銚子は暖流と寒流がぶつかり合う場所
犬吠埼 (C)一般社団法人銚子市観光協会
千葉県の銚子と言われたら、地図上でどこだかすぐに指差しできますか?少し詳しい人は、犬吠埼を思い浮かべるかもしれません。犬吠埼は千葉県の東端にある、太平洋に突き出した銚子半島の先端ですね。
仮に千葉県を手に持ったソフトクリームのコーンのような形だとすれば、向かって右端の出っ張りに、銚子の自治体があります。
群馬、栃木、埼玉、東京、茨城、千葉の1都5県にまたがる、長さ322kmの利根川が太平洋に流れ出る、まさにその河口に位置する港町とも言えます。北は鹿島灘に面した海岸線が続き、南は九十九里浜が続きます。
その南北の長大な浜の分岐点であり、利根川の河口であり、沖合では北上する暖流の黒潮と、南下する寒流の親潮がぶつかり合う場所こそが、銚子です。
銚子は日本屈指の水揚げ量を誇る漁港
(C)一般社団法人銚子市観光協会
関東でも東端に位置する銚子には、同じ関東に生まれ育ちながら、筆者は社会人になるまで訪れた経験がありませんでした。当時はテレビ番組の制作の仕事をしていて、そのロケ撮影で使用した大道具を戻しに、2トントラックに乗って同僚とドライブした日が初めての銚子です。
都心部を出発し、佐原香取インターチェンジで一般道路に下りて、利根川沿いの国道356号線を走りました。窓を開き、車内に流れ込んでくる空気を感じながら、空の色、川の広さを思う存分、眺めた思い出があります。
同僚は、北国で育った魚に詳しい人でした。銚子港が近づくと、ロードサイドに定食屋が目立ち始めます。その景色の変化を眺めながら、実は銚子が日本屈指の水揚げ量を誇る漁港で、特にアジ、サバ、イワシのような浮き魚(うきうお)がおいしいと、彼から教わりました。
キンメダイの塩焼きの定食
(C)一般社団法人銚子市観光協会
あらためて調べてみると、浮き魚とは海水の上層に住む魚で、反対に深い海にすむ魚を底魚(そこうお)と言うそうです。ちょうど銚子に着いた時間が昼過ぎだったので、
「せっかくなら、定食屋に入ろうか」
と、2人は自然と定食屋を物色し始めました。当時iPhoneは世の中に存在せず、外出先で気軽にインターネット検索をできる時代でもありません。
なんとなく直感で、雰囲気のある海辺の定食屋を選びました。護岸が目の前にあって、少し曇ったガラス窓から、店内が見える定食屋だったと記憶しています。残念ながら、お店の名前は覚えていません。お昼時のピークを過ぎていたので、店内もそれほど混雑していませんでした。
銚子のキンメダイは有名
銚子を空から眺めた様子 (C)shutterstock
友人がキンメダイの塩焼き定食をとったので、筆者も同じメニューを頼みました。今思えば、友人は知っていたのかもしれません。あらためて調べてみると、銚子で捕れるキンメダイ(金目鯛)は「銚金」と呼ばれ、ある種のブランドにもなっているとの話。
銚子は太平洋に突き出した半島の先端にあり、大陸棚が沖合まで続いていて、そこに利根川が流れ込んでいます。キンメダイにとって日本での生息可能な北限にありながら、プランクトンや小魚が豊富な環境が整っているため、四季を通じて魚に脂がのると言われています。
さらに漁港周辺では、それぞれの定食屋が、競いながら新鮮なキンメダイを料理してくれる環境が整っています。おいしいわけですよね。塩焼きのキンメダイを口に含んだ際の舌に感じたうま味は、今でも鮮明に覚えています。
キンメダイの目玉を食べる
外川漁港 (C)一般社団法人銚子市観光協会
友人の食べ方は、見事でした。たくみに箸を動かして、可食部を残さず口に運び、最後は奇麗に骨だけを皿に残していました。しかも、
「おいしいんだよ」
といって、キンメダイの目玉を口にし、柔らかい部分だけしゃぶりとって、硬い球体を口から出します。自分の皿に残されたキンメダイの無残な姿と、目玉まで食べる友人の皿の上を見比べて、恥ずかしくなった記憶もあります。
会計の際に、
「若いのに、上手に食べるね」
と、店主に言われても、友人は平気な顔して「ごちそうさまです」と口にするだけでした。筆者は申し訳なく、友人を追いかけて店を出ました。
見知らぬ土地を理解したいなら土地の生き物を口にしてみる
(C)一般社団法人銚子市観光協会
店を出ると、あらためて海が目に入りました。たかが、1匹の魚かもしれません。決して上手に食べられたわけでもありませんが、1匹の魚の命をいただいただけで、目の前の海と距離が近くなった気がしました。
見知らぬ土地を理解するためには、土地の食材を口にする行為が、最も手っ取り早く、確実な方法なのかもしれないと、その時に学んだ気がしました。
今まで国内外の旅先でいろいろな食べ物を口にしてきましたが、「忘れられない味」というテーマで真っ先に思い浮かぶ料理は、銚子の空と海の景色と分かちがたく結び付いたキンメダイの塩焼きになります。
その時以来、15年近くが経っても、銚子には再訪できていません。それでも、今でも思い出します。
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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