シントラの文化的景観「キンタ・ダ・レガレイラ」
ポルトガルの首都リスボンに隣接する、人口約27000人の街「シントラ(Sintra)」。この街は、シントラ王宮、丘の上のぺーナ宮殿、ムーアの城跡、キンタ・ダ・レガレイラ等の世界遺産が残る街です。中でも『キンタ・ダ・レガレイラ』は、ゴシック、ルネサンス、マヌエルなどの様々な様式を取り入れた城であり、「シントラの文化的景観」の中でも、謎に満ちた建物とされています。
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大富豪の理想郷?不気味な空気に包まれた世界感
貴族や宮廷人が理想的な形として築き上げたシントラには、素晴らしい建造物や魅力溢れる風景が多く残ります。しかし、『キンタ・ダ・レガレイラ宮殿』は、不気味さと怪しさという他の場所にはない魅力があります。
例えば、手入れの行き届いた庭園と芸術性の高い彫刻は、このキンタ・ダ・レガレイラ宮殿の大きな魅力のひとつです。しかしその彫刻を注意深く観ると、魔物のような不気味な顔をしたモニュメントがいくつもあったり、違う道に通じる隠し通路があったりと、特殊な構造をしているのがよくわかります。
この城は元々は王族のものだったそうですが、後に売却され、アントニオ・アウグスト・カルヴァーリョ・モンテイロという大富豪の手に渡ります。そして20世紀初頭、その大富豪が、建築家で舞台美術家のルイジ・アニーニの手を借り、自らの夢をを実現させたと言われています。(ポルトガル政府観光局)
大富豪が理想郷とした奇妙な世界観。非現実的な構造が訪れる人々の冒険心を煽り、魔城の様な「不気味さ」と「怪しさ」を持つキンタ・ダ・レガレイラ宮殿の虜になっていくのです。
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迷宮への入り口、美しい螺旋階段の井戸
さて、このキンタ・ダ・レガレイラ宮殿で外せない見どころがあります。それが、ダンテの神曲をモチーフにした「イニシエーションの井戸」。飛び石が敷かれた池を渡り、薄暗い洞窟を恐る恐る進むと現れます。異世界に引き込むかの様な雰囲気を持つ螺旋階段は、期待と共に心が躍ります。
深さ27メートルもある螺旋の井戸
井戸の地下から地上を眺める
獣のモニュメント
フリーメーソンを彷彿とさせるマーク。ここには錬金術研究所や秘密の地下道もあるらしい
怪しいモニュメント、不気味で美しい宮殿、そして仕掛け豊かで広大な庭園は、普通では味わう事の出来ない魅力が満載です。まるで遊園地のアトラクションの様であり、冒険心沸き立つ文化遺産だと思います。
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キンタ・ダ・レガレイラ住所: Rua Barbosa du Bocage 2710-567 Sintra
电话: +351 21 910 66 50
ファックス: +351 21 924 47 25
Eメール: regaleira@mail.telepac.pt
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Kamai Tomonori
アパレル.電材商社で働いた知識を生かし、不動産・ファッション・電機系の記事をメインに執筆。webを中心とした活動をしており、ライター以外にもコンテンツのディレクション業務や、文章の編集構成などエディターとしても活躍。
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