ヨーロッパの中では治安がいいと言われるドイツ。ドイツ南西部に暮らしている筆者も怖い目に遭ったことはなく、ドイツが比較的安全な国であることを実感しています。
とはいうものの、世界で最も平和な国のひとつである日本と同じ感覚でいてはいけないのも事実。日本に比べるとテロのリスクも高いことは複数の事件が物語っています。ドイツを旅行するうえで注意すべきポイント6つをご紹介しましょう。
所持品の管理を徹底する
ドイツに限った話ではありませんが、所持品の管理には十分注意してください。「スキのある旅行者」と思われてしまうとスリなどのターゲットになりやすいため、スキを見せないことが大切です。
具体的には、口がしっかりと閉まるバッグを使用する、バッグを無造作に床に置いたり、所持品から目を離したりせず、常にぴったりと身に着けるなどです。高級ブランドのバッグはそれだけで目立ってしまうのでおすすめできません。
必要以上の現金、パスポートなどの貴重品はむやみに持ち歩かず、ホテルのセーフティーボックスに預けることをおすすめします。多額の現金を持ち歩かざるを得ないときは一ヵ所にまとめず分散して持ち歩くようにしましょう。
複数犯による巧妙な手口のスリ事件も報告されているので、見知らぬ人がぶつかってきたときや、「服が汚れている」などと話しかけられたときにはスリ目的の可能性があることを念頭に置いて警戒してください。
周囲の空気に敏感でいる
ドイツにおける移民人口は約1530万人で、総人口の19.2%にものぼります。このデータは2011年の国勢調査によるものなので、現在はさらに増えている可能性が高いでしょう。
決して、「移民=犯罪者」というわけではありませんし、中東やアフリカからの移民でも高い教育を受け、ドイツ社会で活躍している人も大勢います。とはいえ、平均的に見ると移民・難民の所得や教育の水準が低い傾向にあるのは事実です。また国や宗教の違いからヨーロッパとはまったく異なる価値観や倫理観をもつ人もいます。
さまざまな背景をもつ人が暮らすドイツでは常に周囲の空気に敏感でいることが大切です。たとえば、連れがいないのに大声で話している人物と電車の同じ車両に乗り合わせら車両を変える、騒いでいる集団や不審な人物からは離れるなど、不穏な雰囲気を感じたら見過ごさずに行動に移しましょう。
政治的なデモや集会に近づかない
ドイツは難民の受け入れに積極的な政策をとってきましたが、それに対し反発する勢力も存在します。たとえば、反イスラムを掲げるPEGIDA(「西洋のイスラム化に反対する愛国的な欧州人」)などの団体は大都市を中心に難民反対の集会やデモ行進を開催しています。さらにはPEGIDAへの反対を表明するグループや集会も存在しています。
そういった政治的なデモや集会の場では、テロや暴力事件といった不測の事態が起きないとも限らないので不用意に近づかないようにしてください。
大規模なイベントやお祭りに注意
大規模なイベントやお祭りはテロの危険性が通常より高まるだけでなく、窃盗や性犯罪の場になる可能性もあります。不特定多数の人が集まる大規模なイベントやお祭りにはやはりある程度のリスクがあることを認識しましょう。
2015年の大みそかにケルンで起こった事件のように、夜遅い時間帯になると周囲にたくさん人がいても安全とは限りません。特に女性だけの場合は夜遅い時間のイベントやお祭りへの参加はできるだけ避けることをおすすめします。
治安の悪いエリアに注意
一般的には「治安がいい」といって差し支えないドイツですが、ある程度の大きさの街になれば治安の悪いエリアが存在します。
ガイドブックにそういった情報が載っている場合もありますし、載っていなければホテルのスタッフに聞いておくといいでしょう。
一般論として気を付けたいのは中央駅周辺と駐車場。多くの人が行き交う大きな駅周辺は特に所持品の管理に注意が必要です。また駐車場は強盗の被害に遭いやすい場所なので、特に夜は近道だからといって駐車場の中を通ったりしないほうが無難です。
ニセ警官に注意
ドイツでニセ警官による事件が多発しているというわけではなく、実際に遭遇する可能性は低いといえるでしょう。しかし日本ではほとんど存在しない類の事件のために、予備知識がないと運悪く被害に遭ってしまう可能性があります。
実際に、ベルリンで日本人観光客がニセ警官に所持品検査と称して金品やクレジットカードを抜き取られるという事件が複数件発生しています。
本物の警察官であれば、制服・私服警官を問わず、最初に警察官の身分証明書を提示することになっています。また、警察官が路上で所持金の検査をすることはありません。通常、警察官が観光客を呼び止めることはあまりありませんから、ニセ警官というものが存在することを念頭に置いて警戒してください。
基本的に、貴重品を厳重に管理する、夜遅くの外出や移動を避ける、雰囲気の悪いエリアは避けるといったごく普通のレベルの注意を怠らなければドイツは危険な国ではありません。だからといって気を緩めず、適度な緊張感を維持しつつドイツ旅行を楽しんでくださいね。
また、日本に比べるとテロのリスクが高いことを認識し、外務省の海外安全ホームページなどで、最新の情報を入手するようにしましょう。
[外務省 海外安全ホームページ・ドイツ]
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Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。
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