「ザ・ミレニアルズ京都」は、2017年に京都・河原町三条にオープンしたニュータイプの宿泊施設。従来の「カプセル」のイメージを覆す未来型カプセルホテルである同時に、ノマドワーカーにぴったりなコワーキングスペースでもあります。
今回、筆者は実際にザ・ミレニアルズ京都に宿泊し、ノマドたちに支持される秘密をさぐってきました。
未来が見える宿泊体験
2017年7月、京都のど真ん中河原町三条にオープンしたのが、「ザ・ミレニアルズ京都」。市バスの停留所がすぐそばにあり、地下鉄や京阪の三条駅や阪急の河原町駅も利用できる、これ以上ないほどに便利な立地です。
キャッチフレーズは、「未来が見える宿泊体験」。「スマートポッド」と呼ばれるカプセルタイプの客室は、スタイリッシュで機能性十分。しっかりとプライベート空間が確保できるうえ、一段式で上下に人がいないのでカプセルホテルにありがちな圧迫感もありません。
驚いたのは、ベッドがリクライニングできること。鍵を兼ねたipodのボタンを押すことで、ベッドをソファ状にしたり、フラットにしたりすることができるのです。ポッド内で本を読んでくつろぐときや荷物の整理をしたいときは、ベッドをソファ状に調節すれば足元のスペースが確保できます。
ミレニアル世代のニーズにとことん寄り添った結果、ポッド内は余計なものを省いたミニマルな設計ながら、ベッドはアメリカでナンバーワンシェアを誇るサータ社製を採用。ふかふかのベッドで気持ちよく眠りにつけます。
充実の共用スペース
スマートポッドもユニークながら、もうひとつ特筆すべきが共用スペースの充実ぶり。ザ・ミレニアルズ京都は、施設全体の20パーセントを共用スペースに充て、「眠るまでの時間を共用部で過ごす」という滞在スタイルを提案しています。
カプセルホテルというと、「ただ寝るためだけの窮屈な場所」というイメージがあるかもしれませんが、おしゃれで広々とした共用スペースがあるミレニアルズでは、寝るとき以外も思い思いのくつろぎ時間を過ごすことができるのです。
最新の設備を備えた大型のキッチンでは自炊も可能。セルフサービスのコーヒーは24時間無料で飲むことができ、毎日17時半から18時半まではビールの無料サービスもあります。この時間帯は世界中からやってきたゲストが、共用スペースに集まってくるとき。さまざまなバックグラウンドをもつ旅人たちとの交流も楽しみのひとつです。
ホテル×コワーキングスペース
ザ・ミレニアルズ京都の特徴は、カプセルホテルであるだけでなく、コワーキングスペースでもあること。ホテルの宿泊者でなくても、会員登録を行うことで、共用スペースが自由に利用できるようになるのです。月間契約のほか都度利用も可能で、契約者のなかには海外の法人も存在するとか。
有料のコワーキングスペースとしても使われているというだけあって、ザ・ミレニアルズ京都の作業環境は群を抜いています。これまでに60ヵ国を旅し、さまざまな宿泊施設を見てきた筆者ですが、共用スペースでこれほど快適にノマドワークができる宿泊施設はほかにありませんでした。
ワークスタイルに合わせて選べる環境
ザ・ミレニアルズ京都の作業スペースはいくつかの部分に分かれていて、集中して一人でがっつりと作業をしたいときには、一番奥のワークデスクが最適。ここだけ半個室のようになっていて、「視界に入るのは黙々と作業をしているほかの利用者だけ」という環境なので、自分のやるべきことに没頭できます。イスは高さ調節ができ、長時間の作業でも疲れにくいのが嬉しいところ。
仲間とカジュアルに話し合いながらの作業には、共用スペース中央のダイニングエリアが向いています。筆者が宿泊した際も、英語スピーカーのノマドがわいわいと作業している様子が見られました。
写真の整理やメールの送受信など、集中力を要しない軽作業なら、ソファでくつろぎながらというのもあり。ここならみんなリラックスした雰囲気なので、近くの人との会話が生まれやすいというメリットがあります。
スタイルを変えながら一日を過ごす
ザ・ミレニアルズ京都の共用スペースのいいところは、スタイルを変えながら一日を過ごすことができるということ。自分の仕事にしっかりと集中したいときには、奥のワークデスクが一番ですが、人間、高いレベルの集中力が一日中維持できるわけではありません。
休憩したいときや、軽い作業をしたいときにはダイニングエリアやソファに移動して気分を変えることができるので、集中するときは集中する、休むときは休むと、仕事にメリハリがつけやすいのです。
ほかの利用者も旅好きやノマドが多いので、趣味が合う人や共通点のある人が見つかりやすいのもポイント。一人で仕事をすることが多いノマドにとって、単に快適に作業ができるおしゃれなスペースがあるというだけでなく、同じ趣味や嗜好をもつ仲間との出会いは貴重な財産です。
ミレニアルズ京都は、単なる寝場所でも作業場でもなく、ここに集まってきた人々がライフスタイルを共有する場所なのだといえるかもしれません。
[All photos by Haruna]
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