アメリカには、結婚式の前に必ずといっても良いほど「ある行事」が行なわれます。それは結婚する女性とその仲の良い友達だけで行われる男子禁制の独身パーティー。それは「バチェロレッテ・パーティー」と呼ばれ、独身最後に青春時代を思い出して遊び尽くすというもの。そんなパーティーにも最近は変化が起きているようです。その実態を筆者が本場アメリカからお伝えします。
バチェロレッテって?
バチェロレッテ(英: Bachelorette)というのは「未婚女性」を指す言葉ですが、元々は未婚男性を指すバチェラー(英: Bachelor)から派生したアメリカ英語。男性が最初に結婚前最後に羽目を外すパーティーを始め、やがて女性たちが「私たちもやりたい!」と習慣を取り入れたことで恒例行事化するまでに発展したと言われています。
王道のパーティースタイル
もちろん人にもよりますが、王道スタイルというのは昔から存在します。最もポピュラーなのはラスベガスなどの大都市で煌びやかなドレスに身を包み、シャンパン片手にパーティーを楽しむというもの。
映画『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』ではバチェラー・パーティー時にラスベガスで羽目を外しすぎて大失敗をするシーンがありましたが、女性もついつい羽目を外しすぎて二日酔いどころか三日酔いになる人もいるんだとか。人生でもっとも大きな決断のひとつである結婚を前に「最後だから」とついつい盛り上がりすぎてしまうのは、ある意味でこのパーティーの醍醐味なのかもしれませんね。
バチェロレッテ・パーティーの裏側
実はこのパーティーを企画するのは花嫁本人ではありません。通常アメリカでは結婚することが決まったら結婚式のために花嫁が「ブライズ・メイド」という花嫁付添人を選出します。選ぶ対象は姉妹の場合もあれば幼馴染み、大学時代の友人など人によって十人十色ですが、基本的には一番親しい人を選びます(数人の場合も有り)。
選出された人がそれを引き受けた場合、このブライズ・メイドが必然的にバチェロレッテパーティーの企画をすることになるのです。決まってからは大忙し。なぜなら花嫁の呼びたい人への連絡、日程の調整、レストランや交通手段の確保などの作業を一手に引き受けることになるからです。その準備には約3か月かかると言われており、花嫁にこのパーティーの費用などの負担はさせず参加者で賄うことが暗黙の了解となっているこの伝統。実は急な支出に痛手を背負うこともあるのだとか・・・。
最近の変化
そんなバチェラーパーティーにも実は昨今、変化が訪れています。というのも、最近は派手なパーティーよりもこじんまりとしたパーティーがじわじわと人気を集めているんです。これは親しい仲間たちだけで楽しむことや、お金をかけない思い出作りに意義を持つ人が増えたことが大きな理由。特に最近は日常の喧騒から離れ、自然の湖の近くやビーチの近くにコテージを貸し切るというAirbnbを活用したスタイルはじわじわと人気を集めています。そのほかにもこのためだけのお揃いのTシャツを作って着てみたり、カラオケナイトをしてみたり、スパ三昧を味わってみたりと時代によってその様式は変わってくるようです。
「友達の大勢いる人気者は一年中パーティーだらけになってしまうのではないか」といらぬ心配をした筆者ではありますが、いつだって全力で楽しむことを忘れないアメリカ人にとっては大切な伝統行事。派手かシンプルかなんてそんなことは大して重要なことではなく、一番大切なことは「心から祝ってあげる」瞬間を共有したいというその心意気なのかもしれないですね。
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[The knot]
Saya Meguro ライター
北海道出身。NZや日本をヒッチハイク縦断してみたり、ヒマラヤに登ってみたり、スペインで盗難に遭ってみたり。とにかくワクワクすることがすき。将来の夢は湖畔のちかくに家を建てて、動物と自然に囲まれて暮らすこと。
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