このところ、観光地として大人気の埼玉県川越。市のデータを見ると平成28年は年間で700万人以上が訪れたと分かります。20年前の平成8年と比べると倍近い人が遊びに来ていますから、最近の際立った人気ぶりが分かりますよね。
その埼玉を代表する人気の観光地、川越と言えば何を思い浮かべますか? 川越は筆者の高校時代の通学路でもあるため、何度か友人をガイドしましたが、誰もが「イモ」を連想していました。イモと言っても、サツマイモですね。
そこで今回は「川越に来たのだからイモを食べたい」という人におすすめのお店、石焼きイモならぬ「つぼ焼きイモ」を食べさせてくれる平本屋を紹介したいと思います。
どうして川越=サツマイモなの!?
寒い季節に熱々のサツマイモをほおばる瞬間は、本当に幸せを感じますよね。たとえ最先端の東京・表参道であっても、石焼きイモの販売車に足を止めると、気が付けば後ろに列ができているくらい、現在でも焼きイモは大人気。江戸時代に江戸に暮らした人々にも愛されたようで、庶民が食べられる甘い食べ物として、焼きイモは大ヒットしていたと言います。
しかしサツマイモの満載されたカゴを持ち上げてみると分かる通り、とにかく重たくて輸送が大変・・・。遠くで栽培すると運ぶ作業が大変だったため、江戸に近い川越周辺(現在の川越や所沢など)で栽培が始まり、新河岸川という河川で船に載せて東京に運んだと言います。
川越市の情報によると、川越産のイモは質も良く流通量も多かったため、
<天保時代(1830年ごろ)の書物「諸国名物番付」には、サツマイモの代表産地として川越地方と記載されていた>(川越市のホームページ より引用)
とあります。そのころから川越=サツマイモというイメージが定着し始めたのですね。
川越にはサツマイモのスイーツがいっぱい
聞くところによると、現状では川越周辺ではそれほどサツマイモの栽培が盛んに行われていないと言います。とはいえ、今でも川越に訪れると、サツマイモを使った食べ物がいっぱい。
サツマイモを使ったタルトや、ソフトクリーム、お酒などたくさんありますが、「せっかくなら丸ごと一本、サツマイモを食べたい」という人も少なくないはず。その場合は、平本屋に訪れてみてください。深さ80cmほどある特注のツボでじっくりと焼き上げた、石焼きイモならぬ「つぼ焼きイモ」を食べさせてくれます。
必ずしも川越産のイモを使っているわけではありませんが、店主いわく味を最優先させた上での判断との話。そのおいしさを求めて年末年始や大型連休、祭りの時期など特に人でにぎわうタイミングには、長蛇の列ができるほどです。
1949年創業で2代目が切り盛りする名店
平本屋は創業1949年の老舗で、現在は2代目の店主がお店を切り盛りしています。1代目は現在の店主の母親で、初代死去を受け、2代目が店舗を引き継いだのだとか。店主はとてもフレンドリーな方で、昔は製薬会社で営業を行っていたそう。現在は数字のノルマがない生活を、悠々自適に楽しんでいると言います。
店内は1坪ほどの広さがあり、その一角に酒屋で作ってもらったという深さ約80cm、直径約40cmのつぼがあります。針金のような棒を折り曲げ、その先端にイモを引っ掛けて、火力230~240℃の熱でじっくりと20分ほど焼き上げる調理方法になります。火力は石炭の一種であるコークスが使われており、つぼの中をのぞくと真っ赤に熱を放っていました。
中には30本ほどのサツマイモがつるされているそうですが、どうしても焼き上がりに時間が掛かります。タイミングが悪いと長い時間待たされるはめにも・・・。冬になると関東の空っ風が吹きすさぶ寒空の下で立たされる形になりますので、どうしてもお客としてはイライラが募ります。
高い接客サービスを求める顧客からすれば、店主に対する評価が厳しくなってしまうかもしれませんが、サツマイモの値段は丸ごと1本がなんと200円(かつては150円だったと聞きます)。1本400円~500円くらいを想像していたため、初来店の際には筆者も驚かされてしまいました。この値段を聞けば、多少の待ち時間も許せてしまうのでは?
しっとりと甘く、粘り気のある味
肝心の味ですが、しっとりと甘くて粘り気もあり、納得の味に仕上がっています。関東の空っ風に吹かれながら食べる焼きイモは、また格別。店主いわく、皮にも栄養があるため、皮ごと食べてほしいとの話でした。
地元の方に聞き込みをかけると、平日であればそれほど列はできていないと言います。場所は大正浪漫夢通りや川越熊野神社のすぐ近く。本川越駅から行くと、メインストリートである蔵造りの町並みに向かって歩き、熊野神社のある連雀町の交差点で右折してください。通り沿いの左手に、平本屋ののれんが見えてきます。
店主に確認すると、1本から売ってくれるとの話。気軽に立ち寄って川越名物で小腹を見たいしたいですね。ちなみに夏季は休業になります。
平本屋
住所:埼玉県川越市松江町1-23-2
営業時間:10:00~18:00
定休日:不定休(8月1日~9月10日は休業)
[Photos by Masayoshi Sakamoto and shutterstock.com ]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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