青の都・サマルカンド
ウズベキスタンの古都・サマルカンドは、東西の文化をつなぐシルクロードの要衝として栄えた歴史をもち、「サマルカンド 文化交差路」として世界遺産にも登録されています。
13世紀のモンゴル軍の遠征によって廃墟と化したこの街を再興したのが、英雄ティムールでした。サマルカンドは、美しい青の建造物が印象的なことから「青の都」と呼ばれています。
サマルカンドの中心・レギスタン広場
そんなサマルカンドの政治・経済・文化の中心であったレギスタン広場は、東西の交易商人が行き交い、バザールが開かれ、活気に満ち溢れていました。
レギスタン広場は「砂の広場」という意味で、「ウルグベク・メドレセ」、「ティラカリ・メドレセ」、「シェルドル・メドレセ」の3つのメドレセ(神学校)から成り立っています。
はじめに、1420年にティムールの孫・ウルグベクによって、ウルグベク・メドレセが建てられました。
あと2つのメドレセは17世紀に建設され、現在のような姿の広場となりました。これら3つのメドレセが見事なまでの調和を示し、圧倒的な存在感をもって私たちに語りかけてくるのです。
魅惑の「サマルカンドブルー」
「サマルカンドブルー」と呼ばれるこれらの青いタイルは、中国の陶磁器とペルシャの顔料が出会って誕生したもの。「文化交差路・サマルカンド」ならではといえます。
さまざまな青のグラデーションが織りなす色彩美はまさに芸術。圧倒的な美しさを前にすると、余計な理屈は吹き飛んでしまいます。ただただその美しさを全身で感じるのみ。一度広場に腰を下ろして、心ゆくまでその美しさを味わってみましょう。
広場正面に立つティラカリ・メドレセの内部には、大量の金を使用した豪華絢爛な装飾が施されています。
シェルドル・メドレセの上部には動物と人間の顔が描かれていますが、偶像崇拝を禁止するイスラム教では本来タブーであり、とても珍しいもの。支配者が自分の権力を誇示するためにこのような絵を描かせたと言われています。
刻々と変わる表情
朝・昼・夜と時間帯によって表情が変わるレギスタン広場は、一日に何度も足を運びたくなります。
特におすすめなのが、18時前後の夕暮れどき。まだ完全に陽が沈んでいなので空に明るさが残っていますが、すでにメドレセがライトアップされていて、なんとも幻想的な光景が楽しめます。
観光客の少ない静かな広場を楽しみたいなら、早朝の散歩もいいですよ。
まさに「人類の傑作」と呼ぶにふさわしいレギスタン広場。行けばきっとサマルカンドブルーのとりこになるはずです。
[阪急交通社]
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