哲学者が思索にふけった美しい小道
桜の季節になりました。京都は名だたる花見スポットがたくさん。数ある名所の中のひとつで、歩きながら花見を楽しめるルートをご紹介します。
京都盆地の北東にある銀閣寺付近から、南禅寺に向かうせせらぎ沿いの遊歩道。哲学者の西田幾太郎が思索にふけりながら歩いたこの道は、通称「哲学の道」と呼ばれています。
哲学の道の全長は約2kmで、春には桜並木が見事です。そして散り際の花筏も実に風流。街中にありながら、初夏にはホタルも観察できます。道沿いには雑貨のお店やカフェなどもあり、寄り道するのも楽しみのひとつです。
お寺の境内に、レンガの建築
哲学の道の南端には、南禅寺があります。臨済宗南禅寺派の大本山で、1291年に開創されました。重厚な三門は迫力たっぷり。しかし、この南禅寺の面白いところは、なんといっても境内にレンガ造りの水道橋が走っているところでしょう。
明治時代に造られた水道橋は不思議なことに、お寺の純日本建築と美しく調和しています。
ちなみに、水道橋の上には登ることも可能です。
水道橋には今なお水が流れており、流れはなかなか速いです。
実は哲学の道沿いのせせらぎも、この水道橋の上を流れる水も同じ、「琵琶湖疏水」と呼ばれる用水路。琵琶湖の水が京都市内にまで引かれており、京都市民の水道水や防火用水として使われるほか、発電や舟運、防火用水など、さまざまな用途で使われています。
物資を運んだ線路跡
南禅寺の水道橋沿いをずっと歩いていくと、今度は斜面上に敷かれた線路にぶつかります。これは、インクラインと呼ばれる場所。
琵琶湖疏水を使って舟運を行う際、落差のあるところだけ鉄道を使って荷物を運びました。今では使われていませんが、設備は保存されています。2015年のお正月に、NHKの散歩番組「ブラタモリ」でも紹介されていたスポットです。
インクラインをずっと降りていくと、平安神宮や岡崎公園に到着します。ここまで歩くと結構な運動量になりますが、もし余力があるのなら、平安神宮や岡崎公園も散策してみてください。こちらも京都の名だたる桜の名所です。
いかがでしたでしょうか。桜だけでなく史跡も楽しめますし、くるくると風景が変わって飽きないので、歩いてみると楽しいですよ!
Akiko Imai ライター・気象予報士
「団子より花」をモットーに、グルメよりは生き物や絶景を求めて旅するフリーライター。普段は医療系記事・育児&教育系記事・子ども向け科学本などを執筆する傍ら、気象予報士としてお天気教室の講師も務める。共著書に『気象の図鑑 (まなびのずかん)』(技術評論社)がある。
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