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ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道って? 〜フランクフルトからドレスデンまで〜

Posted by: 春奈
掲載日: Jan 16th, 2018.
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フランクフルトからドレスデンへといたるゲーテ街道は、文豪ゲーテゆかりの地を結んだ観光街道。

ドイツをダイナミックに横断するゲーテ街道には、ドイツ文化の源流ともいえる珠玉の町々がずらり。ゲーテの足跡に触れられるだけでなく、東西ドイツの文化や町並みの違いも楽しめます。


ゲーテ街道って?

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

「ゲーテ街道」とは、ドイツが誇る文豪ゲーテゆかりの地を結んだ観光街道。ドイツの観光街道といえばロマンティック街道が有名ですが、ドイツにはゲーテ街道も含め実に150以上の観光街道があります。

西はフランクフルトから東はドレスデンまで、およそ600キロの道のりを結ぶゲーテ街道は、ドイツを横断する観光街道。ドイツの精神文化の源流に触れられるだけでなく、東西の文化や町並みの違いも発見できるルートです。

かつては東西ドイツの分断により行き来が難しくなっていましたが、ドイツ統合以来人気が高まっている今注目の観光街道でもあります。

フランクフルト

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

高層ビルが並ぶ近代的な町並みからは想像しにくいですが、フランクフルトは1200年以上の歴史をもつドイツ有数の古都。

文豪ゲーテは、1749年8月28日、フランクフルトに生を受けました。生涯にわたって各地を旅したゲーテでしたが、故郷への愛を失うことはなく、自叙伝「愛と真実」のなかでフランクフルトでの子ども時代について語っています。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅
(C) Haruna Akamatsu

ゲーテの生家「ゲーテハウス」は、第2次世界大戦の被害を受けたものの忠実に復元され、ゲーテ一家が生活していた18世紀当時の暮らしぶりがいきいきと伝わってきます。4階建ての邸宅には、ゲーテが出世作「若きウェルテルの悩み」や「ファウスト」の初稿を執筆した部屋も。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅
(C) Haruna Akamatsu

ゲーテ広場には、ゲーテ像の向こうに高層ビルが並ぶ、フランクフルトならではのユニークな光景が広がっています。「フランクフルト市民の偉大な息子」と呼ばれるゲーテは、今なお町の人々の誇りなのです。

ヴェツラー

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

フランクフルトから南におよそ70キロ。フランクフルトから日帰りも可能なヴェツラーは、ゲーテが叶わぬ恋に身を焦がした町。旧市街には美しい木組みの家々が残っていることで知られています。

恋多き男性だったことで知られるゲーテですが、最も有名なエピソードのひとつが、ここヴェツラーでの恋でしょう。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

1772年、父親の希望で法律家見習いとしてこの地にやってきたゲーテは、舞踏会で出会った美しい女性シャルロッテ・ブッフ(愛称:ロッテ)に恋をします。しかし、彼女にはすでに婚約者がいました。叶わぬ恋に苦しんだゲーテは、失意のままヴェツラーを去ります。

2年後の1774年、ゲーテはこのときの体験をもとにした自伝的小説「若きウェルテルの悩み」を発表。一躍大ベストセラーとなり、ヨーロッパ中でゲーテの名が知られることとなったのです。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅
(C) Haruna Akamatsu

ヴェツラーには今も、かつてシャルロッテとその家族が暮らしていたロッテハウスが残っています。郊外には、世界的に有名な光学機器メーカー「ライカ」のミュージアムがあることでも有名。

フルダ

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

ワイマールからフランクフルトへの旅の途中、ゲーテが好んで滞在していたフルダ。18世紀にさかのぼるドイツ有数の壮麗なバロック建築群から、「バロックの町」の異名をとっています。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

フルダを象徴する建造物が、2本の尖塔が印象的な大聖堂。その起源を9世紀のバジリカにさかのぼるこの大聖堂は、1704年から1712年にかけてローマ・バロック様式で改築され、現在見られるような壮麗な姿となりました。

ドイツの守護聖人である聖ボニファティウスの墓所があることもあって、巡礼者の姿が絶えることはありません。

アイゼナハ

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

ワイマールで親しくしていたシャルロッテ・フォン・シュタイン(シュタイン夫人)に宛てた手紙のなかで、ゲーテが「このあたりは本当にすばらしい」と語ったのが、アイゼナハの代名詞であるヴァルトブルク城。

「ドイツ人の心のふるさと」と呼ばれるヴァルトブルク城は、ドイツの歴史上最も重要な城のひとつで、1999年には世界文化遺産に登録されました。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅
(C) Haruna Akamatsu

1000年近い歴史をもつ古城でありながら、17世紀の三十年戦争以降は急速に朽ちていった時期がありました。1777年、そんなヴァルトブルク城を「発見」し、この城に魅せられたゲーテはここに博物館を置くことを提言。それから約半世紀を経て、ようやく城の再建が決定しました。

あまり知られていませんが、現在も中世ロマン漂うヴァルトブルク城の姿が見られるのは、ゲーテの功績によるところが大きいのです。

エアフルト

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

テューリンゲン州の州都エアフルトは、1200年もの歴史をもつ花の都。中世の時代から商業都市として発展し、「テューリンゲンのローマ」とも称される美しい町並みが築かれました。

