2月14日はバレンタインデー。世界各国で愛の日とされ、日本でもすっかり定着した行事ですね。では、なぜそれが2月14日なのかご存知ですか? 実はこの日はキリスト教の司祭であったヴァレンティヌスの命日なのです。
ヴァレンティヌス司祭の命日がなぜ愛の日になったのか? その物語と、聖ヴァレンティヌスが今も眠る教会「バジリカ・ディ・サン・ヴァレンティーノ」を改めてご紹介します。
バレンタインデーのはじまり、聖ヴァレンティヌスの物語
時はローマ帝国時代、時の皇帝クラウディウス2世は、愛する人を故郷に残した兵士がいると士気が下がるという理由で、ローマでの兵士の結婚を禁止していました。それでも、人を愛する気持ちは止められないもの。愛する人と結婚したいと望む兵士たちをみかねたヴァレンティヌス司祭は、そんな兵士たちのため秘密裏に結婚式を行っていました。
しかし、このことが知れてしまい、司祭は捕らえられ、死刑になりました。
権力に背くことを恐れず、愛を信じ、人々の愛を結び続けたヴァレンティヌス司祭は、後にキリスト教において愛の守護聖人とされ、その命日2月14日は聖ヴァレンティヌス(英語読みでバレンタイン)の日の祭日となりました。愛の守護聖人を祭った日なので、愛の日となったのです。
聖ヴァレンティヌスの聖遺物が残る教会
イタリアの中央部、ウンブリア州のテルニという町にヴァレンティヌスが眠りにつく教会「バジリカ・ディ・サン・ヴァレンティーノ」があります。
こちらがその教会。ここには聖ヴァレンティヌス(イタリア語ではヴァレンティーノ)の聖遺物(遺骨)が残されています。
こちらが聖遺物を納めた祭壇。今でも愛の守護聖人の祝福を求めて、たくさんの人々がこの教会を訪れます。
この教会では毎年バレンタインデーのイベントが開催されています。バレンタインデーの前週の土曜日には、聖ヴァレンティヌスにまつわる物語の演劇が教会内で行われ、翌日曜日には愛の守護聖人の祝福を求めて世界中から集まったカップルたちに、結婚の祝福の儀がとりおこなわれます。今年はなんと1200組ものカップルが訪れることになっているそうです。また、結婚式を挙げるカップルだけでなく、結婚してから25年経った夫婦、そして50年経った夫婦を祝福する儀もあるとのこと。愛を結ぶだけでなく、結んだ愛が育まれ、紡がれていくことを見守ってくれる教会は、今でも愛し合う人々の聖地なのです。
2月14日バレンタインデー、おいしいチョコレートももちろんいいですが、愛することさえ許されなかった時代があったこと、そして、今、たくさんの祝福を受けて、心いっぱいに人を愛することができるありがたさを心にとめたいですね。
[教会「バジリカ・ディ・サン・ヴァレンティーノ」]
[All photos by Ryoko Fujihara]