ミュンヘンから日帰り旅行が可能な南ドイツの古都、レーゲンスブルク。世界遺産に登録された中世そのままの美しい街並みは、「ドイツ中世の奇跡」と呼ばれるほど。
日本ではあまり知られていない、南ドイツのとっておきの街、レーゲンスブルクの魅力をご紹介します。
ドイツ中世の奇跡、世界遺産の街・レーゲンスブルク
南ドイツの古都・レーゲンスブルクは、ローマ時代からドナウ河畔の交通の要衝として栄えた古い歴史をもつ街です。ミュンヘンから電車またはバスでおよそ1時間半のところに位置し、中心部だけならミュンヘンからの日帰り旅行も十分可能。
レーゲンスブルクの魅力は、なんといっても本物の中世の街並みが残っていること。ドイツには中世の面影を残す街が数多くありますが、その多くは戦争で破壊された後に復元されたものです。ところが、レーゲンスブルクは幸いにも戦災を免れたため、中世の街並みが当時のまま保たれているのです。
古代ローマ様式からロマネスク様式、ゴシック様式にいたるまで、2000年にわたる建築様式の変遷が見られる貴重な街並みは「ドイツ中世の奇跡」とも称され、2006年には世界遺産に登録されました。
ドナウ川に面したパステルカラーの街並み
レーゲンスブルクを象徴する風景が、ドナウ川の対岸から眺める街の景色。2000年間変わらぬドナウの流れと、12世紀の石橋、中世そのままの旧市街の街並みが一体となった景観は絵画のように美しく、ずっと眺めていたくなるほど。
(C) Haruna Akamatsu
入り組んだ石畳の路地が広がる旧市街には、960もの重要文化財があります。街全体が「中世の博物館」といった趣で、何をするでもなく、ただ街並みを眺めながら歩くだけで心が躍ります。
(C) Haruna Akamatsu
観光地でありながら、素朴な日常の雰囲気が漂う居心地の良さもまた、レーゲンスブルクの魅力。「この先に何があるんだろう」とワクワクしながら、狭い路地も探検してみましょう。
レーゲンスブルクには、ドイツ最古のカフェとして知られる「カフェ・プリンツェス」があります。評判の手作りケーキやチョコレートはおやつにぴったり。散策の合間に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
旧市街のシンボル・大聖堂
レーゲンスブルクの旧市街のシンボルが、2本の尖塔が印象的な大聖堂。バイエルン州を代表するゴシック建築で、1275年に着工、1869年に完成しました。石灰岩と緑色岩の2種類の石材が使われた独特の色合いの外観は、世界遺産の街のシンボルにふさわしい重厚感を漂わせています。
(C) Haruna Akamatsu
内部も見ごたえ十分で、13~14世紀に制作されたステンドグラスは、精巧かつ色鮮やかで、吸い込まれてしまいそうな美しさ。
(C) Haruna Akamatsu
2009年には、世界最大の壁掛け型パイプオルガンも登場しました。重さはなんと37トンで、演奏者はエレベーターで演奏台にのぼるのだとか。
ウィーン少年合唱団にも引けを取らないといわれる「ドームシュパッツェン(大聖堂のスズメたち)」と呼ばれるレーゲンスブルク少年合唱団の歌声も有名。日曜日にレーゲンスブルクを訪れるなら、朝10時からのミサに参加して、美しい歌声に聴き入ってみては。
世界最古のソーセージ屋さん「ヒストリッシェ・ヴルストキュッヘ」
(C) Haruna Akamatsu
レーゲンスブルクに行ったら絶対に見逃せないのが、世界最古のソーセージ屋さん「ヒストリッシェ・ヴルストキュッヘ」。その歴史は古く、ドナウ川に架かる石橋が建造された12世紀に、建設作業員向けの軽食堂としてオープンしたのがはじまりなのだとか。
ドナウ川に面した昔ながらの雰囲気漂う小屋からは、ソーセージを焼く香ばしい香りが・・・レーゲンスブルクに来てここを素通りするなんて考えられません。
(C) Haruna Akamatsu
名物の焼ソーセージは、外はパリッ、中はジューシー。炭火焼の香ばしさとあいまって、たまらないおいしさです。特製のザワークラウトとの相性も抜群で、思いのほかあっさりといただけますよ。
晴れた日に、ドナウ川を臨むテラス席でソーセージを頬張る時間は、まさに至福のとき。
歴史的建造物がひしめく美しい街並みと、時代を超えて愛される名物グルメ。小さな街でありながら、レーゲンスブルクはこの街にしかない特別なもので満たされています。
世界遺産のこの街で、古き良き南ドイツを感じてみませんか。
[カフェ・プリンツェス(Café Prinzess)]
[ヒストリッシェ・ヴルストキュッヘ(Historische Wurstküche)]
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