
(C) Randyland
周りの人を笑顔にするために自分ができることは何か?その疑問と真摯に向き合った一人の男性がいました。彼の名前はランディ・ギルソンさん。彼は西洋の芸術の伝統的な訓練を受けていない、いわゆるアウトサイダーアーティストです。彼の出した答えは、訪れる人を幸せな気持ちにする家をペイントするという事でした。
1995年にペンシルベニア州ピッツバーグにある一軒家を購入し、街で捨てられたガラクタを再利用して作り上げた「ランディランド」は、住宅街の中でもひときわ目立つカラフルなペイントが施され、パブリックアートとして無料開放されています。実際に家を訪れた体験談と共にランディさんのLove&Peaceが詰まったランディランドについてご紹介します。
訪れる人に笑顔を届けたい、 アウトサイダーアーティストの挑戦
ランディさんは、シングルマザーの家庭で5人の兄弟と共に育ち、決して裕福とは言えない幼少期を過ごしました。幼い頃より家の近くで捨てられたガラクタを集めては修理し、再利用して使うということを日常的に行っていたそうです。

一時はホームレスとして生活をした経験もあるランディさんですが、その後コミュニティアクティビストとして「ゲリラガーデニング」という、何百もの花や野菜を区画されていない地域に植えて、街の緑化運動を行うという活動をしてきました。

異色の経歴を持つランディさんは幼少期よりADHD(注意欠陥、多動性障害)を患い、その有り余るエネルギーを発散するために、自分の信じる喜び、愛、幸せをどうにか表現できないかと思い開始したのがランディランドを作るというプロジェクトでした。ランディランドに飾られている小物の多くは、道端で捨てられていたいわゆるジャンク品。誰も欲しがらないようなアイテムを、多くの人にまた見てもらえるような形に変形させることもランディさんの願いでした。

ボロボロの椅子や自転車がカラフルな家とマッチして新たな命を吹き込まれています
(C) Yoko Nixon
独学で学んだアートの世界
ランディさんは伝統芸術の教育を受けておらず、全て自身の感性でランディランドを作り上げました。「誰でも挑戦してみればできないことはない」という彼の信条が形になったものこそがランディランドなのです。

どこを見てもとにかくカラフル
(c) Yoko Nixon
静かな郊外の一角に突如現れる派手な建物は技術の進歩とともに多くの人の耳に入るようになり、今では世界中から見物客が訪れるようになりました。
Love&Peaceを体現したストリートアーティスト

(C) Randyland
忙しい日々を過ごしていると、地域の人や他人と笑顔で交流を持つことが少なくなっていくことを知っていたランディさんは、訪れるすべての人を笑顔にする場所を作ることの必要性を感じていました。
ランディさんは現在でもランディランドに赴き、訪れる人の性別や人種、年齢や国籍に関わらずすべての人を歓迎してくれます。ランディランドがアメリカで一番カラフルな建物であり続けるために、新たなペイントも施しています。

(C)Yoko Nixon
笑顔にならずにはいられない場所を作り上げることこそが、ランディさんの大きな夢だったのです。
異色のアーティストが作り上げたランディランドは、どこを見渡してもカラフルで、訪れる人に元気を与えてくれます。カラフルなペイントや装飾に囲まれると、誰でも楽しい気分になれる、そんな場所を一から作り上げたランディさんの夢が詰まったランディランドのご紹介でした。
参考
[Randyland]
[roadsideamerica.com]
[Photos by shutterstock]

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Yoko Nixon ライター
高校時代初めてアメリカのテキサス州に留学してから、縁あって大学もそのままテキサスへ。帰国後リーマントラベラーとして暇を見つけては世界各国を旅し、旅と写真の面白さにハマる。現在はアメリカのアーカンソー州在住。目先の目標はアメリカ全州を制覇することです!
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