イタリアの中央部にあり、緑豊かなことから、“緑のハート”と呼ばれるウンブリア州に、やわらかなバラ色をした町があります。
世界遺産にも登録された美しき町「アッシジ」、豊かな緑に抱かれたバラ色の町をご紹介します。
バラ色の町アッシジの癒し
アッシジ、なんか聞いたことあるような、と思われる方も多いと思います。アッシジはイタリアの守護聖人であり、清貧の聖人として、キリスト教において信仰を集める聖フランチェスコの故郷で、キリスト教の巡礼の地としても有名です。
こちらがその聖フランチェスコの教会。聖フランチェスコの説いた、富を求めず、貧しくても清らかな行いをするという清貧の教えは、キリスト教のなかで重要な教えの一つであり、巡礼の地としてここを訪れる人がたくさんいます。
巡礼のためだけに限らず、この町が人気を集めるのはその町の美しさ。町全体が淡いバラ色をしているのです。
それはこの地方で摂れる石がその色をしているから。そこから切り出した石で作ったため、町は淡いバラ色をしているのです。
こちらの教会と鐘楼も淡いバラ色。
そして教会等の特別な建物だけでなく、普通の家や石垣までも、町は石造りですから、街全体がやわらかなバラ色に染まっています。
その淡いバラ色に包まれているだけで、なんだか穏やかな気分になります。
やわらかなバラ色に気分がほぐれたところに届く、鳥の声、葉をサラサラと揺らす風、爽やかな草花の香り、潤った森の匂い、注ぐ太陽の温かさ・・・本当はとても普通の、でも私たちが日頃忘れてしまっている自然の美しさがスッと体に染み渡り、どんどんと癒されていくようです。
そう、この町の本当の魅力は美しい町だけではありません。それが、美しく豊かな自然に包まれているということ。
聖フランチェスコは、重い病に臥せっていたのを、この地で癒したといわれています。緑溢れる自然に囲まれた美しい町は、穏やかな空気に満たされて、今日も訪れる人々をやさしく包んでくれています。
[All photos by Ryoko Fujihara]