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連載小説「迷える女子に、幸せ行きの切符を」第5話/あたりまえの日常に非日常を

Posted by: 栢原 陽子
掲載日: Feb 11th, 2017. 更新日: Feb 13th, 2019
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連載小説「迷える女子に、幸せ行きの切符を」第5話/あたりまえの日常に非日常を

<過去のお話はこちらから>
 第1話/一人旅ってありかも?
 第2話/人生への挑戦、してる?
 第3話/幸せを共有したい人
 第4話/幸せ行きの切符


台湾2日目。PM3:30

連載小説「迷える女子に、幸せ行きの切符を」第5話/あたりまえの日常に非日常を

おみやげは「コレを買っておけばだいたい間違いない」と真由に教えてもらったパイナップルの小さなケーキと、大切な人には個別でお茶を買うことにしていた。

お土産を目当てに入った中国茶のお店は思っていたよりも高価で少しひるんだけれど、少しずつ試飲させてもらいながら、一番美味しいと思うものを真由や大地、聡に買った。聡にこれを渡すのは、会うのが最後になる日だろうと思った。

その後、来た時にも乗った空港と台北とをつなぐバスに乗り、空港へと向かった。昨日の朝見た時とは逆に移り変わっていく景色を、あの時とは全く違う気持ちで眺めている自分がいた。

台湾2日目。PM7:30

連載小説「迷える女子に、幸せ行きの切符を」第5話/あたりまえの日常に非日常を

空港で搭乗まで時間があったので、初めての一人旅の記念に自分用に台湾らしい刺繍の入った赤い小銭入れを買った。それから飛行機に乗る前に、どうしても1つやっておかなければならないことがあった。大地へのメールだ。

「行って欲しくない」と言われながらも、大地の気持ちを無視して台湾にやってきたこと、出発前に無視され続けて未だに連絡がないことを考えると、今更何を送れば良いのかわからなかった。でも話したいことはたくさんあった。台湾にやってきて、初めての一人旅をしてみて、見たもの、感じたもの、大地に対して思ったこと。返事があってもなくても、伝えておきたいことはたくさんあった。

一言一言、少しでも気持ちがきちんと届くようにと書いたり消したりしながらメールを作った。

帰国後1日目。PM1:30

月曜日の午後、会社に行くと真由が一番に駆け寄って来てくれた。
「お帰りーーーーーー!! 心配したんだよ、何より無事でよかった! 楽しかった楽しかった?」
真由の声が大きく社内の注目を浴びてしまったので、千晴は慌てて「また仕事終わってからね」と耳打ちした。

帰国後1日目。PM8:30

連載小説「迷える女子に、幸せ行きの切符を」第5話/あたりまえの日常に非日常を

夜、台湾行きを決めたダイニング居酒屋で真由と千晴は2週間前と同じように食事を囲って向き合っていた。台湾で食べた小籠包やかき氷のこと、九份で見た景色のこと、お茶の美味しさに目覚めたことなど、写真を見ながら説明する度に、真由から「いいなー」の声が挙がった。

「そっかぁ、そんなに楽しかったか、良かった良かった。本当に良かったねー」
と千晴の話を聞き終わって、真由は自分のことのように喜んでくれた。
「それで、その幸せ行きの切符はどこに行く切符だったの?」
真由が一番興味を持つ話はまだしていなかった。

ふふっと笑って千晴は「生ビール1杯追加でー」ともったいぶった後、九份で大地の顔が浮かんだこと、マッサージ店で出会った女性に人生を教わったことを話した。

真由は静かに話を聞いた後、悟ったように言った。
「旅の出逢いは特別だよね。変えよう、変わろうって自分から動ける人には、必要なものが届けられるんじゃないかな? って思うことは私もよくある。そういうのってきっと必然で、出逢うべくして出逢うんだよね」

「ひつぜん・・・」
千晴はその言葉を口の中で転がした。

(次のページに続く)

>>>台湾までのお得な航空券は今いくら?

帰国後1日目。PM10:30

月曜日だというのにいい感じに酔っ払い、そろそろ帰ろうとした時、千晴のLINEが鳴った。何気なく手にとると、そこに表示されたのは大地の名前だった。

「真由ちゃん!!!! 大地だ!」
千晴の声の大きさに驚いて、真由はすぐに横からスマホを覗いてきた。

お帰り! 無事で良かった。出発前は仕事が忙しくて連絡できなくてごめん。
今週末なら少し落ち着くと思うから、なんか食べに行く?

