【TABIZINE自由研究部】調べる、考える、まとめる、伝える。
夏休みの自由研究のように、心惹かれることについて、じっくり調べてみる。考えて、試行錯誤し、また考えて、まとめて、発表する。TABIZINEにもそんな場がほしいと思い【TABIZINE自由研究部】を発足しました。部員ライターそれぞれが興味あるテーマについて自由に不定期連載します。
今回は、TABIZINEライター、坂本正敬の自由研究「地元の町に外国人観光客を集める方法」をお届けいたします。
自分の町に外国人観光客を招く方法を、オンライン講座gaccoの「文化財を活用した観光拠点形成」をテキストに考えてきた連載の9回目。
・点ではなく文化財を核に地域全体の面で人を呼び込む仕掛けを作る
・地元の町の人たちも共感できるテーマから、起承転結の物語性を引っ張り出す
・どのような人たちが自分たちの町の持つ文化財に興味を持ってくれそうなのかを考える
などの作業が重要だと、何回かに分けて紹介してきました。
また、上述の考えをブラッシュアップするために、仲間を見つけて、仲間同士で集まれる場所と機会を設ける必要性にも触れましたね。
例えば過去の連載で紹介した長崎県波佐見町の事例では、同地を観光地として盛り上げるべく工場の跡地に、地域内外の人が集まれる場所を作ったというエピソードを紹介しました。
長野県妻籠宿のケースでも、志を共にする仲間たちがスタートとして会合を重ねたという話を紹介しましたね。
ただ、この仲間同士が集まれる場所、長崎県波佐見町のように、工場の跡地などが利用できればいいですが、実際に集まろうと思っても最初から見つかるとは限りません。お金を出せば集まれる場所などいくらでもあるはずですが、自然発生的に人が集まってくる場所に高いコストが発生するようでは、負担感で定期開催の会合が途絶えてしまう恐れもあります。
志を共にする仲間同士が無料で、あるいはほぼ無料で気軽に集まれる場所として、世の中にはどういった場所があるのでしょうか? 今回はgaccoの講義そのものの内容を少し離れて、調べてみたいと思います。
候補その1:まちづくりセンターや自治体庁舎のコミュニティルーム
志を共にする仲間と無料で会合を重ねる場所を探す際には、まちづくりセンターや自治体のコミュニティルームのようなスペースの有無をチェックしてみるといいかもしれません。
例えば北海道の帯広市にはコミュニティルームと称して、市庁舎の3階に無料で利用できる会議スペースが設けられています。町内会、サークルなど少人数での打ち合わせのために用意された場所で、印刷機なども有料ですが用意されている様子。
今回の連載で繰り返し登場した富山県南砺市の場合は、南砺市協働のまちづくり支援センターという場所が、無料でミーティング用テーブルを開放しています。
こうした施設は使用できる時間が限られていますので、早朝の6時に集まって議論をする、夜の10時過ぎに語り合うといった使い方には適していません。しかし、無料で好きなだけ集まれる場所として利便性は高そうですよね。
町づくりを考える集まりなのですから、まずはオーソドックスに自分たちの暮らす自治体が無料の会議スペースを開放していないか、調べてみたいですね。
候補その2:公民館や農村環境改善センターなど地元の公共施設
公民館や農村環境改善センターなどの施設利用も候補になります。予約などの手間がありますが、無料で落ち着いて集まれる場所として、利便性が高いスペースとなっています。
特に公民館は地元民の利用であれば無料になるケースが多いです。例えば佐賀県佐賀市の市立公民館施設の利用について調べてみると、市内に住所を有する人などの条件が整えば、無料で朝8:30~22:00まで利用できるようになっています。
有料の場合でも、例えば静岡県浜松市の農村環境改善センターの場合、午前9時から午後6時の時間帯で研修室を利用をすると、関係団体であれば1時間100円の料金で済みます。
午後6時から午後9時までが同条件で1時間150円、午後9時から午後9時30分までが70円といった金額になっています。この程度のコストであれば、定期的に会議を重ねても、特に負担感はありませんよね。
自分たちの町に多くの外国人観光客を呼び寄せようと語り合う会合です。きっと地元に協力的な施設があるはず。地元民の特権として無料で、あるいは格安で利用できないか、公民館など各種の施設をチェックしてみてください。
候補その3:カフェ(喫茶店)やファミレス
公民館やまちづくりセンターが閉館している深夜や早朝にミーティングを重ねたいときは、どうすればいいのでしょうか? 無料ではありませんが、コーヒー代程度の参加費で会議を行える場所として、カフェやファミレスが挙げられます。
カフェの中には、会議スペースを設けているお店もありますよね。筆者の暮らす町の外資系のコーヒーチェーン店は、要予約ですが大きな円卓が置かれた会議スペースが設けられています。この手のスペースがあるカフェを利用する手もありですね。
カフェがないエリアでは、ファミリーレストランも使えるはず。カフェやファミリーレストランでは長時間の居座りがお店の迷惑になる心配も出てきます。混雑する時間は避けなければいけないというデメリットもあります。周りに人が多く、話に集中できないというマイナス点もあるはず。しかし、他のお客の少ない早朝や深夜などであれば、お店や周りのお客に迷惑を掛ける心配も少なく、あれこれと議論を行えそうですよね。
以上、自分たちの町に外国人観光客を呼び寄せるための第一歩、仲間と集まって会議を重ねる場所の候補地を紹介しましたが、いかがでしたか?
もちろん参加者の誰かの家や経営する会社、あるいは長崎県波佐見町の工場跡地ように、どこか集まれる場所がある場合は、そちらを優先して使ってみてください。
[施設使用料 – 農村環境改善センター ] [打ち合わせや資料づくりができる場所は? – 帯広市 ] [南砺市協働のまちづくり支援センター利用について – 南砺市 ] [市立公民館施設の利用(貸し館)について – 佐賀市 ] [All photos in shutterstock ]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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