミニシアターの具体的な数字はありませんが、筆者がこちらの大学で映画学科に属していた頃に聞いた話ですと、シネコンの波にも負けずミニシアターは残っているとのことです。ミニシアターの強みは大きな集客が重要となってくる映画を上映するのではなく、コアな映画やクラシック映画を上映することによって、シネコンとは違う客層を掴み、細々ながらも集客に繋げているようです。
パリのミニシアターでは先ほど紹介したシネコンのフリーパスがミニシアターでも使えるところも多く、シネコンとミニシアターの業務提携も盛んにおこなわれています。
またフランスのミニシアターはお洒落なレストランやカフェなんかも併設されているところも多く、他のアプローチで映画館を盛り立てています。例えば、パリだとカトリーヌ・ドヌーヴが内装をデザインしたシネマ・デュ・パンテオンの館内のレストランが有名。文化的なサロンの役割も果たしています。
フランスでも人気の日本映画
(C)Nanako Kitagawa
フランスには全ての日本映画が入ってくるわけではありませんが、日本映画は人気です。黒澤明や小津安二郎などのクラシックな日本映画は勿論のこと、近年ではやはりジブリ映画、最近フランスの国家勲章「レジオン・ドヌール勲章」を受章した北野武、河瀬直美の映画などが人気です。
「フランス人は日曜日、街に遊びに行かない〜フランスと日本の週末の違い〜」「このままでいいの?日本人〜日本とフランスの休暇、4つの違い〜」でもお伝えしたように、日本とフランスでは自分の時間の作り方や使い方にやはり違いがあるようです。
映画人口が高いフランスは日本よりも映画が生活の中により浸透しているように思います。映画はフランスでは誰もが大好きな娯楽、芸術であります。秋も深まるこの季節。映画を映画館で楽しんでみませんか。
[TOHO Cinemas]
[2015|CNC]
[2014|CNC]
[一般社団法人日本映画製作者連盟]
[Photos by Shutterstock.com]
Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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