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心がキュンとする「ドライビング Miss デイジー」(1990)
車といえばカーアクションになりがちですが、心温まる作品として思い浮かぶのはアメリカ映画「ドライビング Miss デイジー」。車で旅をするシーンは、ほんのちょっとですが。
ジョージア州アトランタで教師を退職した未亡人デイジー(ジェシカ・タンディ)と、彼女のもとに雇われてやって来たアフリカ系の運転手(モーガン・フリーマン)との25年にわたる、心温まる交流の物語です。

この作品はアカデミー賞の作品賞、主演女優賞、脚色賞、メイクアップ賞を受賞しています。特に主演したジェシカ・タンディはアカデミー賞主演女優賞では最高齢80歳での受賞となりました。主演のふたりの素晴らしい演技はもちろんですが、アメリカの公民権運動なども絡めながら、25年という歳月を味わい深く描いています。心がキュンとして泣けること間違いなし、ハートウォーミングな作品なのです。
アメリカ的家族再生の物語「リトル・ミス・サンシャイン」(2006)
まさに車の旅が重要な舞台となり、温かい気持ちにさせてくれる作品です。ジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリス夫妻の監督デビュー作で、サンダンス映画祭や東京国際映画祭などで大評判となり、アカデミー賞では脚本賞、助演男優賞を獲得。少女オリーブを演じたアビゲイル・ブレスリンは10歳11か月でアカデミー賞助演女優賞候補にノミネートされています。

美少女コンテストで優勝を夢見るオリーブと両親や兄、祖父、叔父の家族6人のロードムービーで、みなそれぞれ破産や自殺未遂、登校拒否など問題を抱えています。そんな落ちこぼれ家族が、おんぼろバスに乗ってコンテストに向かう旅で再生し、ひとつにまとまります。「負け犬とは負けるのが怖くて挑戦しないこと」というメッセージが聞こえてきます。
旅は人を成長させてくれる「グリーンブック」(2018)
アメリカで黒人が公然と差別されていた1962年当時の実話をもとにして作られた心温まるストーリー。ジャマイカ系アメリカ人のピアニスト、ドン・シャーリーが南部に演奏旅行に出かけた際、彼の専属運転手兼ボディガードとして雇われたイタリア系アメリカ人トニーとの熱い友情を描いています。この作品で監督のピーター・ファレリーはアカデミー賞で作品賞と脚本賞を、シャーリーを演じたマハーシャラ・アリは助演男優賞を受賞しています。

トニーは旅先から妻に手紙で「アメリカがこんなに美しいとはこれまで知らかなった」と書き送りました。知らない土地を旅することはたくさんの発見につながり、人生を豊かにしてくれます。社会を知り、人種という狭い考えを改めさせ、終生の友情を育んでくれたのです。心温まる作品で、1960年代まであったという黒人のための宿泊ガイド「グリーンブック」の存在もこの映画で初めて知りました。
このほかにも車が重要な役割を果たす映画は、「激突!」や「栄光のル・マン」から「ワイルド・スピード」「マッドマックス」などのアクションやサスペンスものまで、たくさんあります。そんな中、今回はハートウォーミングな作品をお届けしました。また機会がありましたら、車と旅をテーマにした映画をご紹介します。
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Masato Abe 還暦特派員
大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。
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