最高に美しくロマンチックなパリ。フランスの映画人だけでなく、ハリウッドや他の外国の監督たちもまたパリという都に惹かれ、この街を舞台にした映画が数多く制作されてきました。パリはどのように映画で描かれてきたのでしょうか。映画のシーンに登場したパリをご紹介します。
ムーラン・ルージュ
パリの代表的なキャバレーといえばムーランルージュ。赤い風車を意味するムーランルージュは1889年に誕生しました。フレンチカンカンなどのダンスや歌、大道芸など、一流のエンターティメントを提供しています。
ムーランルージュは度々映画で描かれています。古くはフランスの映画監督ジャン・ルノワールの「フレンチ・カンカン」(1954)や最近では日本でもヒットした「ムーラン・ルージュ」(2001)。ムーランルージュはベルエポックの象徴的な存在。多くの人々を夢心地の世界へと連れ出してくれる場所なのです。
[MOULIN ROUGE 公式日本語サイト]
シェイクスピア・アンド・カンパニー書店
(C) Nanako Kitagawa
シェイクスピア・アンド・ カンパニー書店は、英語本の販売のコーナーの他に、英語文学専門の図書室も併設しています。初代シェイクスピア・アンド・ カンパニー書店は1940年代までパリのオデオンにありました。経営者であるシルビア・ビーチの死後、もともとこの地にあった英語本の書店「レ・ミストラル」が改名という形でこの名前を襲名したのだそうです。
「ビフォア・サンセット」(2004)では作家になったジェシーとセリーヌが再会する場所としてシェイクスピア・アンド・カンパニー書店が使用されています。また「ミッドナイト・イン・パリ 」(2011)の若き作家ジルも映画の中でこの書店に通っています。
(C) Nanako Kitagawa
なぜパリを舞台にした映画でシェイクスピア・アンド・カンパニー書店がこんなに描かれているのでしょうか。1920年代アメリカからやってきた若い作家、ヘミングウエイやフィッツジェラルドなどが、この書店に通いました。パリのアメリカ文学はこの書店によって開花したようなもの。シェイクスピア・アンド・カンパニー書店はアメリカの文学ファンにとっては特別な場所なのです。
[SHAKESPEAR AND COMPANY]
ポンヌフ
ポンヌフとは新しい橋を意味しますが、パリで一番古い橋がこのポンヌフ。セーヌ川にかかる橋です。ポンヌフはパリにある橋の中でも、ロマンチックな場所のひとつ。夕暮れから夜にかけてのセーヌ川の景色は心も酔わせてくれます。
1991年のフランス映画「ポンヌフの恋人」では、孤独の青年と失明の病に冒された女子画学生がホームレスになりポンヌフで暮らすお話。この橋を舞台に恋愛模様を描いています。実際の映画の橋は実物と同じ寸分のものをそのまま再現しセットで撮影されてたのだそう。この橋を通ると切ないこの映画のシーンが思い出されます。
コンコルド広場
シャンゼリゼ通りとチュイルリー公園の間にコンコルド広場があります。フランス革命の処刑が行われた歴史的な場所。
このコンコルド広場が映画の舞台地として描かれたのが、「プラダを着た悪魔」(2006)のワンシーン。ファンションウィークでパリに来た主人公アンドレアがコンコルド広場の噴水に携帯を投げます。上司と決別する特別なシーンでした。
セーヌ川
最後に紹介するのは、映画の鉄板ロケ地ともいえるセーヌ川。パリの中でもセーヌ川の景色は美しく、多くの人の心を特別な気持ちにさせる不思議な場所です。
映画ではオードリーヘップバーンが「シャレード」でセーヌ川の遊覧船に乗ったり、近年では「モンテーニュ通りのカフェ」や「プラダを着た悪魔」、「ビフォア・サンセット」「ミッドナイト・イン・パリ」などの映画の主人公たちは夢心地にセーヌ川沿いを歩いています。セーヌ川はどこを切り取っても絵になるほど美しく、川沿いを歩くだけで映画の主人公のようにロマンチックな気分になりますよ。
次回のパリ旅行では、映画で描かれたロケ地を巡る旅はいかがですか。美しいパリは魔法のようにあなたを映画の中のようなロマンチックでノスタルジックな世界へと誘ってくれます。
[参考文献/地球の歩き方(フランス)]
[Photos by Shutterstock.com]
Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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