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文庫片手に札幌で石川啄木の110年前の足跡をたどる/現地特派員レポート

Posted by: Naoki
掲載日: Feb 16th, 2017.
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 【TABIZINE 現地特派員による寄稿】 

もしあなたがしようとしているのが一人旅なら、そしてその旅先が札幌であったとしたら、旅の道連れに一冊の本を荷物の中に忍ばせて行くことをおすすめします。

その本とは石川啄木の詩集「一握の砂」文庫版。

旅の途中で持参した本に目を通す余裕など、忙しい旅をするあなたには無いかも知れません。でも、すでに主な観光名所を見てしまい、グルメなお店を巡るにも少し時間をもてあましている時には、この本のことを思い出しましょう。どこかで一息入れながらちょっとページを繰ってみる。そして、ゆかりの場所を訪ねてみる。一冊の本に導かれて旅をするというのも悪くはないと思います。

文庫片手に札幌で石川啄木の110年前の足跡をたどる

(道庁の池の畔で読書をする女性)

札幌は、JR札幌駅にはスターバックスコーヒー、赤レンガの道庁近くにゴティバといったおしゃれなカフェがたくさんあります。ちょっと一息入れるための場所には事欠きません。

文庫片手に札幌で石川啄木の110年前の足跡をたどる

ただ、できれば今回はあえて啄木な気分に浸るために、駅前の雑居ビルなどにある歴史のありそうな喫茶店に入り一息つくとしましょう。駅周辺のどのビルにも大抵、昔懐かしい喫茶店があって(地下にあることが多い)独特の雰囲気を醸し出しています。

口コミサイトで調べたりせず、自分の勘を信じて店のドアを開ける。テーブルがいまだにゲーム機であるのに呆れつつも、ブレンドを注文します。カウンターで新聞を読んでいるサラリーマン氏(探偵かも知れない)が、ちらりと視線を投げかけても軽くかわしておもむろに文庫本を取り出し目線を落とす。するとこんな一編が目に留まります。

「浪淘沙(ろうとうさ) ながくも声をふるはせて うたふがごとき旅なりしかな」
石川啄木 一握の砂

一言に旅といってもいろいろあるわけです。


啄木に浸りきる

石川啄木といえば函館を思い浮かべる人が多いと思います。でも、札幌における啄木は、その漂泊感が半端ではない。宙ぶらりんな人生に対する苛立ちと葛藤と、そして開放感。

彼は明治40年の9月13日に汽車に乗って函館を発ち、翌14日に札幌にやってきました。函館で漸く仕事を得た矢先に大火に巻き込まれ、新たな職を求めて単身旅をしていたのです。啄木の人生というのは薄幸を絵に描いたようなものです。そのあたりの経緯は、啄木の「札幌」という短編小説に綴られていてます。

さて、「一握の砂」を読んでゆくと「忘れがたき人人」の段辺りから函館や札幌までの旅の途上を詠った詩が登場します。秋口の夜汽車のわびしさがひしひしと伝わるような詩が続きます。

「かの旅の夜汽車の窓に おもひたる 我がゆくすゑのかなしかりしかな」
同上

やがて札幌を詠んだ歌が現れる・・・。

そろそろサラリーマン氏のたばこの煙が辛くなってきたあなたは、啄木が二週間ほど滞在した下宿屋の跡を尋ねてみることにします。もしその時雨が降っていたとしたら、ちょうど啄木が到着したのもそんな雨模様の日だったようですから、ぴったりのシチュエーションでしょう。

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