“マローヤのヘビ” 、初めて聞く人も多いのではないでしょうか。
スイスのマローヤ峠を、ヘビがはうようにうねりゆく雲。この奇妙で美しい気象現象につけられた名が “マローヤのヘビ” です。悪天候のサインでもあるこの現象は、湿った空気がイタリアの湖で生じて雲に変わり、山の隙間をぬうように伸びていくことで発生します。
舞台はシルス・マリア
“マローヤのヘビ” が漂うシルス・マリアの地。その絶景をたっぷりと味わえるのが、10月24日公開の映画『アクトレス~女たちの舞台~』です。
神秘的な湖や静謐な山々に囲まれたシルス・マリアには、日常とはかけ離れた別世界が広がっています。
ジャン・コクトーやヘルマン・ヘッセ、マルク・シャガール、ニーチェなど、多くの芸術家や文人、哲学者がこの地からインスピレーションを得たそう。
そして映画の主人公マリアも、インスピレーションを求めてこの地を訪れます。マリアはかつて一世を風靡した大女優。孤独と葛藤を抱えた彼女に、この地は何をもたらすのでしょうか。
人生の靄は絶景をつくる雲海と似ている
スイスの絶景の中でマリアが向き合う問題。それは、すべての女性にいつか訪れる問題でもあります。若さと老い、過去と未来、光と影、時の流れがもたらすもの・・・。人生の靄(もや)の中で、マリアは苦しみます。
すべてを受け入れ、前に進むべきなのは頭でわかっていても、心はそう簡単に納得してくれません。かつては自分が相手を翻弄する側だったはずなのに、いつの間にか翻弄される側になっている。自分の中の時の流れと、周りの人間から見た時の流れは一致しない。
“マローヤのヘビ” は単なる一風景ではなく、映画の中で重要な役割を担っています。山々の間を満たすようにうねりゆく雲海は、人生における靄のようなものかもしれません。
雲は流れるべきところを流れ、そして去っていきます。渦中にいれば何も見えず不安を感じますが、遠くから眺めれば神秘的で美しい、ひとつの風景にもなるのです。
あなたの人生に今、靄はありますか?
(c) 2014 CG CINÉMA – PALLAS FILM – CAB PRODUCTIONS – VORTEX SUTRA – ARTE France Cinéma – ZDF/ARTE – ORANGE STUDIO – RTS RADIO TELEVISION SUISSE – SRG SSR
10月24日、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開
予告編はこちらから。
<あらすじ>
大女優のマリア・エンダースは優秀で忠実なマネージャーのヴァレンティンと二人三脚で世界を股にかけ、活躍している。そんな時、マリアはかつて女優として花開く機会を与えてくれた舞台劇への出演を再び依頼される。だが、マリアは躊躇していた。なぜなら、20年ぶりのリメイク作品で依頼されたのは、かつて自分が演じた若い小悪魔のシグリッド役ではなく、彼女に翻弄され、自滅して行く中年女、ヘレナの方だったからだ。混乱するマリアは、2つの役柄の間に自らに流れた時間を重ね合わせることで、次第に演じることの意味を見出していく。かつて一世を風靡した大女優の孤独と葛藤、そして美しさを描く極上のドラマ。
(プレス資料より)