大人になると、周りに気を遣わせたくないという気持ちから、「もうすぐ私の誕生日！」「今日誕生日なの！」と言わない方が大多数かと思います。

筆者もその一人でしたが、留学中にイギリスで40歳の誕生日を迎えた体験からのアドバイスをお話しします。

盛大な誕生パーティーを開催してもらった生徒たち

ある時、語学学校で古株のフランス人が、賑やかなパーティーの写真を見せてくれました。タイ人の子の18歳の誕生日に開かれたガーデン・パーティー。ホストファミリーが生徒全員を招待し、参加者は100人近くいたそうです。

それからしばらくして、21歳になるシリア人のサプライズ・パーティーがありました。ユダヤ教徒のホストファミリーで、会場は教会の中のホールでした。みんなが待つ中、到着した主役は大感激！ ワインや食事、ケーキがたっぷり用意され、ホストがお酌して回っていました。その後はスコットランドのフォークダンスを踊り盛り上がりました。

さて、そんな中、自分の誕生日の日が近づいてきたのです・・・。

自分の誕生日が近づいてきた

留学を延長し、滞在中に誕生日を迎えることになった筆者は、ホストファミリーに気を遣わせるからと、言わないつもりでした。40歳になるという節目だったので尚更です。

しかしある日、もうすぐ誕生日ね、ご近所さんを呼んで前日にお祝いしましょうね、と言われびっくり。もれなく学校から連絡がいく仕組みだったようです。アットホームな会になりそうで安心し、うれしく思いました。

その日は手作りのケーキに立てられたキャンドルを吹き消しながら、発音のいいハッピーバースデーの歌を楽しみました。またバラと百合の花束と、大家さんの描いた絵をいただき、いい具合にワインが回りました。

大家さんはご近所さんたちには事前に筆者の誕生日の話をしないでいてくれたので、初対面なのにプレゼントを用意させてしまったら嫌だなという心配が杞憂に終わりよかったです。

当日に実は今日が誕生日だと伝えると・・・

当日は友達とのホームパーティーでした。もう言ってもいいかなと思って、始まってしばらくしてから今日誕生日なの、と伝えたら、なんで先に言っといてくれないの、水くさい、私たち友達なのに、と情に厚い韓国人をがっかりさせてしまいました。

スペイン人は、自分が40歳のときは盛大なパーティーを開いた、ヨーロッパでは特に区切りの時はそうやって祝うもの、なんで言わなかったの？ とちょっと変わりもの扱いになりました。

銘々が自国の料理をつくり、さあ食べようというときに部屋が暗くなり、キャンドルが載ったケーキを持つスイス人と花を持つ韓国人が現れ、日本人の子も一緒にハッピーバースデーを歌ってくれました。まさかの展開に驚いて感動です。

準備の途中、ドイツ人の子が見当たらず、彼女どうしたの？ と訊いたら、ちょっと疲れちゃったみたいで上で寝ているとのことでした。彼女の体調を心配していましたが、こっそりとバスに乗って買い出しに行ってくれていたということでした。

例の韓国人の子は、事前に分かっていたらもっといろいろ準備できたのに、と恨み節でした。こういうときは誕生日が来ると事前に伝えたほうがいいみたいです。

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鳴海汐

Shio Narumi ライター

イタリアはフィレンツェとタオルミーナの料理留学、イギリスはウエストン・スーパー・メアとケンブリッジの花留学を経て、現在はロンドンと神奈川を行ったり来たり。飛行時間の大幅短縮が実現するよう、心から科学の進歩を願う水瓶座。