ギリシャのヒオス島(Chios)では、イースター(復活祭)を祝う伝統行事として、毎年、何万発というロケット花火を飛ばしあう「ロケット花火祭り(別称:ロケット花火戦争)」という、世にも危険な祭りが存在します。
観光地として名高いギリシャ・ヒオス島
ギリシャといえば、エメラルドグリーンの美しいエーゲ海に、古代ギリシャの象徴ともいえるパルテノン神殿など、歴史的建造物や美しい自然が多く残る観光地。そしてこの「ロケット祭り」が行われるヒオス島もそのひとつ。「クシスタ」という独特の装飾を施したアジアン調の建物は大変美しく、多くのツーリストが訪れる場所です。また、ココでしか採取出来ない”マスティハ”(ウルシ科の植物)は、世界的に需要のある特産品。
エーゲ海の広がる温暖な気候で育ったマスティハは、殺菌効果が高くピロリ菌にも効果があるとして、大変注目を集めている自然食品です。また、考古博物館・海洋博物館・ネアモニ博物館などの文化施設も充実しており、自然豊かで穏やかな島です。
イースター復活祭!空を飛び交う無数のロケット花火
そんな穏やかな風景を一変させる「ロケット祭り」が行われるのは、ヒオス島の『Vrontados(ヴロンダトス)』と呼ばれる町。ここは、キオスの街から車で9分にある海沿いの町で、新鮮な魚介類や、美しい海水浴場がある観光スポットとしても有名です。
イースター前夜になると、町は火花と爆発音で荒れ狂います。聖マルコ教会とパナギア・エリツィアーニ教会の間で打ち合う光景は戦争を彷彿とさせ、何万発と飛び交うロケット花火は、身の危険さえも感じます。
大昔はなんと大砲で撃ち合っていた!
世界でも「Rocket War」や「Fire works battle」と呼ばれ、危険視されているロケット花火祭り。参加するチームは15〜17組程で、飛ばすロケットの本数は1チームで約4000発!
17チームで68000発という恐ろしい行事ですが、この祭りの起源は今からなんと120年前。
当時、聖マルコ教会とパナギア・エリツィアーニ教会では、「どちらがイースターを盛大に祝えるか!?」という競争を繰り返していました。しかし、白熱しすぎて大砲を使う様になったため、地元を支配していたトルコ人が押収。しかしその勢いは止まらず、手作りのロケット花火を互いの教会に打ち合うようになったのが、この祭りの始まりとされています。ロケット花火でも恐ろしいですが、大砲を撃ち合っていた当時は、本当に戦争状態だったのですね。
「ロケット花火祭り」は、端から見れば美しく迫力のあるお祭りですが、現地では負傷者と小火が耐えないそうです。それでも政府は止める気は無いそうですが・・・。
観光として訪れる場合は、ヘルメットやゴーグルなどを着用し、ホテルの中や教会の裏など安全な場所で見る様にした方が良いかもしれません。何にせよ、怪我人が出ない事をただただ祈ってしまう、そんなお祭りです。
住所:ギリシャ・ヒオス島・ヴロンダトス村(Vrontados)
時期:移動祝日 イースター(復活祭)前日
問い合わせ先
(旅行·観光機関のギリシャ協会)
Contact details: Hellenic Association of Travel and Tourist Agencies (HATTA)
Tel:+30 210 9223522, 210 9234143
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