世界中で日本食は美味しいという認識が確立した現在、スシ(日本の寿司とはかけ離れているものもありますが、今や主だった国で食べられます)、しゃぶしゃぶ、本格的和定食、てんぷら、焼き鳥、焼肉などほとんどの和食は、ニューヨークで食べることが出来ます。空前のラーメンブームが巻き起こり、マンハッタンから、ブルックリン、クイーンズと次々にラーメンの新店が開いては、淘汰されていきました。
そしてまた、新たな日本食が流行り始めています。
ニューヨーカーはダシの味が分かってきている
世界のほとんどの料理が鶏や牛の骨脂や野菜でスープストックを作り、旨味やコクを出します。昆布、かつおぶし、あごだし、干し椎茸を使ってダシを作り、旨味にこだわるのは日本だけだそうです。日本食を研究するシェフたちから広まった”Umami(旨味)” “Dashi(ダシ)”は浸透して、今や一般的に使われるほど。
LA発のハンバーガー“UMAMI BURGER” は旨味に着目し、旨味成分にこだわったハンバーガーを作った結果大成功。2017年3-4月には、日本にも登場。旨味の再上陸とも言えるでしょう。
ニューヨークのカリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(C.I.A)は、外食界の最高峰を目指す未来のシェフが集まる専門期間。C.I.Aでも、旨味レクチャーが定期的に行われているほどです。
和食トレンド1 うどん
ラーメンブームが落ち着いてきて、ダシの旨さが分かってきたニューヨーカーは和風の麺類を好むように。
有名店Union Square Cafe(ユニオン スクエア カフェは移転)のあった場所にオープンしたのが、関西風高級うどんのつるとんたん。大きな器に入ったうどんは、「日本のものは小ぶり」という概念を覆しました。お値段はお高め。
つるとんたん Tsurutontan
2016年8月オープン
■住所:21 East 16th St, New York, NY 10003
メニュー
和食トレンド2 そば
(C) Hideyuki Tatebasyashi
対して、Fluffy(フラッフィー、ふわふわしたの意)なうどんよりもおそばがクールというおそば派。昔はソーホーに、Honmura An(本むら庵、東京荻窪が本店)という、坂本龍一氏、オノヨーコ氏など著名人が通う高級蕎麦屋さんがありました。
昨年出来た「生そば あずま」は、ニューヨークの蕎麦屋は値段が高いという既成概念を覆した、良心的な価格で美味いそばが食べられる店。しかもそばが3玉まで同額で頂けます。注文する時、Sが1玉、Mが2玉、Lが3玉です。上記写真は3玉で、二人で頂きました。そばつゆはキリッとした関東風、おそばをいただいた後にはそば湯も出してくれます。
味覚の近い韓国人、台湾人、中国人のアジア人のみならず、欧米人も多く訪れていました。器用に箸を操り、音を立てずに(欧米では食事中の音はマナー違反にあたる)上手に食べていましたよ。
生そば あずま Soba Noodle Azuma 55
2016年3月オープン 蕎麦が3玉まで同額。お代わり可。 カジュアルに食べられる。
■住所:251 W 55th St, New York, NY 10019
日替わりランチ $11.50は、マンハッタンではかなり安い
味噌汁ファンのニューヨーカーも多い
良いダシを使った味噌汁は、Miso Soup(ミソスープ)と呼ばれ、健康のために毎日食する人も多いです。ニューヨークでは、白味噌を使う人が多いですが、赤味噌ファンのニューヨーカーもいます。「シジミのお味噌汁は身体に良いから、自宅で作るのよ」と通な味噌汁ファンの声も聞きました。シジミは冷凍でニューヨークでも購入可能。インスタント味噌汁を使う人もいますが、味噌そのものを買って、本格的に自宅で料理する人も多いそうですよ。
茅乃舎(かやのや)のダシも、アメリカで買えるようになりました。在住の日本人のみならず、アメリカ人のニーズも高いようです。茅乃舎ファンとしては、嬉しいですね。
ダシに癒されたいニューヨーカー
ニューヨーカーからは、こんな声が聞かれました。
「冬に温まるそばやうどんは大好き。スープ(ダシをとったつゆ)は、ハートウォーミングな味。」
「ハンバーガーやピッツアがくどくて飽きた時、あっさりとしたお蕎麦が食べたくなる。」
「スープ(ダシをとったつゆ)は美味しい。Bento Box(お弁当)やDonburi(丼)に添えて食べるのが好き。」
「ラーメンはしつこいけど、うどんや蕎麦はヘルシーな感じ」
「鍋焼きうどんや、きつねうどんは美味しい。大好きだよ。」
「つるとんたんは、明太子クリームやうになど目新しいメニューだね。」
「あずまは、スパイシーなスープにつけて食べるそばなど、バリエーションがあって楽しい。日本食とスパイシーのコラボね。」
ニューヨークは各国から人が集まる街。国は違っても、心休まるダシをベースにした和食に惹かれているよう。私たちがダシの味にホッとするように、ニューヨーカーも癒しの味を求めているのです。
[Photos by shutterstock.com]
sara-aoyama ライター
はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。
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