専門家が語る!留学をしてもなかなか英語が話せない人の共通点とは?

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jan 15th, 2018

専門家が語る!留学をしても英語力が伸び悩む人の共通点とは

英語ができるようになりたくて、海外留学を考えている人も少なくないと思います。ただ、海外に留学したからといって、英語が上手になって帰って来られるとは限りませんよね。むしろ、ほとんど変わらずに帰国するような人も居る様子・・・。

そこで今回は富山県で留学生のサポートを行い、ご自身も豊富な留学・海外生活の経験をお持ちの富山留学アカデミーの井上純子さんに、留学をしても英語が伸び悩んでしまいがちな人の共通点を教えてもらいました。

 

留学前の地道な文法学習、英作文練習の有無が大きく影響する

専門家が語る!留学をしても英語力が伸び悩む人の共通点とは

英語をマスターするとなると、どういった勉強法が効果的だと思いますか? なんとなく海外に行って、外国人に囲まれた生活を送れば、英語が劇的にうまくなるような気がします。

しかし井上さんいわく、留学で英語が上達する人、逆を言えば留学をしたのにそれほど上達できずに帰ってきてしまう人の違いは、留学前の地道な座学をコツコツと積み重ねられたかどうかがポイントになるそう。

「私自身が(留学時に)教授に言われたのは、『純子はエッセーが書けないから話せない』との言葉でした。日本人は現地に行けば英語が話せるようになると、なんとなく考えてしまいがちですが、一番大事なポイントは語彙(ごい)だったり文法だったり、英語での読書量だったりすると思います」

井上さんも米国の大学に留学した当初、英語の習得に苦労されたそうです。そのとき上述のような言葉を言われて、「書ける=英語で考える」大切さに気付かされたと言います。

専門家が語る!留学をしても英語力が伸び悩む人の共通点とは

ちなみに筆者は、翻訳家としても活動をしています。パートナーとして長年付き合いのある米国人の大学講師も全くの同意見で、英語の上達はライティングが鍵を握ると繰り返し語っていました。

頭の中の意見を、書き言葉の比較的ゆっくりとしたペースで表現できないのであれば、スピード感を求められる話し言葉ではなおさら上手に表現できませんよね。

ライティングを上達させるためには、とにかく質の高い文章を読み込む作業が重要だと上述の米国人は語りますが、読み込むためには知っている言葉の数を増やし、文法を学ぶ必要があります。

結局は井上さんの指摘する通り、語彙・文法の地道な座学を繰り返し、英語の読書量を増やして、比較的自由に英語で文章を書けるレベルに持っていってから、留学をした方が効果的なのかもしれませんね。

次は、日本人同士でつるんでしまうとよくない、という説について。
 

日本人とつるんでも大丈夫!?

専門家が語る!留学をしても英語力が伸び悩む人の共通点とは

では、よくある議論として、周囲の日本人の存在はどうなのでしょうか?

日本人ばかりが居る環境では、日本人同士でつるんでしまい、現地の人との会話量が減ってしまうという意見があります。結果として英語の勉強がはかどらないという考えですが、この点について井上さんに意見を聞いてみると、

「日本人とつるんでいたら駄目だという意見もありますが、必ずしも私はそうとは思いません」

との言葉がありました。

「学校では授業も英語ですし、クラスメートもスタッフも毎日英語でしか話しません。グループワークももちろん英語です。短期の語学留学の場合は時間が限られているため、確かに日本人とばかり交流していては時間がもったいないという考えは一理あるかもしれません」

「しかし実際に『日本人とは一切かかわらない』と宣言して出国したものの、残念ながら精神的に追い込まれて帰国を余儀なくされた留学生も知っています。日本人と交流する時間はもったいないと感じるかもしれませんが、長期だとそうも言っていられない現状があります」

確かに旅行のような短期間の滞在であっても、旅先で日本人と話すと落ち着きますよね。まして年単位の正規留学の場合は、定期的な日本人との交流でガス抜きをして支え合い、明日への活力を得る必要があるみたいですね。

専門家が語る!留学をしても英語力が伸び悩む人の共通点とは

とはいえ、留学前にしっかりと単語や文法の練習をしないと、留学に行ってはいけないのでしょうか? 「行きたい」、「今すぐ海外に飛び出したい」という熱い気持ちもきっと重要ですよね。むしろ、一番重要かもしれません。

その点を井上さんに聞くと、「もちろん、『英語を全く勉強してないから留学には行けない』というようなことは一切ありません」との答えがありました。

「留学経験者やカウンセラーに相談し、現状の語学力では、どのくらいの期間の留学が適切なのか、どういった形態の留学が適しているのか、十分に検討した上で留学をすることも、事前の文法や単語練習と同じくらい成功の鍵を握ります」

とのこと。熱い気持ちがあると、「誰でも留学は行けますよ~」「行けば何とかなる」などと自分にとって都合のいい言葉ばかりが耳に入ってきますが、そこはあえて厳しい話もしてくれる専門家のサポートがやはり不可欠なのですね。

留学で起こりがちな苦労体験も含めて、全部正直に話してくれる経験豊富なカウンセラーを見つけて、「今すぐ飛び立ちたい」という熱い気持ちをぶつけてみましょう。現状の自分でも最高の効果が得られる留学先が見つかるに違いありませんよ。

専門家が語る!留学をしても英語力が伸び悩む人の共通点とは
 

[取材協力]

井上純子・・・富山留学アカデミー代表。カリフォルニア大学アーバイン校卒業。JICAボランティアとしてパラグアイで2年間日系日本語学校教師として活動。留学準備中、留学中の過酷な勉強の中、異文化の中、体験した困難、楽しさ、悲しさ、嬉しさ、悔しさ、感動。この素晴らしい経験を他の方にもしていただきたい、留学で悩む方や、不安なことがある方がいたら少しでも助けになりたいと留学仲介業を起業。

[All Photos by shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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