
「天空の村」と呼ばれる、知る人ぞ知るイタリアの美しき中世の村、チヴィタ・ディ・バニョレージョ。まるで宙に浮いているかのように見えるその姿は、「天空の城ラピュタ」の世界を彷彿とさせると密かに話題になっています。
時間帯に応じてその表情を変える、天空の村の儚く幻想的な絶景をのぞいてみましょう。
イタリアの天空の村、チヴィタ・ディ・バニョレージョ

首都ローマからおよそ100キロ、イタリア中部のラッツィオ州に、「イタリアのラピュタ」として脚光を浴びている村があります。それが、チヴィタ・ディ・バニョレージョ。
日本のガイドブックにはほとんど載っていない秘境的スポットであるにもかかわらず、その独特の景観から、知る人ぞ知るイタリアの観光スポットとして人気を集めています。
近年では、綾瀬はるかさん主演の映画「ホタルノヒカリ」のロケ地としても、その存在が少しずつ知られるようになってきました。
村への入口は一本の長く細い橋のみ

チヴィタ・ディ・バニョレージョに入るには、300メートル以上の細く長い橋を渡る以外に方法はありません。坂道になっていて、途中から階段もあるこの橋は、とても車が通れるようなものではなく、10分前後をかけて歩いて渡るしかないのです。

現代の文明社会とは隔絶されたかのような、チヴィタ・ディ・バニョレージョ。中世の姿をとどめた陸の孤島のごとき村は、物語の舞台にうってつけです。
朝もやに包まれたとき、文字通り「天空の村」に

朝もやがあたりを包み、村へ至る唯一の橋が隠れたとき、チヴィタ・ディ・バニョレージョは文字通り天空の村と化します。断崖にひっそりとたたずむ村の風景は、神々しいほどに幻想的。
郷愁を誘う夕暮れどきの風景

チヴィタ・ディ・バニョレージョは、空がオレンジ色に染まる夕暮れどきも、絵画的な美しさを見せてくれます。赤く色づいた空と、村を囲む緑のコントラストはまさに絶景。
小さな村の家々には明かりがともり、「おかえり」とあたたかく迎えてくれているかのようです。中世のたたずまいを残す村と美しい自然・・・長い時を刻んできた人工物と、雄大な自然が織り成す風景に胸が熱くなります。
悲しくも美しい「死にゆく村」

チヴィタ・ディ・バニョレージョは、「天空の村」のほかに、もうひとつよく知られた異名をとっています。それが「死にゆく村」。この村は貧弱な棚状地層の凝灰石の上に築かれているため、風雨による浸食などで今も少しずつ崩れつつあるのです。

いつかこの世界から消えてしまうチヴィタ・ディ・バニョレージョ。この村がいつかなくなってしまうことを思うと、胸が締め付けられるような悲しさを覚えるのと同時に、限りある命だけがもつ、一瞬の輝きのような儚い美しさを見出さずにはいられません。
[All Photos by shutterstock.com]

Haruna ライター
和歌山出身。東京での会社員時代に、旅先でドイツ人夫と出会う。5か月間のアジア横断旅行の後ドイツに移住し、ライターに転身。約2年半のドイツ生活を経て、現在は日本在住。「歴史地区」や「旧市街」と名の付く場所に目がなく、古い町を歩き尽くすのが大好き。世界のリアルな「ワクワク」を多くの人に伝えたい。
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