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連載旅小説「私はニューヨークなんか、興味がなかった」第6話/恋に落ちたのは・・・

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思いがけない人

連載旅小説「私はニューヨークなんか、興味がなかった」第6話
(C) Hideyuki Tatebayashi

なんとその人は、希望退職した会社で取引先だった、営業担当の吉田氏。そもそも彼の会社がライバル会社と吸収合併してしまったので、私の所属部署がなくなってしまったの。彼とは5年以上も仕事での付き合いがあった。会社の急なバタバタでご挨拶も出来なかったんだっけ。それにしても、なんでここに?

「白雪さんが会社を辞められたと伺って、驚いて」

まさか、私が会社を辞めたから、ニューヨークまで追っかけてきたというの? それにしても、どうして私の居所がわかったのかしら?

「実は山口さん(鈴子の配偶者)は大学の先輩でして、仕事の話をしていて偶然白雪さんとお知り合いだと知っていたのです。今回会社を退職されたと聞いて、山口先輩に連絡を取りました。そうしたら、ニューヨークにいると伺って、急遽夏休みを取り渡米したのです。白雪さんの居場所は、奥様の鈴子さんがご存じでした」

えーっ、そうなの?

あなたを見ていた

連載旅小説「私はニューヨークなんか、興味がなかった」第6話
(C) Hideyuki Tatebayashi

図書館の外に出ると、もう日は暮れていた。吉田氏と私は肩を並べて歩き出したの。

「担当が白雪さんで、A社に伺うのが楽しみでした。発注はいつも間違いないし、目立たないけど男性社員のサポートも行き届いていた。部署では女性社員が白雪さんおひとりで、女性の派遣社員をよくまとめていらした。私の会社にも女性派遣社員が多かったので、まとめるのが難しいのは知っているのです」

吉田氏がそんなところまで見ていたなんて、ビックリだわ。

「あなたを見ていました。仕事ぶりを。そして人柄を。口に出せないまま、いきなり会社の組織編成があって状況が変わってしまった。でも、白雪さんとそんな別れ方をするのは嫌だったのです」

私に好意を抱いているとは知らなかったわ。

「白雪さんは何かを胸に秘めていらして、でも胸の奥にしまったまま、口には出さない人だろうと。それが何かも気になっていました。私が力になれるかどうか」

無口だった吉田氏が心情を吐露するのに、私は驚いていた。そして、誰かがちゃんと私を見ていて、理解してくれていたことが嬉しかった。

「私も実は会社を辞めました。そして兼ねてから継ぐ予定の家業を引き継ぐことになったのです。その会社で、白雪さんに手助けして欲しくて、お願いにあがったのです」

私が吉田氏の会社で働く?

「考えてみてくれませんか」

人生は小説よりも奇なり

連載旅小説「私はニューヨークなんか、興味がなかった」第6話
(C) Hideyuki Tatebayashi

鈴子と私は、トップオブザロック(TOP OF THE ROCK)で、夕陽が落ちるのを眺めていた。

「へええ、ヒメってば、モテモテじゃないの」
鈴子は他人事だと思って、面白がっている。

「ヒメの人生が動き出したわね。ニューヨークに来て良かったでしょ?」
確かにね。ニューヨークで起こった出来事は、まるで小説みたいだった。

「あと2日で日本へ帰るのね。これからどうするつもり? 日系2世の彼と吉田氏は?」
それは心の動く方に、考えよう。

この夜景を見に、また帰ってくる

連載旅小説「私はニューヨークなんか、興味がなかった」第6話
(C) Hideyuki Tatebayashi

陽が沈み、いよいよショーの幕開けだ。マンハッタンの夜景は、壮絶なまでの光の渦。東京で見る夜景とは違う、多分どこの国とも違うこの夜景。ニューヨークに集まった人々のエネルギーが昇華して、この街を輝かせているかのよう。

恋愛も、仕事も、まだいろいろ可能性がありそう。だって、まだ32歳だもの。

私はニューヨークなんか、興味がなかった。でも、私はニューヨークと恋に落ちたの。きっとまた、この街に帰ってくるだろう。

連載旅小説「私はニューヨークなんか、興味がなかった」は今回が最終回となります。ご愛読頂き、御礼申し上げます。

[All photos by Hideyuki Tatebayashi]

※無断で画像を転載・使用することを固くお断りします。Do not use images without permission.

(注)この物語は、フィクションです。

青山 沙羅

sara-aoyama ライター
はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。


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