ワインの産地で有名なナパバレーにあるレストラン「フレンチランドリー」。店の外観は、田舎の中にある家のような素朴な雰囲気。しかしここ、実は「全米一予約が取れないレストラン」と言われている、超有名店なのです。今回は、ご縁があって行けたフレンチランドリーの魅力を徹底的にお伝えします。
フレンチランドリーって? 予約方法は?
フレンチランドリーは、サンフランシスコから車で約一時間半の場所にあります。ナパバレーの中心、Yountvilleにあるニューアメリカン風フレンチレストランです。2003年と2004年には世界のトップ50レストランランキングの世界ナンバー1を獲得しており、ミシュラン3つ星を取り続けているお店。
世界中からグルメ、セレブ、各界の要人が集まる、とにかく一生に一度は行ってみたいレストランなのです。シェフ兼オーナーのトーマスケラー氏は、NYの「パーセ」というレストランでも三つ星を獲得しており、アメリカでスーパースターシェフと呼ばれている人物です。
一度は行ってみたいFrench Laundryの予約は2か月前から。2か月前ぴったりその日に予約を取り始めても常に満席で、本当に予約が取れません。アメリカには、「フレンチランドリーの予約を取る方法」というサイトまで存在するくらい、もはや伝説的ですらあります。
それでも予約を取る方法はあります! アメリカのレストラン予約サイト、「Open Table」を見てみるか、電話での予約【番号(707)944-2380】か、強力なコネクションで予約をするかになります。
取れたらラッキーという感じで、旅行の日程の2か月前から粘ってみるか、キャンセルが出ることを期待して一週間前あたりにお店に電話をしてみることをおすすめします。
本当にここが世界一のレストラン?
さて、ラッキーが重なって行けることになった筆者の現地ルポを開始します。
まずお店の外観が意外でびっくり。有名で立派なレストランという感じでは全くありません。普通のアパート? という感じで、野生の動物がひょっこり顔を出しそうな雰囲気です。
ここは昔、夫婦がフランスのスチームランドリー店を経営しており、 改装してレストランとしてオープンしたことから、そのまま名前をThe French Laundryにしたそうです。洗濯バサミをモチーフにしたフレンチランドリーのロゴはそのことを物語っています。今ではこの建物はアメリカ合衆国の指定する歴史登録財に指定されているのです。
お店の中もこじんまりとしていて、超高級レストランという感じではなく、和やかな雰囲気です。堅苦しいムードではなくスタッフも気さくに話しかけてくれ、「会話を楽しみながら、本当に美味しいものを食べる」という食事の概念を思い出させてくれるようでした。
世界一の味を実食
フレンチランドリーは、ランチ、ディナー共にコースは日替わりで2種類。魚や肉が入った9種のChef’s tasting menuと野菜の料理のみのベジタリアン向け9種のTasting of Vegetablesのいずれか。どちらもプリフィックスコースとなっており値段は同じ310 ドル。選択する品によっては一つ30から100ドルの追加料金がかかります。当日のメニューはHP上でも確認することが出来ます。今回は、Chef’s tasting menuのランチをオーダーしました。
サクサクのコーンの中にスモークサーモンのタルタルとサワークリームが入っている前菜。
これは日替わりでどんどんメニューが変わる中で、唯一毎日提供されているメニュー。アイランドクリーク産のオイスターとチョウザメキャビアのバイヨンソース仕立ては、驚く程クリーミーで、口の中ですべての食材が調和して溶けていく感じでした。
フレンチランドリーから数分のところにある、ブションベーカリーから来ているパン。5種類程から選ぶことが出来ます。パンだけでもとても美味しいですがやはり食べ過ぎには注意です。
一口大の大きさですが、一度で食べるには本当にもったいない美味しさ。ぎゅっと旨味が詰まった濃厚な味でした。
お肉もお魚も美味しいのですが、筆者が特に感動したのは、全ての料理に添えられている野菜の味。どんな調理法でもそれぞれの素材の味がはっきりとわかり、野菜の甘みにびっくりします。それもそのはず、フレンチランドリーで使われている野菜は、全て店の前のフレンチランドリー専用の畑から穫っているものなのです。
新鮮そのものの野菜の甘みは驚きを隠せません。ちなみにこの畑は、誰でも気軽にふらっと入ることができます。世界一のレストランの畑に誰でも入れるなんてさすがアメリカですね(笑)。
食事にあうワインも頂きましたが、このワインを選ぶのにかなり時間がかかってしまいました。実は、ワインリストだけで120ページもあるのです。ワインリストはiPadで渡されますが、とても見切れません。結局ソムリエに任せた方がいいですね。
最後はデザート。メインのチョコレートムースのほかに、揚げたてドーナツや、宝石のように美しい自家製チョコレート、どんどん運ばれてきます。もうすでにお腹いっぱいですが、世界屈指のパティシエが作ったスウィーツはどれも感動する美味しさで、一口ずつ堪能しました。
持ち帰りにはお土産のショートブレッドクッキーも。家に帰ってフレンチランドリーの余韻を楽しめました。
滞在時間4時間半。人生で一番高い、長いランチ。
最後にキッチンの中も見学させてもらいました。シェフの多さ加減から手間のかかり具合が伺えます。前菜を作っているコーナー、スウィーツを作っているコーナー、それぞれ沢山のシェフが働いていました。
今回の食事、入店してから退店するまでになんと4時間30分。ただの食事ではなく、雰囲気もサービスも料理も、ショーを見ているかのように楽しむことができ、感動した4時間30分でした。
今回のランチはワインと税金などを含みますが、一人あたり700ドルはしました。ぞっとするくらい人生で一番高いランチになりましたが、人生で最高の思い出になったことは間違いありません。