といつもながら顔文字もスタンプもない無愛想な内容だけれど、変わらないその無愛想さが大地らしくて嬉しかった。仲直りできるならそれが一番だけれど、大地との関係が終わるにしても今の自分の想いは伝えておきたいと思った。

帰国後1日目。PM11:00

連載小説「迷える女子に、幸せ行きの切符を」第5話/あたりまえの日常に非日常を

真由と別れて、約2週間ほど前に乗った電車と同じ電車に乗った。千晴は電車の窓に映る自分の姿を見ながら「人生って不思議だな」と何度も思った。

何を選べば良いのか、どの道が幸せにつながっているのかわからなくて、悩みに悩んでいたほんの2週間前。でも今は、人生で初の一人旅を終えて、気持ちに覚悟がついた自分がいる。昨日は台湾にいたのに、今日はもう当たり前の毎日に戻っている。

人生で願っていることは、行動に移してみれば案外簡単に手に入るものもたくさんあるのかもしれない。それでも、人は変わるのが怖くて、何かを決断するのが怖くて、踏み出せないでいるんだろう。

もちろん思うように行かないこともたくさんある。でもあの女性も言っていた。「幸せにしてくれる相手を選ぶんじゃなくて、幸せにしてあげたい相手を選びなさい。幸せを他人に任せるんじゃなくて、自分の幸せに自分で責任を持ちなさい」って。

九份のあの夜景を見て、大地にも見せたいと思った。それが全ての答えだったことは、今の千晴はもうわかっていた。

起業したばかりで仕事も不安定で、なかなか会えなくて結婚もできるかどうかわからないし、子供だってどうなるかわからないけれど、大地が仕事を頑張りたいと言うなら、それをそばで支えるのも悪くないと今なら思える。

週末、大地に会いに行く。台湾で買った一番お気に入りのお茶と、思い出話を持って。こんなに会いたいと思うのも久しぶりかもしれない。

連載小説「迷える女子に、幸せ行きの切符を」第5話/あたりまえの日常に非日常を

家に着いて、台湾で買ったお茶を自分のために丁寧に淹れた。

今まで行った国はそう多くはないけれど、どこもとてもステキだった。キレイな景色や美味しい食べ物や、その国でしか経験できない旅行に連れて行ってもらった。

でも台湾という国は少し違う。帰ってきて思い出す度に「あれ? また行きたいかも」と思い始める。滞在していた時よりも離れてみてもっと好きになる国だったように思う。だからと言って、「住みたいか?」と問われればそれは違う。台湾が日常になってしまうと、台湾の魅力を楽しみきれなくなってしまう気がするから。旅は非日常だから楽しい。

千晴はスマホを手に、Facebookを開いてたくさんの思い出の写真と共に書き込んだ。

1泊2日、弾丸旅行で台湾に行ってきました!! 人生初の一人旅☆

よく「あたりまえにある大切なものは失ってから気づく」と言うけれど、日常の中にあえて非日常を作ることで、失ってしまう前に、大切なものの存在に気づくことができるんだと知った旅でした!

小籠包も九份もマッサージも、出逢いも全てが最高でした!!

真由からすぐに「いいね」がついた。今度はどこに行こう? 大地の顔が浮かび「もし仲直りできたなら誘ってみようかな」と思ったけれど、「やっぱり一人で行くのも悪くない」とすぐに思い直した。台湾行きのチケットを手配したのと同じように、今度は目的地を入れる検索BOXに「イタリア」と入力して航空券の候補が表示されるのをワクワクしながら待った。

-了-

>>>台湾までのお得な航空券は今いくら?

 

※この物語はフィクションです。過去および現在の実在人物・団体など実在するものとは関係ありません。

連載小説「迷える女子に一人旅のススメ」第1話/一人旅ってありかも?

[Photos by Shutterstock.com]

栢原 陽子

栢原 陽子 Yohko Kayahara 作家・コラムニスト
「UNI:たった1つの人生をブランドに」をテーマに仕事、ヨガ、恋愛ネタで「きっかけ」を創り出す記事を執筆中。 ヨガ業界の真ん中でライター、プロデューサーとしても活動をしながら"幸せ"や"愛"、"人生の意味"の答えを探し求めて、ふと立ち寄った東京にて日々迷子になりながら人生の旅を続ける。 UNIBRAND:http://unibrand.jp

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