かのフランスの文豪スタンダールが「とある丘の、一番高いところにある町」と記したように、ひときわ高い丘の上、まるで空につくられたような町、ヴォルテッラをご紹介します。
中世の面影残す美しい石造りの町
美しい丘陵地帯が続くイタリア中部トスカーナの、ひときわ高い崖の上にヴォルテッラはあります。
町の広場から見下ろすと、大地は遥か下に見えます。それ以外の景色はほぼ空。まるで空の上にいるような眺めです。
この町の起源はとても古く紀元前、古代エトルリア時代にまでさかのぼることができます。もともと鉱物資源が豊かだったこの土地、ローマ帝国時代には町の最盛期を迎えます。
ローマ帝国時代の遺跡も町に残っています。遺跡として残る、宮殿や円形競技場の大きさから町がどんなに栄えていたかを偲ぶことができます。
その後、中世では、ルネッサンス文化花開いたイタリア中部の有力都市を結ぶ中継地として、重要な役割を果たしてきました。今でも町並みは中世の面影を色濃く残しています。
赴き深い石造りの町を散策するのもこの町の楽しみのひとつ。当時の面影をそのまま残す町並みをながめつつ、古からたくさんの人々が通ったであろう道を、その歴史やその時代の人々の暮らしぶり等に思いを馳せながら歩けば、ちょっとタイムスリップした気分です。
そして、この町の楽しみはやはり町の向こうに広がる空。見渡す限りでは、ここより高い所に何もなく、あるのは空だけ。町でも一番見晴らしの良い広場からの眺めは、まるで空の中にいるような気分になります。
おいしい魅力もたくさんの町
この町の魅力は景色だけではありません。豊かな大地にあるこの町は、イノシシ等のジビエ肉、ハムやサラミ、チーズなどもおいしいのです。
そして、黒いダイアモンドと呼ばれる高級食材のひとつ、香り豊かなトリュフもこの町の名産です。
トリュフの収穫時期には、町をあげてトリュフ祭りが行われます。高級品のトリュフですが、この香しさは年に一度は食べてみたいもの。原産地に行けば安く買えることもあって、このお祭りにはたくさんの人が集まります。もちろん、トリュフだけでなく町の特産品すべてが並ぶ魅力的な市。ワインの試飲めぐりや、スタンプラリーなど楽しい企画もありますよ。トリュフを扱うボルテッラの物産市の情報はこちら。
美しく、そしておいしい町ヴォルテッラ、いつか行ってみたいリストにあげておくのにぴったりの素敵な町です。
[All photos by Ryoko Fujihara]
Ryoko Fujihara フォトグラファー&ライター
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、’09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、イタリアで撮影・執筆活動をしつつ、更なる美しい景色を求めてカメラ片手に旅を続けている。
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