空に虹を見つけると、幸福な気持ちになりませんか? 今も昔も虹は神秘的な存在と見なされ、キリスト教の旧約聖書には、神との契約の象徴としても描かれています。
けれど虹は、雨上がりの空に、ほんの一瞬現れてすぐに消えてしまうという刹那的な存在でもあります。そんなはかない虹を、アートまで昇華させてしまったアーティストがいるのでご紹介します。
美しい虹のインスタレーション
こちらは、米国テキサス州にあるサンアントニオ国際空港(The San Antonio Airport)。2016年10月に、美しい虹が出現しました。淡い光のカーテンのようにも見える虹が、空港の窓から天井に伸びています。
そうかと思えば、こちらは同じく米国オハイオ州にあるトレド美術館(Toledo Museum of Art’s)に現れた虹。カーブを描きながら天窓に吸い込まれているように見えます。
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美しい・・・。このまま眺めていたら、見ているこちらまで空に吸い込まれていってしまいそうです。けれどこれらの虹は自然現象ではなく、もちろん人工的なインスタレーションです。
この幻想的なアートを創り出しているのは、メキシコ系カナダ人アーティストのガブリエル・ダウ氏(Gabriel Dawe)。メキシコ・シティで生まれた彼は、その色彩豊かな故郷の文化に囲まれて育ったのだとか。あの虹の鮮やかさを見ると、それも分かるような気がします。
ではダウ氏は、肝心のこの虹のアートをどのように作り出しているのでしょうか。材料は光でしょうか? それとも水?
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色とりどりの紐で作り上げる、鮮やかな虹
実は、あの美しい虹を作り上げてるのは、この色とりどりの糸たち。そう、あの光のカーテンのようにも見えた虹は、無数の糸を張って作られていたのです。
近づいて見ると確かに糸だと分かるのですが、その透け感は依然として虹そのもの。空気に色が溶けているようにも見えます。
高い場所での作業は、このように工業用クレーンに乗っての作業になるようです。あの無数の糸を一本一本丁寧に張っていくのですから、気が遠くなります! 美しいアートの裏には、緻密な作業があるのですね。
虹のインスタレーションのスケジュール
作者であるダウ氏のホームページには、その時期に見られるインスタレーションの一覧が掲載されています。
ちなみに、冒頭でご紹介したサンアントニオ国際空港の虹のインスタレーションは2019年10月まで、トレド美術館は2017年1月22日までの展示だそうです。機会があれば、ぜひ実物を間近で見てみたいですね。
[Man-Made Rainbow Fills The Gallery At The Toledo Museum Of Art]
[Gabriel Dawe]
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[Photo by Shutterstock.com]