地中海に浮かぶシチリア島。蒼い海が広がる優雅なビーチリゾートも魅力たっぷりですが、南東部の内陸に陶器の産地として知られ、世界遺産にも登録されている街があります。
シチリア島の東の玄関口、カターニアから鉄道で2時間ほどのカルタジローネ。標高約600メートルの山の斜面に作られた街です。
イタリアを旅すると、随所で見かけることが多い鮮やかな食器やタイル。それらは「マヨルカ焼」と呼ばれ、かつてはイスラム圏で生産されていましたが、イスラム勢力の拡大とともにスペインに渡り、マヨルカ島を経由してシチリア島へ技術が導入されたのだそう。独自のデザインが組み込まれ、カルタジローネからイタリア各地に伝わったのだとか。
先史時代から陶器の歴史があるというカルタジローネ。道路や橋など街のいたるところでマヨルカ焼を使った細工が見られ、訪れる人々の目を楽しませてくれます。
現在でも歴史を受け継いだ工房が点在。実際に絵付けをしている様子も見学することができますよ。
街のシンボルは、バロック様式で作られた「サンタ・マリア・デルモンテ」。なんと142段にも及ぶ大階段で、蹴上がりに動物や魚、植物をモチーフにしたマヨルカ焼のタイルが施されています。
142段すべて違うデザインで装飾され、様々な表情を見せてくれる「サンタ・マリア・デルモンテ」。まさに陶器の街を象徴する建造物。
人々の日常の暮らしに溶け込んでいる姿も、また美しく映ります。
142段の階段を上りきった場所からは絶景の景色が。眼下にはカルタジローネの街並みやシチリアの大地が広がります。
鮮やかなマヨルカ陶器が彩るカルタジローネ。シチリアを旅することがあれば、伝統的な装飾に包まれる世界遺産の街を訪れてみてはいかがでしょうか?
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