ギリシアの修道士たちが命がけで岩の上に築いた修道院群、メテオラ。縄梯子などを使って行われた過酷な建築作業は、それ自体も信仰心が試される修行のひとつだったといいます。
メテオラとは“中空に浮く”という意味。ギリシアのテッサリア地方にあるこの希少な世界遺産を紹介したいと思います。
驚くべきその立地
メテオラのある盆地には、数十もの岩の塔が連なり、高いものは500mにもなるそうです。
この地に隠修士と呼ばれる人々が移り住んできたのは9世紀頃。彼らは世俗との関わりを一切断ち、ひたすら神と向き合ってきました。はじめは岩の洞窟などで修行をしていたのが、後に岩の頂上に修道院を築くようになったのだそう。
岩にへばりついたようなもの、岩と一体化しているようなものも。最盛期には24もあったメテオラの修道院ですが、現在も活動しているのは6つのみだそうです。
今も生きている6つの修道院
断崖絶壁の絶景からメテオラのランドマーク的な存在の「アギア・トリアダ修道院」。
「アギオス・ニコラオス・アナパフサス修道院」。院内にはクレタ派の画家テオファネスが描いたフレスコ画が残っているそうです。
「ルサヌー修道院」は尼僧院。背後の大きな奇岩や、院までの橋など、小ぶりですが秘境気分満点です。
「アギオス・ステファノス修道院」は、眼下の街の景観が素晴らしいそう。
そしてメテオラ最大の修道院、「メガロ メテオロン修道院(メタモルフォシス修道院)」。30年もの年月をかけて建てられました。中庭からは、隣の「ヴァルラアム修道院」が見えるそう。
物資を運び上げるのにはロープウェーが使われています。
内部には、代々の修道士の遺骨も。ここに遺骨があるということは、つまり、この場所で生涯を全うしたということ。下界と隔絶された場所で、瞑想にひたり、天を見上げて祈りを捧げてきた彼ら。
彼らにとってはきっと、ここが理想郷だったということなのでしょう。
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