海外を長期間節約旅行するバックパッカーの日常は日本での生活とはまったく異なります。そんなバックパッカーたちの姿が垣間見えるバックパッカー用語を、旅人必見の用語と合わせてご紹介しましょう。
沈没
移動や観光をあまりせずに一つの場所に長期滞在してしまうことを指します。習い事やボランティアなどはっきりした目的はなく、居心地が良すぎて滞在が長引いてしまうというケースがほとんど。特に物価が安く食事がおいしい場所でよく見られる現象で、そういった街は「沈没地」と呼ばれたりも。日本人に人気の沈没地に、タイのバンコクやネパールのカトマンズなどがあります。
イエローカード
一般的に「イエローカード」というとスポーツの試合での「警告」のことですよね。でもバックパッカーの世界では違います。バックパッカーにとっての「イエローカード」とは、黄熱予防接種の国際証明書のこと。南米やアフリカを中心にこの証明書がないと入国できない国があるため、日本や接種費用の安いタイなどで予防接種を受けておくのが一般的です。
LCC
「Low Cost Carrier」の略で格安航空会社のこと。日本で知られているLCCとして、マレーシアのエアアジア、オーストラリアのジェットスター、日本のピーチ・アビエーションなどが挙げられます。コストを抑えるため、食事や飲み物、ブランケット、受託手荷物などは有料の場合がほとんど。国際線でも数千円から利用できる場合もあり、節約派の強い味方です。
世界一周航空券
スターアライアンス(ANAなどが加盟)、ワンワールド(JALなど)、スカイチーム(エールフランスなど)など、アライアンスごとに発行されていて、30万円台から世界一周ができる航空券。自分でルートや日程を決め、対象となる航空会社を乗り継いで旅をします。ルートによってはLCCを利用したほうが安い場合もありますが、LCCがそれほど発達していない中東やアフリカ、南米を訪れる旅行者にはいまだに根強い人気を誇ります。
イミグレ
「イミグレーション(immigration)」の略で、空港や国境での出入国審査のこと。鉄道やバスなど陸路で移動することも多いバックパッカーにとって、しばしば緊張を強いられる場所でもあります。陸路で国境を超える人のほとんどが現地人なので、案内板などがなく勝手がわからなかったり、入国審査官が外国人の対応に慣れておらず時間がかかったりしてひやひやすることも。国によっては入国審査官に賄賂を要求される場合もあり、「イミグレ」がちょっとした関門になることもあります。
アライバルビザ
観光目的でも入国に際してビザ(査証)が必要となる国があります。事前にビザを取得しておく必要がある国と、到着時に空港や国境で取得できる国に分かれますが、到着時に取得するビザを「アライバルビザ」と呼びます。日本人がアライバルビザを取得できる国にネパール、エジプトなどがあります。
空港泊
文字通り空港で一夜を明かすこと。深夜着、早朝発の便が多いLCCの利用者に多く見られます。実は筆者も羽田とキルギスタンで空港泊をしたことが。空港内部はフライトの利用者しか入れないうえ警備員も巡回しているので、場所によっては深夜や早朝に街中を移動するよりかえって安全かもしれません。ですが、やはり身の回り品には十分な注意が必要です。
シュラフ
寝袋のこと。これで野宿をしてしまうツワモノもいますが、前述の空港泊にも使えます。また、冷房が効きすぎているバスや列車内での防寒用としても重宝。アウトドア派でなくとも、長期旅行者なら一つ持っておきたいアイテムです。
Wi-Fi(ワイファイ)
無線LANのこと。スマートフォンやパソコンをWi-Fiに接続すれば、インターネット契約なしでもインターネットが利用できます。フライトやホテルの予約、次の目的地の情報収集などが必要なバックパッカーの生命線といっても過言ではありません。日本では普及が遅れていますが、バックパッカーの多い場所では宿やカフェに無料Wi-Fiがあるのがもはや常識。
ホットシャワー
日本ではお湯が出るシャワーが当たり前ですが海外に出るとそうはいきません。そもそもお湯シャワーの設備がない宿もありますし、ホットシャワーが使えるはずの宿でも一時的な不具合で使えなくなることもしばしば。宿探しにおいてお湯が出るかどうかは懸案事項の一つです。
ホステル
いわゆる安宿ですが、おしゃれで近代的な設備が整った宿も多く、利用者の多くが若いバックパッカー。似たような呼称として「ゲストハウス」も使われますが、両者のあいだに明確な違いはありません。バックパッカーを経験した筆者の印象としては、新しい宿には「ホステル」という名前がついていることが多いというくらいでしょうか。宿泊者が交流できる共有スペースがあったりと、ホテルとはまた違った楽しい時間が過ごせるのが魅力です。
ドミトリー
本来、「ドミトリー(dormitory)」は寮のこと。略して「ドミ」とも呼ばれます。学生寮さながらに何人もの宿泊者が一つの部屋をシェアするスタイルのゲストルームを指します。宿によって違いはありますが、二段ベッドがいくつか並んでいるものが主流。男女別に部屋が分けられている場合とそうでない場合があり、男女混合のドミトリーは「ミックスドミ」とも呼ばれます。プライバシーがないというデメリットはありますが、宿泊費が抑えられるうえ、他のゲストと交流できるというメリットから高い人気を誇っています。
南京虫
「トコジラミ」と呼ばれる吸血性の寄生虫で、噛まれると猛烈なかゆみで一睡もできないのだとか。南アジアやアフリカの安宿のベッドに潜んでいることが多く、南京虫の出現率が高い地域を旅行するバックパッカーは戦々恐々。「あの宿に南京虫がいた、いなかった」という情報交換がなされることもしばしばです。
日本人宿
日本人が海外で経営する日本人向けの宿のこと。他の日本人旅行者と情報交換ができたり、日本食が食べられたりすることから、日本人旅行者の憩いの場となっています。居心地の良さから、日本人宿で「沈没」する人も多く見受けられます。
カウチサーフィン
世界中の旅好きとつながって、旅先で自宅に泊めてくれる人を見つけられるサービス。カウチゲスト(家に泊めてもらいたい旅行者)とカウチホスト(家に泊めてくれる現地人)がマッチすれば、無料で泊めてもらうことができます。宿泊費がタダになるうえ国際交流もできるとあって、カウチサーフィンのみで世界一周している旅人もいるほどです。
あなたはいくつ知っていましたか? 半分以上知っていたあなたはすでに立派な旅通かもしれません!
[All photos by Shutterstock.com]