北マリアナ諸島の中心的な島「サイパン島」。日本からの直行便は現在、成田空港よりデルタ航空が毎日1便就航している。空路で50分ほどの距離にある、更に南よりのグアム島には多くの航空会社が乗り入れているが、ここサイパン島は、戦争の傷跡と日本統治時代の記憶が今もなお残る亜熱帯地域の素朴な島。
2015年は毎月万遍なく台風が発生し、特に8月は直撃を受けたこともあり、暴風雨が通過した地区の植物はどれも一様にダメージを負った。しかし椰子の木は柔軟性は素晴らしい。
ビーチ沿いに植えられているのは椰子の木だけでなく、黄色い花が散る頃には赤くなるサキシマハマボウ、防風林として植えられたモクマオウ等が多く見られる。
ビーチを散歩していると、そのモクマオウの木立から突然、犬が飛び出て海に入って行く光景をよく見かける。彼等はひと泳ぎすると再び来た道を戻るか、砂浜を走り去って行く事もある。いずれにしても自由だ。
風景に気を取られたまま歩いていると、スナガニが掘った巣穴に落ちる時がある。特に波打ち際から少し離れた乾いた所を歩く時には注意が必要。潮が引いたばかりだと、巣穴からは砂が放り投げられるが、砂の湿り気が多ければ多い程、入り口には団子状の砂が積み重なって行く。スナガニの穴は小さいもので直径1cmも満たないものから、ゆうに20cmを超えるものまである。一体そんな大きな穴を掘るスナガニは、どれだけの大きさなのだろう?
もしビーチ沿いのリゾートホテルに滞在するのなら、早朝の潮が引いている時にビーチに出て欲しい。そこでマウンテンバイクの轍(わだち)らしき模様をいくつも見るだろう。後を追えば、その模様の製作者に出会えるかもしれない。
サイパン島は西側に海岸線が長く、大型リゾートホテルの多くはそこに沿って立ち並んでいる。夕方、海に沈む太陽はビーチ沿いのどこからでも眺められるが、刻々と色彩が変わる時間帯をハッピーアワーのバーで過ごすも良いけれど、思い切ってビーチに出てみてほしい。
もし水平線上に雲がなければ、グリーンフラッシュに遭遇するかもしれない。