「バイエルンの真珠」と称えられるバンベルクは、ドイツ屈指の古都。第2次世界大戦の被害を受けることなく、無傷で残った中世の街並みは、「バンベルク市街」としてまるごと世界遺産に登録されています。
日本ではあまり知られていない、情緒あふれる古都・バンベルクならではの魅力をご紹介しましょう。
1000年以上も変わらない街並み
(C) Haruna Akamatsu
1007年、のちに神聖ローマ皇帝となるハインリヒ2世が司教座を置いたことで、バンベルクは司教と皇帝の都市として発展しました。ドイツの都市の多くが第2次世界大戦の被害を受けたなか、バンベルクは奇跡的に戦災を免れたため、1000年以上変わらない街並みが無傷のまま保存されています。
現在は人口およそ7万人ののんびりとした地方都市。ところが、かつて司教都市として繁栄しただけあって、バンベルクはこぢんまりとした街に似つかわしくないほど壮麗な建造物でいっぱいです。その歴史と街並みから、しばしば「フランケン地方のローマ」と称されることも。
ロマネスクからゴシック、バロック、ロココにいたるまで、さまざまな建築様式の建物の競演が見られる旧市街は、建築博物館さながら。何世紀にもわたって、絶えず育まれてきた歴史と文化が、今も変わらずに息づいています。
ドイツ屈指の文化遺産、バンベルク大聖堂
(C) Haruna Akamatsu
バンベルクのシンボルであり、ドイツでも指折りの文化遺産といえるのが、山の手にそびえる大聖堂。ハインリヒ2世の命により、ロマネスクからゴシック様式の過渡期に建設され、1237年に完成しました。4本の尖塔をもつどっしりとした外観は存在感抜群。
ドイツでは、街を代表する教会の周りは、カフェやレストランが並ぶにぎやかな広場になっていることが多いですが、小高い丘の上にあるバンベルクの大聖堂周辺には、博物館として公開されている旧宮殿と新宮殿があるのみ。にぎやかな街の中心とは隔てられた雰囲気が、「孤高の大聖堂」という印象を与えます。
(C) Haruna Akamatsu
迫力満点の外観のみならず、貴重な芸術作品が詰まった内部も見ごたえ十分。なかでも必見なのが、中世彫刻美術の傑作として名高い「バンベルクの騎士」の像。比較的小さな作品で、簡素に徹したスタイルでありながら、計り知れない価値をもっています。
(C) Haruna Akamatsu
さらに、大聖堂建設を命じたハインリヒ2世とその妃・クニグンデの墓石には、中世ドイツが生んだ天才彫刻家・リーメンシュナイダーによる彫刻が施されています。着衣の質感や、手指の微妙な角度にいたるまで、力強くも繊細な表現は「見事」のひとこと。
司教領主の館、新宮殿
広場をはさんで大聖堂の向かいに建つ壮麗な建物が、新宮殿。司教領主のシェーンボルンが1703年に完成させた宮殿で、豪華な部屋の数々をガイドツアー形式で見学することができます。
(C) Haruna Akamatsu
とりわけ、壁と天井一面が優美な絵画で覆われた大広間はため息が出るほどの美しさ。天井はあまり高くないため、空間をより立体的に見せる「だまし絵」の手法が用いられています。
バラが咲き乱れる庭園も有名で、バラ園からは、オレンジ屋根の建物が連なるバンベルクの旧市街が見渡せます。
心安らぐ小ヴェネツィア地区
(C) Haruna Akamatsu
バンベルクでのんびりと散策したいのが、レグニッツ川沿いの「小ヴェネツィア」と呼ばれる地区。かつて漁師たちが住んでいたというカラフルな木組みの家々が並ぶ様子は、バンベルクを象徴する風景のひとつです。
どこか昔なつかしい、素朴な温かさの漂う光景に、心がほっと安らぎます。大聖堂のように、司教都市としての貫録を示す壮大な建物があるかと思えば、人々の生活の匂いを感じさせる優しい風景もある。バンベルクは、エリアによってまったく異なる表情を見せてくれる街なのです。
独特の味わい、名物・ラオホビア
(C) Haruna Akamatsu
バンベルクの名物が、煙でいぶした麦芽を使った燻製ビール「ラオホビア」。強いスモーク臭があるラオホビアには、一度飲んだら忘れられないほどのインパクトがあります。
その独特のスモーク臭に病みつきになってしまう人も少なくないとか。好みが分かれるラオホビアですが、果たしてあなたの口には合うでしょうか・・・バンベルクを訪れるなら一度はラオホビアをお試しあれ。
バンベルクでは、ラオホビアを使った料理も味わうことができます。特におすすめなのが、バンベルクを代表する老舗醸造所「シュレンケルラ(Schlenkerla)」の直営レストラン。ラオホビアはもちろんのこと、ラオホビアを使った郷土料理も楽しめます。
(C) Haruna Akamatsu
玉ねぎのひき肉詰めのビアソースかげ「バンベルガー・ツヴィーベル(Bamberger Zwiebel)」は、シュレンケルラの看板メニュー。ラオホビアを使った香ばしいソースは肉料理との相性抜群で、こちらはラオホビアが苦手な人でもおいしくいただけますよ。
[Schlenkerla]
(C) Haruna Akamatsu
さまざまなスタイルの歴史的建造物が並び、輝かしい歴史と、地方都市らしいのどかな温かみが同時に感じられるバンベルクの街。他のどの街とも違う、ここだけの風景に、きっとあなたも魅了されるはずです。
[Photos by Shutterstock.com]
Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。
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