ゲーテは1808年、この町でナポレオンに出会います。ゲーテの著書の熱心な愛読者であったナポレオンはかつてのマインツ選帝侯国総督邸にゲーテを招き、フランスの最高勲章であるレジオン・ド・ヌール勲章を授けました。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

エアフルトを象徴する風景が、丘の上に巨大な大聖堂とセヴェリ教会が並ぶドーム広場からの眺め。荘厳な景色をバックにしたクリスマスマーケットは、ドイツでも有数の美しさと評判です。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

中世の時代には商人たちでにぎわったというクレーマー橋もエアフルトのアイコンのひとつ。橋の上はカフェや雑貨ショップとして使われているカラフルな建物が並び、メルヘンチックな雰囲気が楽しめます。

ワイマール

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

「ワイマール:古典主義の都」として世界遺産に登録されているワイマール。歴史と文化の宝庫ともいえるこの町のシンボルが、国民劇場前に立つゲーテとシラーの像です。

銅像を見る限り、2人は同じくらいの身長に見えますが、実際にはシラーのほうがずっと背が高かったのだとか。先輩であるゲーテへの敬意を込める意味もあって、このような形で銅像が制作されたといいます。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

1775年、26歳のゲーテはワイマール公国のカール・アウグスト公の招きによりワイマールにやってきました。以来82歳でこの世を去るまで、人生の大半をここで過ごしました。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅
(C) Haruna Akamatsu

中心部にはゲーテが50年間にわたって暮らした「ゲーテの家」が保存されており、ゲーテが「もっと光を」の名言を残した臨終の部屋も公開されています。

実はワイマールは2つの世界遺産に出会える町。デザイン好きなら、世界遺産に登録されているバウハウス博物館やバウハウス大学も必見です。

イエナ

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

文化と科学が調和したイエナは、世界的に有名な光学機器メーカー、カール・ツァイス発祥の地。カール・ツァイス社が造ったイエナのプラネタリウムは、世界初の近代的プラネタリウムとして知られています。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

1558年創立のイエナ大学では、ゲーテやシラー、ヘーゲルといったそうそうたる文人や哲学者たちが教鞭をとりました。初対面の印象が最悪だったゲーテとシラーが再開し、親交を深めのもこの町。シラーとの友情がなければ、ゲーテの代表作「ファウスト」は生まれなかったといわれています。

ゲーテ記念室に隣接する植物園にある「ゲーテのイチョウ」は、1790年ごろに植えられたヨーロッパで最も古いイチョウの木のひとつ。当時は、日本から伝わったエキゾチックな木としてもてはやされ、ゲーテの詩にも登場しました。

ライプツィヒ

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

東ドイツを代表する学芸の町、ライプツィヒ。中世の時代から商業や金融で発展し、1409年にはドイツで2番目に古いライプツィヒ大学が設立されました。1765年、ゲーテは16歳でライプツィヒ大学に入学し法律を学んでいます。

ライプツィヒは、生涯の後半をトーマス教会の音楽監督として過ごしたバッハをはじめ、シューマンやワーグナーといった偉大な音楽家たちが足跡を残した音楽の町でもあります。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅
(C) Haruna Akamatsu

タイムスリップしたかのようなクラシカルなムードと近代的な建造物が融合した独特の町並みには、不思議な居心地の良さを感じるはず。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅
(C) Haruna Akamatsu

500年近い歴史をもつライプツィヒの名物レストラン「アウアーバッハスケラー」は、ゲーテもよく通ったかつての学生酒場。ゲーテが「ファウスト」の着想を得たのがこの場所で、天井や壁には「ファウスト」のさまざまな場面が描かれています。「ファウスト」を訳した森鴎外の功績を記念した絵も必見。

ドレスデン

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

「ドイツの京都」とも呼ばれるエルベ河畔の古都ドレスデン。16世紀以降はザクセン王国の首都として繁栄し、「エルベ川のフィレンツェ」「百塔の都」「バロックの都」と称えられる、壮麗なバロック建築が並ぶ美しい町並みが完成しました。

ドレスデンの町並みに魅了されたゲーテは、「この美しい町にある途方もないあらゆる種類の宝」と記しています。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

目もくらむほどの豪華な宝物が並ぶドレスデン城や、2万5000枚ものマイセン焼きタイルで作られた壁画「君主の行列」、ラファエロの「システィーナのマドンナ」を所蔵するアルテ・マイスター絵画館など、ドレスデンには歴史の重みが詰まった見どころが満載。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

冬に訪れるなら、ドイツ最古といわれるクリスマスマーケットも見逃せません。ドイツの有名なクリスマス菓子「シュトレン」はドレスデン発祥といわれ、ドイツ全土で食べられる今もドレスデンのものが一番おいしいと評判です。

フランクフルトからドレスデンまで、ドイツの魂が息づく9つの町をめぐるゲーテ街道の旅

ゲーテの足跡とその生涯をたどるゲーテ街道の旅。そこで出会う町々には、ゲーテの魂とドイツの精神が詰まっています。

[Photos by shutterstock.com]

春奈

Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。


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