情緒深まる季節、秋。古くから季節の移ろいを感じることを大切にしてきた日本人は、空気が澄み渡り月の輝きがいっそう増すこの季節に、月の美しさを堪能してきました。
2015年、中秋の名月は9月27日。今年のお月見は、歴史情緒溢れる京の町で楽しみませんか? そこで、観光客でもアクセスしやすい京都の観光名所の中から、おすすめのお月見スポットや観月イベントを集めてみました。
京ならではの優雅な観月祭 八坂神社
中秋の名月の時期には京都各地の寺社で様々な催しが行われますが、なかでも特に優美なのが八坂神社の舞殿にて行われる「祇園社観月祭」。舞楽、管絃の奉納、和歌を詠みあげる献詠などが奉納されます。祇園の夜空に浮かぶ満月と伝統芸能に酔いしれる、風雅なひとときをお過ごしください。
日時:2015年9月27日(日)19:00~
京の自然に囲まれながら愛でる月 渡月橋
嵐山の中心を流れる桂川に架かる渡月橋。「月が渡る橋」と書きますが、この美しい名前の由来は鎌倉時代に遡ると言われています。なんでも、嵐山で美しい満月の夜に舟遊びをしていた亀山上皇が、まるで月が橋を渡ってゆくかのような素晴らしい光景に感動して「くまなき月の渡るに似る」と詠んだことから命名されたのだとか。この秋嵐山・嵯峨野を訪れたら、旅の最後は橋の上に輝く月を愛でるひとときで飾りたいですね。
嵯峨天皇も愛した 大覚寺
京都でも有数のお月見スポットとして名高いのが大覚寺境内にある大沢池。平安時代、嵯峨天皇がこの池に舟を浮かべて貴族や文化人と共に月を愛でたことでも知られており、その風習は「観月の夕べ」として現代にも受け継がれています。鏡のように静かな池に浮かべられた龍頭鷁首舟からは、空に光る月と水面に映る2つの月を楽しむことができます。なんとも風流で贅沢なお月見ですね。
名月を愛でながら一服 高台寺
秀吉を弔うために正室の寧々(ねね)が建立した高台寺。その境内奥に位置する風情漂う茶室「傘亭」では「秋の夜の観月茶会」が行われます。秋の風に吹かれかすかにざわめく草木や虫の音に耳を澄ませ、月を眺めながらお茶を頂けるなんて、なんとも贅沢ですね。
京都一の観光名所で楽しむ月 清水寺
最後にお伝えしたいのは、京都一の観光名所「清水寺」。実は清水寺、特にその塔頭である成就院はお月見の名所として知られているのです。成就院の庭園は別名「月の庭」と呼ばれており、その見事な美しさから国の名勝にも指定されています。清水寺の夜の特別拝観、そして成就院が一般公開が行われるのは、残念ながら中秋の名月の期間ではありませんが、今年は11月中旬から12月の頭にかけて公開されます。月あかりに照らされた紅葉を愛でに、晩秋の京都旅行・・・なんてロマンチックではありませんか。
日程 : 2015年11月14日~12月6日 18:00(開門)~21:00(受付終了)
(成就院庭園公開は11月18日~12月6日)拝観料 : 大人400円 小・中学生200円
成就院庭園 : 大人600円 小・中学生300円
秋の哀愁に誘われて。いにしえの人々も愛した月を愛でに京都に赴きたいですね。
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