2016年4月に熊本を襲った2つの大地震。大変な被害をもたらしましたが、その時期に熊本や大分を旅行していた外国人旅行者も少なくなりません。
九州で巨大地震に被災した外国人旅行者は、どのような困難に直面したのでしょうか?
そこで今回は調査会社のサーベイリサーチセンターによる「外国人旅行者の 避難行動に関する調査」をもとに、熊本や大分に滞在していた外国人旅行者がとった行動や、困った問題点などまとめます。
そこから、あなた自身が海外旅行で災害にあったときの行動のヒントが見えてくるかもしれません。
困ったトラブル1位は「多額の経済的な負担」
訪日外国人旅行者が2016年4月は、2か月連続で200万人を超え208万人達したと、日本政府観光局から発表がありました。
世界各国から日本に遊びに来てくれる観光客が増えている分だけ、2016年4月に発生した熊本地震では、多くの外国人旅行者が被災しました。慣れない旅先での大地震、かなりの困難や不安に直面したと考えられますが、具体的にはどのようなトラブルに巻き込まれてしまったのでしょうか?
冒頭の調査では、熊本・大分に滞在していた訪日外国人旅行者に対して「地震発生時にどのようなことに困りましたか?」と質問。その回答として、
1位・・・全ての日程が狂い、多額の負担が生じた(52.9%)
2位・・・外国人向けの地震避難マニュアルがなく行動が理解できなかった(47.1%)
3位・・・今後の旅行がどうなるのか想定できなかった(44.1%)
4位・・・言葉が分からずどこに行けばよいか分からなかった(41.2%)
5位・・・テレビ等での地震の放送が理解できなかった(32.4%)
5位・・・どのようなものを持ち出せば良いか行動が分からなかった(32.4%)
といった声が挙げられました。2位や4位、5位の地震避難マニュアルがない、言葉が分からない、放送が理解できないといった点は、外国を旅行する日本人が最も苦しみそうな点です。
パニックになると、普段なら分かるはずの簡単な外国語も理解できなくなるといったケースも・・・。地震などの天災だけではなく、テロ、火事や盗難被害なども含めて、旅行先では万が一の際の行動を事前に確認しておきたいですね。宿泊先に着いたらまず避難経路確認しておく癖をつけるのもよさそうです。
次は旅先で役にたった情報源についてです。
旅先で役に立った情報源1位は「宿泊先の従業員」
避難マニュアルがなく、テレビを見ても何を言っているのか分からない、そのような状況下で、外国人旅行者は何を頼りに行動したのでしょうか?
「避難や旅行の行程などの情報で役立った情報は?」との質問に、
1位・・・宿泊先の従業員(50%)
2位・・・同行の日本語ができる人(35.3%)
3位・・・日本のテレビ・ラジオ(26.5%)
4位・・・知人へ電話やメール(17.6%)
5位・・・母国のWEBサイト(14.7%)
といった回答が挙げられています。やはり頼れる存在は、自分の泊まっているホテルの従業員なのですね。また、一緒に旅をしている現地ガイドなどが居れば、災害時にも頼れる存在になってくれるのだと分かりました。
大きな噴火やテロ、地震であれば、海外の情報であっても日本で情報が流れます。現地での情報収集にプラスして、日本に居る友人に電話やメールをしたり、母国のWEBサイトにアクセスして情報を収集したりできる とも分かりますね。さまざまなチャンネルを通じて、必要な情報を取りそろえてみてください。
以上、熊本の地震に被災した外国人旅行者が、旅先の現地で困ったことや役立ったことをまとめました。
ちなみにtenki.jp など、過去に海外で発生した巨大地震の情報をまとめてくれているウェブサイトもあります。南米、中米、中国、インド、東南アジア、太平洋の島々、ニュージーランドなど、日本と同じく大きな地震が多発しているエリアに行く場合は、事前に地震の発生状況も調べておきたいですね。
[熊本地震における訪日外国人旅行者の 避難行動に関する調査(SRC自主調査) – サーベイリサーチセンター ] [All photos by Shutterstock.com ]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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