世紀の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。謎めいた微笑みが今も人々の心を捕らえる名画「モナ・リザ」の作者であり、絵画以外にも、建築、音楽、科学、数学、解剖学、地学、植物学、発明など様々な分野で、前人未到、いえ現代の学問すら及ばない偉業を残した奇才です。
そんな天才はいったい、どんなところで生まれて育ったのでしょうか?
それは彼の名前が示しています。レオナルド・ダ・ヴィンチとは、イタリア語で“ヴィンチ村のレオナルド”という意味。彼が生まれ、幼少時代を過ごしたヴィンチ村はイタリア中部トスカーナ州フィレンツェ県にあります。
フィレンツェから30キロほど離れた郊外にあるヴィンチ村はのどかで、今も彼が過ごした時と変わらぬ景色を残しています。天才レオナルド・ダ・ヴィンチが生まれたヴィンチ村、彼が見て育った景色をご紹介します。
天才が見た景色
ヴィンチ村はトスカーナののどかな丘陵地帯、小高い丘の上にあります。まわりはぶどうやオリーブの畑で牧歌的な景色が広がります。
小さいながら、中世の面影を残すかわいらしい村です。
当時の陰影を映す町並みに、この路地は幼いレオナルドも通ったのだろうか、この広場できっと遊んだであろうなどと想像され、散策の楽しさもひとしおです。
村にはレオナルドに関する博物館が2つあります。「レオナルド博物館」と「レオナルド・ダヴィンチ・アイディア博物館」です。
博物館には、彼の作品、また発明のデッサンをもとに作った模型などが展示してあります。発明品の中には、自転車や自動車、ヘリコプター、紡績機、銃や戦車まであります。実際に自動車が現実のものになったのは19世紀、彼が生きたのは15世紀。日本は室町時代、まだ牛車を使っていた時に、彼の頭の中にはもう自動車が描かれていたなんて驚きです。
また、村の中心部から3キロほどいったところに彼の生家も残されていますので、お天気が良ければハイキングがてら訪れてみるのもいいですね。
時代が流れた今も、彼の残した作品の中に暗号や、何かの意図を隠した “ダヴィンチ・コード” があるのではと、人々の興味を引いてやまないレオナルド・ダ・ヴィンチ。彼が生まれ、幼少期を過ごした村は、意外にも緑溢れるのどかで平穏な風景です。しかしきっと彼はこの広い大地と空に数々の夢を思い描いたことでしょう。そして、その緑の大地と広い空は、彼が過ごした時代と変わらずここにあります。彼が見たのと同じ景色を眺めて、彼が描いた夢を考えてみれば、もしかしたら彼が意図した “ダヴィンチ・コード” の謎が見えてきたりするかもしれませんね。
[ヴィンチ村]
[Photos by Ryoko Fujihara & Shutterstock.com]
Ryoko Fujihara フォトグラファー&ライター
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、’09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、イタリアで撮影・執筆活動をしつつ、更なる美しい景色を求めてカメラ片手に旅を続けている。
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