全国にいろいろユニークな図書館が誕生していると聞きますが、富山市にもカメラを片手に観光客が大勢訪れるすてきな図書館があるとご存知ですか?
そこで今回は富山市立図書館のホームページ情報などを参考に、富山市在住の筆者が大人気の図書館「富山キラリ」を紹介します。
富山キラリ最大の面白さは建物を貫く吹き抜け構造
富山市に誕生した「富山キラリ」の最大の魅力はその建築スタイル。スパイラルボイドと呼ばれる、ねじれた吹き抜けが地上10階、地下1階の建物の大部分を貫いており、その吹き抜けを取り囲むように各階のフロアが広がっています。
設計を手掛けた建築家は、富山市の政策参与でもある隈研吾氏。富山市には「富山キラリ」以外にも同氏の設計による建物がありますが、両者のパートナーシップの集大成のような建築物だと言えるかもしれません。
ガラス美術館も併設されているので市民・観光客の双方が楽しめる
スパイラルボイドを取り囲む3階から5階が図書館。約45万冊の蔵書があります。その図書館と建物を分け合うようにして入居している施設がガラス美術館。
富山市は30年近く前から「ガラスの街とやま」というスローガンの下、街作りを進めてきた歴史があります。市内にはガラスの展示作品が至るところに設置され、ガラス工房や市立の学校である富山ガラス造形研究所もあります。
そうしたガラスへの取り組みを1つの目に見える形にした建物が富山キラリであり、ガラス美術館になります。
図書館とフロアやエレベーター・エスカレーターを分け合うように美術館がありますので、各階を移動する際にはガラス窓の向こう側に美術館の展示作品も一部鑑賞できます。ぜひとも目を向けてください。
ただ、「入場料が安い(常設展の観覧料は200円)割に展示がかなり優れている」と大好評ですので、時間的に余裕があれば一階のフロアで入場料を払ってじっくりと鑑賞したいですね。
持ち込みパソコン専用の利用カウンターや500タイトルの雑誌、打ち合わせ席などもある
建物そのものの大まかな特徴を述べてきましたが、図書館の中には500タイトル以上ある雑誌コーナー、授乳室や幼児用のプレイルーム兼イベントスペース、持ち込みパソコン専用のカウンター席、打ち合わせ専用席、セミナールーム、カフェ、セルフ貸出・返却システムなど、利用者の利便性を追求した機能が用意されています。
吹き抜けの天窓からは時間帯によって自然光が入り込み、壁面に多く設けられた縦長の窓ガラスの外には富山の市街地を見渡せる景観もありますので、室内に居ながら日当たりのいい公園で過ごしているかのような解放感もあります。
木の手触りが心地いいカウンター席、テーブル席からの展望も格別ですので、お気に入りの本を見付けて席を陣取れば、思わず予定よりも長居してしまうかもしれません。
もちろん全館でWi-Fiも使えますし、市内のど真ん中にありますので、国内外の旅行者もとりあえず立ち寄りたいですね。
以上、富山市に2015年8月に完成した図書館&美術館、「富山キラリ」について紹介しました。路面電車の駅からも徒歩すぐですので、富山駅構内から路面電車の環状線に乗り換えて、足を運んでみてくださいね。
[新本館のご案内 – 富山市立図書館 ] [All photos by 坂本正敬]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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