旅の目的は「たったひとつ」で良い
旅の目的は「たったひとつ」が潔いと思いませんか。
あれもこれもと盛りだくさんは、大人には野暮というもの。情報が氾濫している現代だからこそ、余計なものは削ぎ落として、自分の「たったひとつ」を選び取るのが粋。旅の荷物はシンプルに、期待だけを詰めて。
私たちがまだ訪れたことのない、未知の場所や絶景。
笑顔で迎えてくれる、あたたかい地元のひと。
生産地ならではの、新鮮で美味しいもの。
珠玉のように散らばる日本各地の魅力を発信する「ONESTORY(ワンストーリー)」。「ONE=1ヵ所」を求めて日本を旅するメディアから、私たちの「たったひとつ」が見つかりそうです。
ワクワクする夏がやってくる
日差しが日ごとに強くなってきて、夏の訪れを感じます。大人になってしまうと、「夏は暑くて、汗をかくからいや」「夏の満員電車は最悪」などとネガティブなことを考えがち。
子供の頃は、ジリジリする太陽、真っ青な海、濃い緑の森、モクモクの入道雲、水の冷たさ、冷えたスイカなど、夏ならではの風物詩にあんなに焦がれていたのに。気持ちの片隅に隠れていた夏への憧れを、呼び起こしてみましょう。きっと気持ちがワクワクして、夏色の旅に出たくなりますよ。
夏でも冷たい清流の水
清流の水の冷たさ、滝壺の涼しさは、夏だから嬉しいこと。愛媛県足摺宇和海国立公園の一角に景勝地が点在する「滑床渓谷」は、水が幾筋にも分かれて落ちる「河鹿の滝」ほか「日本の滝百選」にも指定された滝があり、夏にぜひ訪れたい場所。エメラルドグリーンに透き通った綺麗な川を見ると、清涼感で満たされます。水は滑らかで形がないのに、岩を切り取ってしまう強さがありますね。きりりと冷えた清流に手を差し入れると、水のパワーをもらえそうですよ。
ONESTORY(ワンストーリー)
花崗岩のなめらかな岩盤に清水が踊る。[滑床渓谷/愛媛県松野町・宇和島市]
滑床渓谷
住所:愛媛県北宇和郡松野町目黒・愛媛県宇和島市野川
アクセス:JR四国予土線松丸駅から車で約20分
平家ゆかりの深緑の谷底を覗き込む
エメラルドグリーンの祖谷川が流れる、深く切り込んだV字型の渓谷「祖谷渓」。四国山地の奥深い徳島県祖谷には「平家の落人」が逃れて来たという集落があります。国の重要有形民俗文化財に指定されている「祖谷のかずら橋」は平家の落人が追っ手から逃れるため、いつでも切り落とせるようシラクチカズラで編んだと言われる吊り橋。過去には8本あるいは13本あったといわれるかずら橋は、現在残っているのは2つ。
参考
[祖谷平家伝説]
ONESTORY(ワンストーリー)
深い谷底に満ちる清流と樹々が織りなす「隠れ里」。[祖谷渓/徳島県三好市]
祖谷渓(いやけい)
住所:徳島県三好市池田町松尾・三好市西祖谷山村
アクセス:JR四国土讃線阿波池田駅より四国交通バスかずら橋行きに乗車し約40分、風呂ノ谷下車すぐ
砂丘へ彷徨いに行く
南北2.4km東西16kmに広がり高低差は最大90mある、日本最大級の砂丘。十万年の歳月をかけた造形美。砂山を越えると青々とした日本海が臨め、異次元へ迷い込んだかのよう。鳥取砂丘に現れては消える「オアシス」は、地下水が湧き出てできたもの。晴れた日には、空を写す鏡になります。風や雨など自然の力によって絶えず形を変える姿を見ると、人間ももっと柔軟であって良いのかもしれないと思いますね。
ONESTORY(ワンストーリー)
日本海を背に悠々と広がる海岸砂丘。[鳥取砂丘/鳥取県福部町]
鳥取砂丘
住所:鳥取県鳥取市福部町湯山
アクセス:鳥取自動車道・鳥取ICから車で約20分/JR西日本山陰本線鳥取駅より日本交通・日の丸バス鳥取砂丘行きに乗車し約20分、鳥取砂丘下車すぐ
クーラーでは味わえない、大自然の涼
奈良県最南端にある「十津川村」は、日本で一番面積が広い村。日本の滝100選にも選ばれた「笹の滝」は、約32mの高さから水飛沫をあげて落ちる迫力と、岩肌を流れる白糸の美しさが素晴らしく、大自然の涼で癒されます。笹の滝を上流とする滝川渓谷の水は、県内31か所にある選ばれた美味しい水である「やまとの水」の一つに選出。清流にしか住まないあまごや鮎の渓流釣りもできます。
参考
[熊野参詣道「小辺路(こへち)」 十津川村観光協会]
[やまとの水 エコなら]
ONESTORY(ワンストーリー)
山間の滝やコバルトブルーの渓流。多様な水辺と出合う。[十津川村/奈良県吉野郡]
十津川村
住所:奈良県吉野郡十津川村
アクセス:西名阪自動車道郡山ICから車で約2時間10分/南阪奈道路葛城ICから車で約1時間50分/JR西日本五条駅から車で約1時間20分/白浜空港から車で約2時間(以上全て温泉地温泉(十津川村役場付近まで))/近鉄奈良線八木駅から奈良交通バス・八木新宮線新宮駅行き乗車、十津川温泉まで約4時間
今回のたったひとつは、子供時代の気持ちに戻っていく夏色の絶景。私たちが旅へ向かわずにいられないのは、日常で求められない「たったひとつ」に出逢うためなのです。