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全長60km以上!貝がらでできた世界遺産シェル・ビーチ【オーストラリア】

Posted by: 坂本正敬
掲載日: Jan 17th, 2018.
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【オーストラリア】全長なんと60km以上!貝がらでできた世界遺産シェル・ビーチ

TABIZINEで世界の謎という特集が行われました。その特集に向けた記事を書く段階でいろいろ調べ物をしていると、世界には「シェル・ビーチ」と呼ばれる場所が幾つかあると知ります。シェル・ビーチとはshell(貝がら)のビーチという意味で、文字通り砂の代わりに貝がらで海岸が埋め尽くされている場所になります。

【オーストラリア】全長なんと60km以上!貝がらでできた世界遺産シェル・ビーチ

「なんて素晴らしい場所なんだ」と思った筆者は、世界に複数存在するシェル・ビーチの中でも完全に貝がらだけでできている極めてレアなビーチを目指すべく、早速パース経由で西オーストラリアに旅立ってきました・・・、と書ければ格好良かったのですが、実際は旅立ってこられませんでしたので、国際結婚を機にオーストラリアに在住し、シェル・ビーチにも遊びに行った経験のあるという知人の日本人に、話を聞いてみました。

 


シェル・ビーチはオーストラリアの最西端近くにある

【オーストラリア】全長なんと60km以上!貝がらでできた世界遺産シェル・ビーチ

オーストラリアの観光地と言えば日本人にとって、と言うよりも世界中の人にとってケアンズ、シドニー、メルボルンなどが挙げられるかと思います。こうした人気の都市は全てオーストラリア大陸の東側。

中には世界遺産のエアーズ・ロックのような内陸の観光地もありますが、こちらでもノーザン・テリトリー(北部地方)の一部で、オーストラリア中央にあたります。それよりも西に行った経験のある人は、きっと少ないですよね。

オーストラリア大陸の南西部、インド洋に面した一角には、パース・グローリーFCの本拠地としてサッカーファンには有名なパースという大都市があります。そのパースから大陸の西岸を800km以上北上した場所には、アルファベットのEのような形をした陸地と、口を開いた人の横顔のような半島が2本並んで突き出しています。

【オーストラリア】全長なんと60km以上!貝がらでできた世界遺産シェル・ビーチ

(シャーク湾)

外洋の波が岸辺を洗う西側の半島は、海峡を挟んでダーク・ハートッグ島という大きな島を持っていて、その半島と離島に守られるように右隣(東隣)には、右を向いた人の顔のようなペロン半島が突き出しています。

ペロン半島はオーストラリア大陸の西岸とともに、世界最大のジュゴンの生息地として世界自然遺産に認定されるシャーク湾の一部を抱え込んでおり、その湾に面して半島の東岸が、口を開いたように湾曲しています。その湾曲部に貝がらでできたシェル・ビーチがあるのですね。

普通、ビーチは砂や小石でできています。しかし、このシェル・ビーチは世界でも極めてまれなケース(世界に2カ所のうちの1つ)として、完全に貝がら、あるいは貝がらの破片でできているビーチになります。

 

塩分濃度の高い海が作り出した絶景

【オーストラリア】全長なんと60km以上!貝がらでできた世界遺産シェル・ビーチ

そもそもどうしてこのシェル・ビーチは、貝がらで海岸が埋め尽くされているのでしょうか? その理由は、シェル・ビーチが面したシャーク湾の塩分濃度にあるのだとか。

シャーク湾の海水は高温による蒸発と強風の影響で極めて塩分の濃度が高くなっています。三井物産など日本の商社も塩田を持つほど。三井物産の資料によると、外洋よりも50%も塩分濃度が濃いのだとか。

そのためシャーク湾で生息できる生物は限られており、そのうちの1つが海岸を埋め尽くす1cm程度の貝なのだといいます。また、貝を襲う天敵も生息できない環境も幸いしているのだとか。その二枚貝の貝がらが4000年前から蓄積し始め、今では全長60km以上、深さ7~10mにも及ぶ貝がらのビーチを形作っているのですね。

【オーストラリア】全長なんと60km以上!貝がらでできた世界遺産シェル・ビーチ

(シャーク湾)

実際に行ったという人に話を聞きましたが、ガッカリな観光地にありがちな「貝がらのビーチはここの一角だけ」といった残念な感じは一切ないと言います。とにかくどこまでも気の遠くなるくらい、広大な貝がらのビーチが手付かずの状態で広がっているそう。なにしろ60kmと言えば、東京から神奈川県の平塚くらいの距離になります。知人によれば、

「自然の雄大さと、この貝がらが積みあがってビーチを形作るまでに費やされた時間の長さに圧倒される」

とのこと。

【オーストラリア】全長なんと60km以上!貝がらでできた世界遺産シェル・ビーチ

素朴な疑問として「裸足で歩けるのか」と聞いてみると、やはり壊れた貝がらなどが鋭利な先端をむき出しにしているため、裸足では歩けないと言います。ただ、遠浅の海なので、ひざ下まで海に入る人も少なくないみたいですよ。

唯一の難点はハエが多く、文字通りうるさくてわずらわしいと言います。それでもこの貝がらの海岸を求めて、地球の裏側からでも駆けつける価値があるそう。

【オーストラリア】全長なんと60km以上!貝がらでできた世界遺産シェル・ビーチ

「この光景だけは、実際に見ないと分からない」と痛いところをつかれてしまったので、予定のない訪問を宣言してしまいましたが、トリップアドバイザーを見ても、執筆時点で474件のレビューのうち53%がExcellent(5つ星)の最高評価、35%がVery Good(4つ星)という評価が出ています。

訪れた人の9割が極めて高い評価を与えるビーチですから、何度目かのオーストラリア旅行で西部を訪れる機会があれば、確実に足を延ばしておきたい世界遺産の観光スポットと言えそうですね。

【オーストラリア】全長なんと60km以上!貝がらでできた世界遺産シェル・ビーチ

以上、オーストラリア西部のシェル・ビーチを紹介しました。ちなみに日本からの行き方としては、まずはパースを目指し、パースからペロン半島のシャークベイ空港に向かいます。

空港からはデナムの町を目指してください。デナムからはシェルビーチツアーがCoaches and Toursによって毎日開催されています。同社の公式ホームページには、大人1人90豪ドルで参加できると書かれています。毎日20席分のツアーが用意されているみたいですから、問い合わせてみてくださいね。

 

[Shell Beach Tour  – Coaches and Tours]
[地球の歩き方編集室『地球の歩き方 C11 オーストラリア 2017 ~ 2018年版』ダイヤモンド社(2017)]
[All Photos by shutterstock.com]

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。


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